表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/14

ホラー企画に参加したいがために書いた《雰囲気だけ時代小説》です。設定ゆるふわ。薄目でごらんください。。。  《雰囲気だけ 》シリーズにでるご隠居。ダイキチさんのお屋敷では、《百物語会》がひらかれます。。。。。が。


 一、





    蝉はどこへいった。




 あれだけうるさいとおもっていた蝉のこえがきこえない。




 目をやった山裾すその木は、ほとんどが赤茶けている。




 あしもとからその山すそまでひろがった田には、なにもない。



 この時期にはもう、水をはったそこに、あおい稲がのびはじめていなければならないのに。



 かわいてひびのいった土が、かたく、かたく、かたくなってひろがっているだけだ。





  風もふかない。


 陽はじりじりとすべてを焼くように照っている。



 蝉だけでなく、虫も、鳥も、生きているモノの気配がない。




  すべてが、かわいて、かわききっている。




  膝のちからがぬけてすわりこんだ地面が、どうしようもなく熱い。


 

 さわった土はうまくつかむことができない粉のようで、ほこりのようにまいあがるが、風もないので、まきあがることもない。


 あぜ道さえ、あおい草もみあたらず、枯れた草をのこすだけだった。





     「 こりゃ、あんたのせいでございますなア 」




「っ!?」


 ふりかえったそこに、こずるそうな顔をした商人のようなみなりの男がいた。



「あ、あんた、あの、あの石は、」



「申し上げましたでしょうなア。水神スイジンだとねエ」



「そ、そんな、でも、」



「儲かりましたでしょうよオ?さぞや、たんまり、と」


 にい、と横にのびた口が耳元までひらき、こちらをわらった。



「ち、・・・ちがう、」



「いや、ようございましょうヨオ。さあ、みていなさいよオ。ここからもっとひどくなるのを」



「い、いやだ、ちがう、こんな・・・」




 こんなことになるなんて、・・・。


「 おれは、蝉がうるせえって、そう、おもっただけで・・・・」













評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ