第7頁:野菜系モンスターの作物を大量収穫して仕込むだけの話
クオカフ村、3日目の朝。
1日目から色んな意味で大忙しだった俺は、2日目はクロと一緒に村を散策したりして過ごした。そして3日目の朝……
『にゃー!ミライ〜!起きるのにゃあ!』
「ん〜……」
『早く行くにゃ!野菜狩りに行くのにゃ!』
「あ〜……そうだったな」
俺はベッドから起き上がると、身支度をして宿を出た。そして、クオカフ村のちょうど隣りにある森の中へと入る。
此処にいる植物系の魔物は、作物さえ買ってしまえば大人しくなるので、魔物ごと狩る必要はない。
しかし、素材も質の良い魔物もいるので、たまーに冒険者が丸ごと狩ってしまうことも多い。
「よし!今日は野菜沢山採って、今のうちに仕込めるものはやっちゃうぞ〜!」
『にゃー!』
早速、俺たちは森の中へと入っていく。
すると、早速……ハタケガメが襲いかかってきた。
「おりゃ!」
俺は、ハタケガメの上に飛び乗って、作物を種になりそうな超良質なもの以外全て抜き取っていく。
すると、あっという間に大人しくなるのだ。
『……すごいにゃあ。』
「ここに、甲羅の上にあるプランター部分の土を掘って、この骨の粉末を混ぜておくと……よいしょ……」
『おぉ……!すごいにゃ!』
お手入れをすれば、来シーズンも美味しいハタケガメの作物が食べられるようになるだろう。
ハタケガメの構造は特徴がある。
といっても、普通のカメとほとんど変わらないのだが、甲羅が分厚くて頑丈で、その甲羅の上にプランターと呼ばれる部分があり、そこに植物が生えている。
作物は土地や気候によって様々で、この森にいるハタケガメは夏野菜や根菜が採れる。
「よし!こんなところか」
『にゃー!』
俺は収穫したものを全てアイテムボックスに収納する。クロは、キャベバードやマメンガ、アップルンなど、単体系を相手にして手に入れたやつを持ってきた。
「お前、かなり大量に取って来たな。」
『にゃあ。このフルーツは、この世界の名産品にゃ。それに、肉にも使われるから最高なのにゃ!』
「なるほど……」
俺は、クロの頭を撫でつつ、アイテムボックスに全て入れていく。
「よし!じゃあ、次いくか!」
『にゃ!』
俺たちは、森を進んでいくのだった。そして……
「お?これは……」
俺はある植物を見つける。それは……
「大豆だな」
『にゃあ?』
ダイズミーフだ。しかも、かなり大きい。この大きさだと1粒で2人分の納豆ができるだろう……と、俺は思う。しかし、大豆は畑の肉と言われているくらい、タンパク質も豊富で美食家の間では注目されている。
「よし!豆腐作りたいから、これも大量に採取だな」
『にゃ!』
俺たちは大豆を次々と収穫していくことにした。
◇◆◇
森での作物狩りのあと、村に戻って野菜の仕込みをする。
レストランギルドのレンタル調理場を借りて行う。
『凄いところにゃ。』
「まぁ、自分たちで持ってきた調理器具を使うんだけどな。」
まずはレープギールの浅漬け。
レープギールは、ハタケ目と呼ばれるタイプの魔物で、ハタケガメと一緒に居ることが多い。このタイプの作物は年がら年中取ることが出来るので、今のうちに仕込んでいくのだ。
レープギールの根元だけしっかりと切って取り除いたあと、葉っぱを洗って、洗って消毒した漬物桶に葉っぱを入れて、8枚間隔でブンゴ塩を挟んでいく。
『にゃー、手伝うのにゃあ』
バケツに沢山詰めたあとは重石を乗せて、アイテムボックスに入れておく。
ハタケガメから採れた野菜と一部の野菜はぬか漬けにする。
米ぬかに塩を混ぜて、野菜を漬ける。アイテムボックス内ならひっくり返したりする必要が無く、重石も要らないので楽なのだ。
「よし、これで仕込みは終わり!」
『にゃー!』
「じゃあ、そろそろ帰るか……、あ!なぁ……今から食いにいかね?白金亭に!」
『にゃー!行くのにゃ!』
俺たちは白金亭に向かうことにした。
同時期。
満腹屋では……
「なぁ!聴いたか!?あの噂……」
「あぁ、クオカフ村周辺で暴れまわっていたワイルドボアの群れが退治されたらしい……しかもその中にレッドボアがいたってよ!」
「スゲー!」
「しかも、その食材を白金亭が高額で買い取ったらしい。しかも、ワイルドボアは白金貨5枚!」
「えぇぇ〜〜!!!」
俺は、荻野龍太。双子の娘を持つ定食屋の店主だ。
今日も絶賛営業中で、厨房で料理を作りながら常連さんの聞いていたわけだが、クオカフ村の話らしい。
確か、今のシーズン……ちょうど食べごろの時期だから収穫しに行ってくると、ミライとクロが言っていたな……。
しかし、胸騒ぎがする……。なんか聞いちゃいけないような話題まで聞こえてきそうな気がするのだ。
「それに、そのレストランギルドの卸売市場で龍さんの娘さんらしき女の子が居たんだってよ!?」
やっ……やはり、ミライだ!! 俺は頭を抱えた。その横で店の看板娘であるアカリが言う。
「お父さん……どうしたの?」
「い……いや……」
「確かに、あの娘さんなら、キングブレパスを討伐するくらいだし、やりそうだよなぁ……」
「確かに……www」
「・・・」
俺は、嫌な予感が頭をよぎる。そして……ミライが帰ってくるまで、俺はその噂に悶絶することとなったのだった。
ミライぃ〜〜〜。早く帰ってきてくれぇぇぇ〜〜〜!!!