6頁:クオカフ村とワイルドボア
俺とクロは、遠出しにいった。
満腹屋があるパーリ市街から、かなり離れたところにあるクオカフ村。ここには、お野菜系魔物の住処があり、この時期になると凶暴化してしまうので、色んなハンターや食材調達人達が討伐しに行くらしい。
「お、ここだ」
『にゃ?ここがクオカフ村にゃ?』
俺とクロは峠を越えた先にあるクオカフ村へとやってきた。
早速、レストランギルドと冒険者ギルドで食材調達のための許可証を作りに行く。
『許可証……?』
「ここの隣の森にいる魔物でも、植物系のものは乱獲されやすいから、制限が設けられているんだ。許可証が発行できる人たちじゃないと駄目ってこと。」
『にゃるほど!』
「それじゃあ、冒険者ギルドに行こう!」
俺とクロは、ギルドに入る。すると、何やらクエスト掲示板に人だかりができていた。
「あっ、どうしたんですか?」
「あぁ……。実は、ワイルドボアが現れたみたいでな。今、森の入場制限が掛かっているみたいなんだ」
『にゃんと!?』
「嬢ちゃんも、森に行くのか?」
「そうですけど……」
「やめておけ。嬢ちゃんみたいな子供が行くような場所じゃないぞ?」
「でも、俺はレストラン直属の調達人なんで、お野菜がないと駄目なんですよ……。あっ、俺この討伐クエストやろうかな?」
「え!?」
『ミライ!?何言ってるのにゃ!?』
俺は、クエスト掲示板に貼ってある討伐依頼書を見て、ワイルドボアの討伐を受けることにした。
「お、おい!嬢ちゃん!?」
『ミライ!?やめるにゃ!』
「大丈夫だって!」
俺は、受付で許可証をもらうと早速森に入った。
『本当に大丈夫かにゃ?』
クロは心配そうにしている。だが、俺は自信満々だ!なぜなら……
「探知魔法……」
俺は、探知魔法でワイルドボアの居場所を探す。そして……
「見つけた!」
『にゃ!?』
俺は見つけた場所に走っていった。そこには、巨大なイノシシ同士が暴れていた。どうやら凶暴化しているみたいだ。
「よしっ!やるぞ!!」
『ミライ!無茶はやめるにゃ!』
クロは俺の肩に乗って言う。だが、俺は大丈夫だと伝えると、剣を抜いて構える。すると……
『ブモォオ!!』
ワイルドボアが突進してくる!俺はそれを躱して、瞬時に血抜きポイントを射抜き、簡単に解体をする。
もう一匹、同じように突進してくるが……
「よっと!」
俺は、それを躱してまた血抜きポイントを射抜く。そして、もう一匹も同じように解体した。
『にゃ!?ミライ!凄いにゃ!』
クロは驚いているようだ。まあ、親父に鍛えられたからな!これくらい朝飯前だ!すると……ワイルドボアの親玉が現れた。
『ブモー!!』
「お?こいつがボスか?」
『にゃ!?』
俺とクロは構える。だが……その見た目は更に大きく、凶暴化していた。
「ブモォオオ!!」
ワイルドボアの親玉は突進してきた!だが……俺は血抜きポイントを射抜く!
『にゃ!?』
クロが驚いている中、親玉はまたも突進してくる!俺はそれを避けながら剣で攻撃していく。そして、その隙にサバイバルナイフに持ち替えて、解体してしまうのだ。
『なっ……!?』
「よし。取り敢えず肉磨きをして、素材は一箇所に集めておくか。あ、四つ切スライムも出しておくか。」
スライムにお願いして、食べれない内臓や部位を処理してもらうことにした。
『にゃ……にゃんと……』
「これで良しっと……」
ワイルドボアの素材を綺麗にしたら、俺はクロに言う。
「よし!帰るか!」
『え!?ミライは大丈夫なのにゃ!?』
「ん?まあ、大丈夫だよ」
『そっ、そんな簡単に言うけど……本当に大丈夫かにゃ?』
「ああ。じゃあ、帰ろうぜ」
俺たちはクオカフ村へと戻るのだった。そして……ギルドに戻り、討伐用の素材を出すとまたもはや驚かれて、ギルド長室へと案内された。
多分、キングブロプスとおんなじ展開だろう……
「おっ、お邪魔しま〜す……」
「よく来てくれたな。座ってくれ。」
強面のおっちゃん。サングラスを掛けてるその人は、このギルドのギルド長だ。
「ご無沙汰してます。ダグレスさん。」
「ミライじゃないか。1年ぶりだなぁ。」
「あはは……」
俺は苦笑いしたのだった。そして、早速討伐依頼の報奨金を渡されたのだが……
「白金貨2枚ぃ!?」
『にゃ、にゃにゃ!?』
「実は、倒したワイルドボア以外に1つレッドボアが混じっていてな。それがSランクの魔物で、討伐依頼を出していたんだ」
『Sランクにゃ!?そんなの狩ったのにゃ!?』
「ま、まあな……。あと、クオカフ村から感謝状も届いてるぜ。ありがとな」
「あ……ありがとうございます!」
こうして、俺たちはダグレスさんの元を後にして宿に帰ることにした。
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次の日。
俺はクロを連れてレストランギルドへと出勤するのだった。厨房に入ると早速、好奇の視線を向けられたのだ。
「あの女の子……見たことあるぞ!確かキングブロプスの群れを討伐したとかいう……!」
「まじかよ!あの子供がか!?」
「すげぇな……」
まあ、そりゃそうですよね~。まだ、俺……14歳だもん。
すると、卸市場に案内されレッドボアの肉とワイルドボアの肉をアイテムボックスから取り出す。
「ここから……っ!よいしょっと!」
「おぉ……!」
卸市場では、俺がレッドボアの肉とワイルドボアをアイテムボックスから出したことでどよめいていた。そして、その肉を見て卸市場の鑑定人さんはこう言ったのだ。
「レッドボア……本物だな。まさか……本当に狩って来るとはな……」
「まあ、俺……レストラン直属の食材調達人なんで。いくらぐらいになりますか?お肉はたくさんあるので全部買っていただけると助かるんですが……」
「しかもアイテムボックス持ちで、こんな……女の子って……」
卸市場の鑑定人さんは驚いている。無理もないだろう……野菜狩りをしにきた子供が、たった1日でSランクのレッドボアとワイルドボアを倒したのだから。そして、肉も大量にあるというので、お肉の買取をお願いすると……
「ああ!それはありがたい話だ!」
「じゃあ、お願いします」
「わかった。では、今から査定していこうか……」
こうして、俺はレッドボアとワイルドボアの肉を卸市場の人に売ったのだった。
そして……
「『白金貨5枚ぃ!?』」
「ああ。しっかりと肉磨きもしてあって、品質も抜群だ。この値段で間違いないと思うぞ?」
「は、はい……」
俺は……唖然としたのだった。そして、卸市場の人が白金貨5枚を俺に渡してくるので受け取る。
「・・・・・」
『にゃあ・・・』
「・・・」
『にゃ、にゃんか……凄いことになったのにゃ・・・』
「あ、ああ……」
俺はクロと顔を見合わせる。そして、白金貨5枚をアイテムボックスにしまうと、卸市場を後にしたのだった。