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異世界人2世×英雄の娘(妹)の食材探しの冒険譚  作者: みかんぼ〜@みかんが丘通信局
30/37

26頁:VSキングシャーモン(ボス格)

※1話あたりの予定執筆量よりもオーバーしちゃったので、後半のレストランギルドでの出来事は後書きスペースにて掲載します。

 すまん!!!

 夕飯のとき、俺が作ったメインディッシュを出してみると大好評で、ポッカを一捻りしたホイル焼きは大好評だった。


「これめっちゃ美味しい!」

「上品な味ですけどしつこくなくて……このポッカの香りと爽やかな後味がとても良いです!」

「このシチューも香りが良い……」

「それに、ホイル葉に包むという発想もすごいな……」

「こうすることで蒸し焼きにできるからな。さっき使用人さんたちにも食べて頂いたけど大好評だったぜ!キングトラウトでも美味しいと思うぞ」


 各々が感想を言う中で、俺は改めて親父の娘に生まれてきて良かったと心の底から思ったのだ。



 その夜のこと……

 俺とクロはスイさんの部屋にお邪魔して、明日の予定について話し合うことにした。


「私の仕掛けた罠に微かだけど、魔力量が多いときの反応が感じられたの。」

「そういえば感知魔法の罠入れてたもんな」

「そうそう。」

「でも、微量だろ?魔力反応が少ないのによく気がついたな。」とクロが言うと、スイさんは言ったのだ。


「ただ……もし相手が引っ掛かったらって考えたら少し気になってね……ほら、重要なことほど些細なことで結果が大きく変わるって言うでしょ?」


 彼女はそう言ったが確かにそうだ。


「そうだな。じゃあ明日朝イチは罠を確認だな!」


 そして俺は言った。


「あとさ、気になったんだけどそのボス格って……『すじこ』とかあったりするのか?」

「す……すじ……?」

「すじこ。丸いぷにぷにしたやつの集合体。魚の卵だよ」

「………。」

「……。」

「いや……知らないわね……」とスイさんは言う。


「そうか、なら良いんだ。」と俺は言ったが、彼女は続けたのだ。


「……でも、シャーモンがこの時期に凶暴化しやすいってなるとそのボス格が卵持っている可能性は十分にあるかもしれないわ。」

「あぁ。トラウト系の魔物、特にオスが凶暴化しやすい時期は2パターンある。繁殖期と産卵期。繁殖期はまぁ……確かにそうだが、産卵期はメスを守ろうとするからさらに凶暴になる。」

「オスが発情期のときは、気性が荒くなるから全然手に負えないわ。だから産卵期の魔物は危険なのよ。だからトラウト系じゃなくても気が立ってるはずよ!」とクロとスイさんは言うので俺は言った。


「よしっ!明日は早朝から気合い入れていくぞ!!」

「おーー!」



〜翌朝〜


 朝早く起きて俺とスイさん・クロは、罠に感知したボス格を捕まえるために早朝からカギア大滝に来ていた。


「昨日に比べて、天気悪いわね」


 スイさんが言うので俺は言った。


「そうか?こんな感じが普通じゃ無いのか?」


 俺がそう言うと彼女は言ったのだ。


「違うわよ。カギア大滝は年中安定しているから、こんな日は珍しいわ!」

「そうなのか……でも、雨降ってる方が魚も動きにくいし良くないか?それに罠の回収もしやすいし……」

と俺が言うとクロは言った。


「いや、この雨はおそらく『スコール』だ」

「スコール?」と俺が言うと彼はこう答えた。


「あぁ。カギア大滝に関わらず、この周辺では珍しいことでは無い。雨上がりに虹がかかることもある」

「そうなの?」


 そう言うと、スイさんは「でもこの感じは、違うわよ。恐らく……キングシャーモンが、意図的に天気を操作している可能性もあるわ」とスイさんは言った。


「でも、何でそんなことをするのか分かんないんだけど……」

「天敵から身を守るため……近づかせない……ためかもしれないわね」

「……そういうことか。やはり産卵期と見て間違いなさそうだ。」とクロは言う。


「じゃあ、この雨は……」

「そう!キングシャーモンが意図的に降らせているのよ!」とスイさんが言うので俺は言った。


「なら、そのスコールのどさくさに紛れてやるぞ。」


 俺は魔法で水中耐性・防水性の高い魔法をかけた。そして、「付与」の魔法で「雨具・防水」をスイとクロにも付与する。


「じゃあ……やるわよ。」



********************


 カギア大滝に行くと、とりわけ体の大きい個体が3匹ほど、水しぶきを上げて暴れている。


「いたな」

 俺は『魔力探知』で確認しながら言った。


「うん。あの3匹ね!でも、なんか……他の個体より大きいわね……」


【鑑定魔法:結果『クイーンシャーモン』3匹】


「産卵する前に2匹取るか。一番大きいやつはスルーで」

「何でよ!?やるなら全部……」

「いや、シャーモンの生態系守るならこうするしかないと思う。それを食える機会を失うことも怖いけど……一番は食の循環が大事だと思うから。」

「そう……ね。」


 しかし、大きな個体囲むようにキングシャーモンがくるくると回っており、どの道取り付く島がない。


「と網は難しいから、一旦雷魔法でココにいるキングシャーモンを全部気絶させて捕まえちゃったほうが早いな。」

「え?」

「しかし、これだけの数になると魔力かなり消費すると思うが?」

 俺は、クロにそう言われたが「別に大丈夫だろ」と言うと、「なるほど。」と言われてしまった……


 ちょっとはカッコつけさせろ!


 ……というわけで、俺はあまり強くないサンダーを打ち込んだらみんな気絶した。

 ここの魔物たち、アホなのか?


「……え?」とスイさんは、ずっと驚いていた。


「やったな!」


 そう言うと俺は手を叩いた。それを見てスイさんも、合わせてくれた。その顔をみた彼女はこう言ったのだ。


「ね……ねぇ?今思ったけど……最初からそうやる気だったんでしょ!?」

「もちろん!楽に倒せたほうが良くないか?」


 その言葉に反応したのはクロだった。


「……ちょっと心配だったが……お前にしてはいい判断だ」

「……よしっ!じゃあちゃっちゃと捕まえるか!『氷結』!」


 俺たちはキングシャーモンのボス格、クイーンシャーモンを二匹ゲットした。

 レストランギルドに持っていくと……

 はい。両ギルドの長と卸売市場の市場長がすっ飛んできました。当然ですよねぇ……(汗)


「これは……」

「間違いねぇ……『クイーンシャーモン』だ……」

「これは、クイーンシャーモンなのか!?」

「まさか……あの言い伝えは本当だったのか……」とオヤジどもが言い合っている。


「この1体だけで1,000匹はいるぞ!」


 市場長のおじさんが言う。


「あぁ、間違いない。クイーンシャーモンだ」と卸売市場の社長も言った。


 そして、その2人はこう続けるのだ。


「でも、何でこんな数の群れが1つの滝に……」


「しかも、まだ卵を産んでいない個体……」


 すると、卸売市場長がこう言ったんだ。


「いや……そもそもクイーンシャーモンは産卵期で、あの険しい山道を通った先の大滝に居ると聞いたことあるぞ。しかもその獲物を……スイお嬢様と……若いお嬢ちゃんが……」

「若いお嬢ちゃんじゃなくて、『ミライ』様よ!」

「あ……あぁ、ミライ様」

「そのミライ様が、あのキングシャーモンを捕まえたんだ。しかも2匹もな。」


 クイーンシャーモンを目の前にしたルクセンブルクの冒険者ギルドとレストランギルドのギルド長のおっさんたちは、ドン引きなのか、感動なのか、はたまた恐怖なのかよく分からない表情だ。


「この時期のトラウト系の魔物は、ボロボロになってて、とてもとは言えんがあまり身が美味しくない。しかし、クイーンシャーモンだけは違う……むしろ身が引き締まっていると言うんだ。まるで、キングシャーモンのように!」とレストランギルド長のおっさんが言うと、卸売市場の社長が「いや、むしろキングシャーモンより肉質は柔らかい。こいつは脂が乗っててうまいぞ!」と返すので驚いた。

 そして、俺はクイーンシャーモンの髭の部分を引っ張ってみた。確かに身も柔らかく、今までに味わったことがないような弾力性でフワッとしていた。

「これはすごいな!良質のトラウト系だぞ」と俺が喜ぶとスイさんは言ったのだ。


「まぁ、でも解体はしないで内蔵と卵だけ取り除いて、氷漬けで高級レストランに流れるのが一般的よ。断面は……そうね、左の方が質がいいみたい。」

「なるほど、んで買い取っても良いんですか?本当に。」

「えぇ。その代わり、どちらか一匹と卵を俺にくれれば大丈夫ですよ。」

「なっ、卵を……!?」

「はい!もともと、親父の命令で『なんとしてでも『すじこ』は持って帰ってこい』ってうるさくて……」

「パーリ市の連中は、本当に狂ったやつが多いな……。魚を生で喰らったり、卵を食いたいと抜かすなんてよ!」

「まぁ、魔物の肉ならギリギリ食えるけどな」と卸売市場の社長が言う。

「ほんと驚きだよ!こんなトラウト系の魚なんか……」


 商業ギルド長も言ったが、俺は気になって質問した。


「え?ココのトラウト系はそうですよね?」


 すると彼はこう言ったのだ。


「あぁ……しかし、この魚はほとんどはパーリ市に行くだろうな……」

「やっぱりか。」


 その騒ぎを聞きつけた、レストランギルドの職員やフードバイヤー達がぞろぞろとやってきた。


「おい、あのデカいシャーモン、キングシャーモンの上……クイーンシャーモンじゃねぇか!?」

「嘘だろ!?そんなわけ無いだろ!!!」

「でも、あのシャーモン、格が違うんだってば!」


 野次馬たちが俺達の目の前にある、クイーンシャーモンを見て言う。


「おい!あのキングシャーモンを生で食おうってのか!?」と市場長のおじさんが俺に向かって言うので俺は言った。

「はい!その予定です!」

「おいおい、正気かよ?あんなの食ったら死ぬぞ」

「いや……まぁ……そうなんですけど、でも……」

「?」


 そして俺は言った。


「……『すじこ』は食べたいんで!!」


〜1時間後〜


 結局『すじこ』と一匹のクイーンシャーモンは、レストランギルドの皆の反対を押し切り、俺が全部買い取ることになった。

 ちなみにこの騒ぎを聞きつけて、来た人たちの中にはクオカフ村の人もいたみたいで、「ちょっと……気になるな」とか言いながら見て回っている。


「ふぅ……ミッションはコンプリートだな!んで、終わったら追加で依頼したいことがあるって領主様が言ってたから、屋敷に一旦戻るか」

「そうだな。それに……嫌な予感がする……」

そして、俺達VSキングシャーモンのバトルは終わったのだった。

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