22頁:お嬢様の魔法指導
今日から本格的に、依頼をこなす事になった。まずはルーゼンブルク騎士団にA級からS級の魔獣を倒すときの対処法について。
セレさんのときと同じ説明をし、実際に魔法と剣術の連携を試すことになった。
「えーっと、主と対戦してみたい方は前へ」
クロ。お前何で人間の姿のままちゃっかり俺の隣にいるの?セレさんたちにはすらっと「最近人間にも化けれるようになりまして……」とは伝えたけども!!何でだよ。
「では、私が」と一人の剣士が前へと出る。
「では、この私!ルーゼンブルク騎士団の副団長がお相手しましょう」
なんか勝つ自信満々だな。ま、気持ちは分からんでもない。
俺は相手に向き直り……彼は剣を構える。
「さあ、どこからでもどうぞ」
「……では、遠慮なく」
俺は、取り敢えず手先を狙って木剣をかざして武器を外す。手首の付け根と親指の付け根の間くらいを簡単につつくと、簡単に手に持っている武器を手放した。
「なっ!」
そして俺は、その剣で相手の頭を狙う。
カァァァン!!
俺は、その木剣を振り下ろし……相手の頭へと剣が当たる。
「くっ!」
そして、彼はそのまま地面に倒れ込んだ。
「剣はリーチが長いんです。」
「は、はい……」と相手は言う。そして、俺はこう言ったのだ。
「剣を使うときは、常に自分が持っている武器の特徴を考えるんです。片手剣は刺すことに特化していますが、横に向きを変えれば、叩くときに思いっきり衝撃を与えることも可能です。片手剣は『叩く』に特化しており、両手剣は『貫く』に特化した武器です。両手剣は『突く』ことには向かないですが、『叩く』ことなら片手剣の方が上です。」
「は、はい……」と彼は言ったのだ。
「あの女の子、一度も動かなかったぞ」
「ああ、あと重心もブレていない。」
「は、はい……」と彼は言う。
「次!俺だ!!」
「いえ、私よ!!」と、騎士団の中が盛り上がる。
「いいえ!次は私にやらさせてください!」
「セレスティアお嬢様!?」
次はどうやら、セレさんらしい。
「では、私ですね」と彼女は言う。
そして、俺は彼女にこう言ったのだ。
「……手加減は無用です」と、すると彼女は言ったのだ。
「ええ!もちろんです!」と、そして彼女は木剣を構える。
「では……行きますよ?」と言ってから構えた。
すると彼女は、あの重い両手剣の木剣を軽々と持ち上げて、そして構える。
俺は思わず、こう思った。
『……あれ?この子、もしかして俺より強い?』と。
「行きますよ!」と言ってから彼女は木剣を振り下ろした!
すると、刃の向きを上に向けて振り下ろした。
「え?」
そして、彼女はそのまま俺の頭へと剣を振り落とした。
カァァン!
俺は、その木剣を片手で受け止めて……横に流す。しかし、彼女は追い打ちを仕掛けてくる。
しかし、それを受け止めてから、俺は言ったのだ。
「そんなんじゃ、だめです」
そして、俺は彼女の攻撃の隙をついて胴を薙ぎ、そしてそのまま俺はこう叫ぶ。
「ほっ!」と振り下ろした剣を素早くかわすセレさんに向かって飛びつき、左手を頭に添えてから振り上げ、その勢いで彼女の手にあった木剣を弾き飛ばす。
そして、俺はこう言ったのだ。
「はい!俺の勝ちです」と。
するとセレさんは……「お見事でした……」と言ったのだった。
「あのーセレスティアお嬢様?」
「何でしょうか?副団長」とセレさんは言う。
「あの……この方の実力は……」
「……私よりも上です」と彼女は言ったのだ。「……」と副団長は唖然としている。その横で、セレさんは話を続けたのだ。
「というか……構え方が私たちと異なると言うか……あっ!悪く言うわけじゃないんです。実戦向けの構え方って、こう……もっと剣先を上にして、そして構えるときに剣を逆手持ちするんです。」
「それは存じていますが、魔物相手には通用しないので、とりあえず叩いて身を傷つけないようにしているので……」
「あっ、食材確保のときはそういう風に優先しているのですね(汗)」
「はい!」と俺は元気よく返事をした。
(一同爆笑)
「んで、その前にアイスアローで首元を貫くのか。それなら確かに、狼も殺せるわな」
「弱点貫いてから剣で……確かにそれだったら簡単にダメージを与えて倒せるな。失血死で、」
「確かにそうですね。ですけど、その弱点を突くのは……」
「私でも、無理ですね。」とセレさんが言った。
「それなら、頸動脈っすね。四足歩行系は弱点さらしてるようなものなので、簡単に倒せます。首元のほうが太いんで俺ついやっちゃうんですけどね」
「なるほど……」とセレさんが言った。
こんな感じに午前中は騎士団の人と訓練をやった。
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午後はセレさんの魔法特訓。
最初は魔法学専門の家庭教師と練習していたのだが、うまく魔法が出せない様子だった。
魔力の流れを可視化する魔法で見たところ、魔法が上手くできない理由は、おそらく、魔力の流れる『出口』に問題があった。
「これは……俺が口挟んでも大丈夫かな……?」とクロに訊くと、「いいんじゃない?」と言われたので俺はこう訊いたのだ。
「セレさん、一つ提案です」
「何でしょうか?ミライさん。」
「指先に力を込めるのではなくて、水の流れを意識して指先に放出するような感じでやってみてください。」
「えっと……こっおっっっ!?」
セレさんが、言われたとおりに魔法を放つと大量の水が放出され、その水が空中で球体となって浮いた。
「う……うまくやれました!」
「その水の流れを一定の方向に動かして、放出するイメージでやってみて。」
「はい!こうでしょうか?えいっ!!」と、彼女は魔法を放つ。すると……
ドォーン!!と、大きな音を立てて水は木に直撃した。その衝撃で、木がしなる。
「す……すごいな……」
「これはまた違う意味で凄いですね。」とセレさんは言ったのだ。
「でも……これだと威力を調整できないのでは?」と俺は思ったことを口に出した。すると家庭教師の人が言う。
「そうですね……ですが『魔力』というエネルギーは、人それぞれです。魔力の流れを意識して、出来る人もいれば、想像すれば魔法を意のままに操れる人もいますから……」
「なるほど。」
「ちなみに貴方はどのように魔法を学び、習得されました?」
家庭教師の人にそう訊かれて、俺はこう答えた。
「まずは座禅で意識を集中させて魔力の流れをコントロールするでしょ?その時に使いたい魔法をイメージしたりして、それを魔力に乗せて放出する練習をしてたりとかしてました。」
「ざぜん……?」とセレさん。
「例えば、網膜に魔力の膜を漂わせ、目に見える情報を文字化したり、魔力の流れを感知する事が出来る『鑑定魔法』。物質の概念を理解し、生成する『自然魔法』。生物や人の体を医学的な概念で理解し、傷を塞いだり体力を回復する『医学魔法』。俺の場合は、その『医学魔法』と『鑑定魔法』を交えて、弱点を捉えたり、解体する時に用いる『狩猟魔法』というオリジナルの魔法を作ったりしました。」
「すごいです!」
「といっても、普通はこんなこと出来ないみたいで、適正というものがあるそうです。例えば、セレさんの場合、『体の調子以外にも悪い言葉や気分、その生命にとって健康を及ぼすものを吸収して浄化する』魔力の質のようですから、『医学魔法』・『浄化魔法』の適性があると思います。自然魔法だったら、『水』と『氷』かな?」
「そっ……そこまで……!?」
「何にしろ、魔法を叩き込む以前にその分野の座学を勉強して、魔力の流れを特訓するほうが良いかもです。」
俺は自分が魔法を使うとき、親父が教えてくれた方法をそのまま教えた。
「座学……ですか?」
「ええ例えば、動物は怪我をしたとき、血が出てきますよね?」
「確かに……」
「それは、体の中で『常に』流れているから、血が出ちゃうんです。」
「……あっ!なるほど!」
するとセレさんは、先程の魔法をもう一度、行った。
「……出来た」とセレさんは言った。
「見たところは完璧ですね。じゃあ今度はその魔力の流れを意識して……『流体』……水をイメージしてみてください。」
「はい!こうですか?」とセレさんが言った。
ドォォォン!!
大きな音を立てて水は木に直撃した。その衝撃で、木の根が折れてしなった。そして俺はこう言った。
「うん、いい感じの威力で命中しましたね!次は、もう一度魔法で水を出して、周辺の『熱』を取り除いてみましょう。そうすればどうなると思いますか?」
「『氷』です。」
「正解です!じゃあ、水は『熱を冷ます』から『氷』になる。その逆も出来ますよね?」
「……はい!」とセレさんが言ったのだ。
「詠唱もせずに成功するとは……」も家庭教師の人は驚いていた。
「詠唱は、その魔法の創造を『想像』するためのものですから、無くても良いんです。しっかり頭の中にイメージが出来てれば、詠唱をしなくても魔法は使えるんです。」
「なるほど……勉強になります。」
「あと、魔法を学んでいる中で火種を作りたいなって思った場合や水を氷に変えて放とうかな?って時にも使えるのがこの『流体』という技術です。」
「なるほど……」
こんな感じで、俺が親父に教えてもらった魔法の概念を話しながら実演していると、一人の女の子がやって来たのだった。




