17頁:食べ歩きスイーツを喰らう!
卸売市場を見て回ったあとは、今回の目的……商業スペースで、スイーツを堪能する。
「おぉ……!」
「ここのお店、私が好きなクレープ屋さんなんです。」
「クレープ……ですか。」
セレさんはそう言って、お店の中に入る。
『にゃっ!』とクロが言うので俺はその方向を見る。するとそこには……
くるくると巻いてあるクレープを持っている人たちが居て、それを食べながら歩いている人たちが多いのだ。
「ここのお店は、皿に盛るのではなくて、くるくるっと重ねて巻くことで、片手で簡単に食べられるようになっている進化系スイーツなんですよ。」
「へぇー。」
「では、いくつか頼んできます!待っててくださいね!」
そう言って、セレさんはお店のカウンターに並んでいる。
なんかこう言うのって俺の偏見になっちゃうんだけど、貴族がいると「お先にどうぞ」展開になりそうだなーって思ってたけど、セレさんは、みんなと同じように並んで注文するらしい。
数分後、セレさんがクレープを2つ持って戻ってきた。
「お待たせしました!『ミノリイヌの果物とクイーンカウカウホイップのクレープ』と『イチゴーンのアイスクリームクレープ』です!」
可愛らしい見た目で、美味しそうな盛り付けがされている。
「ありがとうございます!じゃあ、いただきます!」
『にゃっ!』
俺はクレープを持って頬張る。すると、とても美味しいのだ。
「美味しい……」と俺が言うと、セレさんは言った。
「このお店のクレープは、生クリームが甘すぎずさっぱりとした味わいで、イチゴーンのアイスクリームも甘さ控えめで口当たりが良くて……あとミノリイヌの果物はとても甘酸っぱくて、果物本来の味がしっかりしているんです。」
「なるほど……」と言いながら俺は2つとも食べ終わったのでお会計をしようとすると……
「あ、ココは前払いシステムなのでもう支払いましたよ?」
「えっ!?そうなんですか!!??ごちそうさまです!」
「どういたしまして。」
そしてセレさんは、クレープを美味しそうに頬張りながら言うのだった……。
「でも、本当に美味しいですね!このミノリイヌの果物とクイーンカウカウホイップのクレープは!」
「はい!とても美味しいです!」
そんな会話を交わしつつ、俺たちは食べ歩きを続ける。
「次は……」
『にゃっ!』とクロが言うので俺はその方向を見る。するとそこには……
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「あ、あれって……トルティーアイスのお店!!!」
トルティーアイス。親父曰く、めちゃくちゃのびるアイスクリーム。
スライムボディーをアイスクリームの原材料に入れてカチカチになっては混ぜて、カチカチにしては混ぜてを繰り返すと、空気が絶妙に入った、伸び〜るアイスクリームができるらしい。
親父も何度か作ったことはあるらしいが、中々体力がいる作業みたいで、苦戦してた。姉貴が簡易的なやり方を編み出してからは、その方法に頼り切ってる。
「本場のトルティーアイス食べてみたかったんだよなぁ……じゃあ、もう終わりかけだし、全部食べちゃうか!」
そう言って、俺はクレープを一気に食べ終える。
そして、その店でトルティーアイスを注文する。
「すみません!カウカウミルクのL1つ!」
「えぇ!?」
「は、はい?」と店員さんが言う。
「あ、あの……一人でですか?」
「はい!お願いします!」
注文して届いたのは、大きいワッフルコーンに沢山のトルティーアイスが乗った、オーソドックスなデザインのものだ。しかも大盛り。
俺はそれを頬張る。
「うまぁ……」
「3人分サイズを1人で……もう半分……」とセレさんは言っていたが、俺は気にせず食べ進める。
「もちもちってしているのに、口に入れるとツルッてとろけるこの感覚……幸せぇ……。しかもミルクの甘さがそのままギュってなっていてくどくないの好きぃ……。」
『いつも思うんにゃが……お前の胃袋……どうなっているんにゃ??』と、俺のお腹を見て言うクロに俺はこう答えた。
「え〜……?でも俺、一日5食食べたり食べなかったりするし……」
『にゃ?!』とクロが言うので俺は言う。
「じゃあ聞くけど、お前の燃費の悪さは一体なんなんだよ?」
『にゃにゃっ……!!』と言って黙り込んだ。
結局セレさんが俺達の食いっぷりにドン引きしてたのは言うまでもないだろう……。




