12頁:授与式
当日。
一家全員、王室の立ち入りの時にかなーり緊張しているようだ。
「久しぶりに会うとはいえ、今は国王だもんな……敬語必須か?いや、あいつ俺見かけたらタメで話してきそう……」
「姉貴は大丈夫だもんな。立ち振舞がもう貴族だし」
「そう言っていただけるのは嬉しいけど、私なんてまだまだだよ……」
「いや、姉貴は十分すごいって」
そんな会話をしていると、王室の門が開いた。
「よし、じゃあいくか!」
「うん!」
『にゃあ!』
俺たちは親父と姉貴についていくように中に入った。すると、国王様のお付きの方と思われる方から声がかかる。
「皆様……ようこそお越しくださいました」
俺たちの目の前にいるのはこの国の王位継承権第一位の王子らしい。
「はじめまして。荻野と申します。お父様には昔、お世話になっておりました」
親父は満面の笑みで言う。
「そうですか。父は昔の話などはあまりしないものですから……。こうしてお会いできて光栄です。」
「いや、すごいのは君のお父様だから!!まじで!!!」と、親父がツッコミを入れる。
「あ……そ、そうですか……」と王子は引き気味に言う。
そして俺は、そんな2人のやり取りを見て思った。
親父、結構国王様と親しいんだな。でも、その辺の話って聞かないんだよな。俺は聞きたかったので早速聞いてみることにしたのだ。
「親父と国王様ってどんな関係なんだ?」
「彼とはパーティーの仲間の中でも話が合うし、気も合うから結構仲は良かったな」
「へぇ〜」と俺は言った。すると、王子が聞く。
「父上のパーティー仲間だったんですね!それは……すごい!」
「まぁな。あいつも実をいうと第1王子の身分で、民の生命を脅かしているから、自分だけでも責務を全うしたい!って人物でな〜……俺の料理も最初はめっちゃ警戒してたわ(笑)」
「そりゃそうだろ!」
そんな話をしながら俺たちは宮殿の中に入った。
そこにはいろんな人が集まって見えており、煌びやかなドレスや高級なタキシードに身を包んだ人たちは、会場にいる人を歓迎するように並んでいた。
俺達が会場に入ると、めっちゃ騒がしくなった……原因は多分、親父!!!(汗)
すると、「こっち」と言って手招きする男性がいた。その姿は、イガクさんだった。
「イガクさんっ!」
「よぉ、ミライちゃん久しぶり!」
「お久しぶりです。」
「それに、アカリちゃんも大きくなったなぁ……」
「お、お久しぶりです……」と姉貴は緊張しながら言った。
それに貴族たちは親父のことをずーっと見ている感じだった。
袴とか言う、親父のいた世界の国ではかなり格式が高い服装で着ており、姉貴は振袖という未婚の女性が着る礼装のため、皆の注目の的になっていた。
「2人とも、すごく綺麗だよ」
「ありがとうございます。イガクさん!」と姉貴が言うと、俺は少し恥ずかしそうに言った。
「ありがとぅ、ございます……」
すると親父は言う。
「当たり前だろ!俺が見立てたんだからな!!」
そう言って胸を張るのだった……。
そんな俺達のやりとりを見てか、貴族たちはヒソヒソと雑談をする。そして何人かはこう言ったのだ。
(元英雄で元国王様のパーティーの仲間と娘さん達かしら……?それにあの店の名前は確か……)
(まさかな……そんなわけ無いよな?)
アハハ……(汗)
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そうこうしているうちに、会場が暗くなり、音楽が流れ始める。そしてステージの上のカーテンから国王様が出てきた。
「皆様、本日はよくお越しくださいました。本日は褒章授与及び、献上式を執り行いたいと思います。それでは、まず……本日お集まりいただいた皆様にご挨拶をさせていただきたく存じます」
国王様は、客席向かって言うのだった。
「では、これより献上の儀を始めます」
そして、色んな服や調度品、そして……俺が売ったドレスや礼装、そして……
「アレってレッドボアのお肉じゃない!?」
「めっちゃ神々しい……」
俺が狩って磨いた肉がその場にあった。調度品と負けず劣らず、神々しくて幻想的な光景だ……。
会場にいる人は皆、その光景に魅了されていた。
献上式が終わると次は褒章授与が行われた。
褒章というのは、国にとって大きな物事を成し遂げた貴族や、国を救って英雄になった者などに与えられるもので、親父たちは昔『レッド・タイ』という「危険と自身の生命を顧みず、国の安全や国民の平和を守った者」に送られる勲章を貰ったらしい。
『レッド』は、世界最強の称号の一つであり、それを受け取ったものは『名誉国民』となる。
それ以外に、イエロー・グリーン・オレンジ・ブラウンの4種類があって、『オレンジ』はレッドタイの下位互換。『ブラウン』は、騎士や軍衣に所属している人が貰うもの。
『イエロー』は主に貴族が文化的・学術的な分野で大きな功績を残したものに授与される。
『グリーン』はイエロー・タイの国民・文民バージョンだ。
ちなみにコレは余談だが、男性の勲章・褒章は『タイ』と呼ばれ、女性は『リボン』と呼ばれる。
最近は王国内で性境界を取っ払うと言う概念の提唱を推奨しており、近々『ターフ』と呼ばれるものに統合されるらしい。
中には学生さんとかいて、新しい魔法の概念を提唱したり、国単位の大きな大会で優勝を収めるなどすると招待されるとかで、この授与式は人気らしい。
そして、何故か俺も褒章授与されることになったのだ。
「何で!?」
俺は思わず叫んでしまう。
『にゃあ』
クロは「まぁ、頑張れ」と言うように鳴くのだった……。




