11頁:王都へ!
俺はレッドボアを狩ったことで献上式に参加することになったと親父に伝えたら……2人は驚いて叫んだ。
「嘘だろ!?」
「嘘でしょ……?」
2人とも目を見開き、口をあんぐり開けて硬直している。まるで時間が止まったかのように微動だにしないので俺は心配になったが……突然、我に返ったのか俺に言う。
「ちょ……まっ!待ってくれミライ!」
「いや待てって言われも……」
俺が困った顔で言うと、姉貴が言う。
「コレは……家族全員で参加しなきゃ!」
「えっ!?」
「あぁ、久しぶりにアイツに会いに行きたいしな!そうなったら、2週間の今頃…1週間は店を閉めておかないとな。」
「え……?えぇ!?」
親父と姉貴は、目を輝かせながら言う。俺は困惑した。
「ん?どうした?」
「どうしたのミライ?」
「あ……いや……」
2人は俺を見る。俺は顔を下に向けて言った。
「その……家族全員って……?」
「え?」
2人はきょとんとした顔で俺をみる。俺は、恐る恐る聞いた。
「……親父もくるの??」
すると親父はこう言った。
「当たり前だろ!なんたって、今の国王はかつての仲間……元英雄だったからな!久しぶりに挨拶しに行くのも悪くないだろ?」
「え?えぇ……!?」
俺は困惑した。親父は、俺の肩をポンっと叩いて言う。
「まぁ、ミライが行くってんなら私も一緒にいくよ!」
『にゃー!』
クロも俺について行く気満々で鳴く。俺はため息を吐いて言った。
「はぁ〜……わかった」
こうして、俺と姉貴と親父は王都に向かうことになったのだった……。
数日後。
「え?来週はお休みなのかい!?」
「すみません。父の古き親友に会いに行くと言って聞かないんです……」
「それなら仕方ないわね……」
俺は常連さんに事情を説明する。俺が王都に行くのは内緒にしてほしいと親父に懇願したら、「古き良き親友に会いに遊びに行くって名目で!」と親父が提案してきたのだ。
それで、一応魔導版に緊急でお休みの日時を記載し、常連さんやギルドのスタッフに伝えたのだった。
「ミライちゃん……本当にごめんね?」
「いえ、大丈夫です!」
俺は笑顔で答える。すると、姉貴が言う。
「お父さんが迷惑かけると思うけど、よろしくね」
「はい!任せてください!」
こうして、俺の王都行きが決まったのだった。そして、親父と姉貴は1週間後に俺と一緒に王都に向かうための準備をし始めたのだった。
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1週間後……俺と親父と姉貴は馬車に乗って移動していた。
親父と姉貴は和服の礼装で参加することになったが、俺だけドレスになっていた。
「なぁ、親父……何で俺だけドレスなの……?」
「俺の古き親友……仲間とは言え、国王に謁見するんだからそれなりの格好をしていかないと!」
親父は鼻高々に言う。
「えぇ〜〜!姉貴と同じ色無地でいいじゃん!何でダメなんだよ!」
「いや、これはこれで、正式な服装だし!というかミライ!!あなた国王様の目の前で挨拶しなきゃいけないんだよ!?そんな不格好な服装でいけると思う!?」
「それは……そうなんだけど……」
俺は少し恥ずかしくなり、俯く。すると親父は言う。
「まぁ、いいじゃん!俺の娘たちは世界一可愛いから!!」
「ちょっとお父さん!?ミライに迷惑かけないでよね!」
姉貴は怒って言うが、俺はため息を吐いて諦めたのだった。
そして俺たちは馬車に乗って王都へ向かった。といっても、パーリ市街から半日ほどで着くんだけどさ……
〜数時間後〜
「うわぁ……!」
『にゃー!すごい景色だにゃ……』
(そういえば、クロって衰弱化した魔王だもんな。念の為、鑑定魔法とか認識魔法を使えないようにしとかないと!)
俺はクロが衰弱化して魔王だということを知られないように認識阻害魔法を使う。そして、クロには「絶対喋っちゃダメだからね!」と強く言い聞かせたのだった。
「ミライ……どうした?なんかあったか??」
親父が俺に聞く。俺は笑顔で答えた。
「ううん、なんでもないよ」
『にゃー!』
俺たちは王都に到着したのだ。
前もって、数日前に来たのでまずは俺のドレスを買うため、仕立て屋に行くことにした。
「ねぇ、親父……」
「ん?なんだ?」
親父は俺をジロっと見る。俺は恥ずかしそうに言った。
「その……あんまり派手じゃなくて、冠婚葬祭で着回しできそうな服でお願いしたいんだけどいけそう……??」
「うん!大丈夫だ!!じゃあ、早速服屋に行こう!!」
『にゃー!!』
俺たちは仕立て屋に向かう。
しかし、俺の想像していたドレスとは違いどれも華奢なデザインのものばかり。
「うーん……」と悩んでいると、親父が俺に言う。
「ミライはどんな服がいい?」
『にゃあ?どんな格好するにゃ?』
俺はクロに念話で伝える。
(えっとね、俺って異世界人2世じゃん?だから、あまり目立たないような服装でお願いしたいんだよね)
(なるほどな……)
すると、親父が言う。
「じゃあ、このドレスなんてどうだ?シンプルだけど可愛いし!」
そう言って親父はフリルのついた黒いドレスを俺に見せてくる。
「えぇ〜コレ可愛すぎるよ〜!」
俺は戸惑いながら言うが、親父は言う。
「ミライは元英雄の娘なんだ!これくらい着こなせなくてどうする!!」
「うぐっ……」
俺は何も言い返せなかった。そして結局そのドレスを購入することにしたのだった……
トホホ……




