Ⅰ 蒼い空の中
ただ、透き通る空の色を見ていた。
月明かりに照らされて、蒼く輝く夜の光は、どこか寂しくて、切なくて、でも、きらきらと輝いてる。
一人見上げていると、聞きなれた足音。
隣に生まれる、少し早い息遣い。
「どうしたの、こんな夜遅くに?」
問い詰めるでも、いぶかしむでもなく、ただ声をかけるだけの優しい優しい響き。
冬の空に響く、暖かな音色。
「見てごらん、月があんなにでっかい」
綺麗だでも感動したでもない、色気のない自分の言葉にがっかりする俺に、彼女は寄り添う。
腕を絡めて、体を預けて、俺に頼るように守るようにそっと寄り添ってくれる。
そのぬくもりが嬉しくて、俺は空いている左手で彼女の髪をなでた。
世紀末。
世界は審判の日を迎えた。
天からの火は地上に降り注がず、穢れを流しつくすはずの清流は海に留まり、恐怖の存在は空より降臨する事はなかったけど、滅びは静かに世界に撒かれていた。
それを防いだのは、どこにでもいる少年少女たち。
そして、その中心で犠牲になる運命を背負った一人の少女。
だが。
その運命にあがなう者がいた。
その呪縛を断ち切ろうともがく者たちがいた。
小さな小さなその力は、やがてひとつの奇跡につながる。
そして、未来への軌跡を歩みだす。
ありふれた明日を、願ったものたちの戦いは、終わったんだ。
「あのね」
少女はつぶやく。
空を見上げる視線を傍らの黒い瞳に移す。
そこに浮かぶのは微笑み。
「ありがとう」
たった一つの言葉が、俺の心を満たす。
だけど照れくさくて、俺は彼女の頭をぎゅっと抱きしめたんだ。
どんな戦いがあったかとか、機会があったら書くかも知れませんが、とりあえず普通の世界の普通の物語と思ってもらえればいいかなぁとおもいます。
予定は未定ですが(ーー;)