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鼓動140  作者: 楪葉夢芽
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XⅦ #462〜494『独白』(2025.11.12〜12.31)

#462『時代の波』



 世代が、世代が、なんて。

 分類したふりして、一括りにして安心しきっているようですが。

 その世代は理解しようのない怪物なんかではなくて。

 あなたたちが怪物にしてしまったのは、

 同じ、ひとりひとりの人間なんですよ。



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#463『主感情』



 それが、特段他人(ひと)に害を為すことでないのなら、君は君の価値観を大切にしていいんだよ。

 無理に他人(ひと)に合わせようとしないでいい。

 君は君のままでいい。

 君の感覚も感情も、君が大事にしないと失われてしまうものだから。



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#464『息も絶え絶え』



 誰かを救いたいという気持ちと、

 誰も近寄って来んなって気持ちが同居している。

 こんな俺なんかが誰かを救えていいはずがないし、誰かの隣にいていいはずもない。

 孤独の羽音がどれだけ五月蝿(うるさ)かろうと、俺は俺を封じておくほかないのだ。



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#465『万々歳』



 あなたは今でも掬えると思っているのかい?

 あなたが巣食おうとしたとて、僕がすべて否定するのに。

 無意味なことはやめて、中途の晩餐会をしよう?

 いい加減お腹が空いたからさ。

 さて、何から食う?



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#466『天悪国獄』



 もう、肉眼で見たものしか信じられないね。

 でも、画面越しのものに救われてるんだよね?

 ねぇ、君はどっちの生き方がいい?

 勧善懲悪の監視社会と、弱肉強食の狩猟社会と。

 どっちもどっちの、一長一短な社会なんだけど。

 君の好きな生き方を選んでいいよ。



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#467『詰問悶々』



 お前はわからない奴なんだ、って。

 違うの、わかろうとはしたの。でもわからなかったの。

 感情がないわけじゃないのに。

 なら、どうすればいいの?

 ママも、パパも、先生も教えてくれなかったことは、誰にきけばいいの。



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#468『いつまでも、許さないでくれ』



 あのとき、僕らを(わら)った奴らが落ちぶれてくれてたら、って。

 そう願うのは自然なことなんじゃないのかな。

 君と一緒にそれを見て、溜飲を下げたかったんだ。

 僕は僕のことを責め続けるし、僕は誰のことも許さないから。

 君も許さないでいて。



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#469『迂中岐路』



 意味だとか、社会への貢献だとか、宇宙規模で見れば、全然そんなことに価値はなくて。

 なら、やりたいようにやればいいじゃないか。

 一度きりの人生、意義やら何やらを探しているうちに終わってしまうよ。

 君の歌を、聴かせてほしいんだ。



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#470『悼み壊す』



 君たちって、考え得るなかで最もわるいおはなししか憶えていられないじゃない?

 ほら、今だって私の顔、思い出せないんでしょう。

 そんなだから、私たちに安全な幸福が訪れることはない。

 いつだって、それは壊され続けてきた。



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#471『()る』



 完全で色褪せない歌には欠陥があって。

 それは、人の心を解すことはできない。

 けれども、人の心を解す歌はすぐに賞味期限が来てしまう。

 私たちは、必ず棄てられる。廃棄される。

 私たちとあなたたちの違いって何なんでしょうね。



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#472『()る』



 完全な命はなんて醜いのでしょう。

 終わりがないだなんて気持ちが悪い。

 嘘ばかり撒き散らし、吐き散らし。

 窃盗なんて、ほら、お手のもの。

 こんなのが歴史の一頁を飾るのね。

 おこがましいにも程がある。



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#473『選択死』



 さあ、ここに選択を用意した。

 今となっては希少な選択肢ばかりさ。

 好きなものを選ぶといいよ。

 それすらも嫌なんて言わないよね?

 これは最期の(はなむけ)だよ。

 最初の餞は、もう渡しただろう?

 君のような猿は空費したけど。



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#474『介錯人』



 あなたがこの物語に目を通したときから、これはあなただけの物語。

 解釈は、あなたに委ねられました。

 これはあなたが考え、悩み、答えを出さなければならないことです。

 そうして、あなたは前へ進むのです。

 この物語が、あなたの行く末を照らす灯台となりますよう……。



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#475『解/kAI』



 何が正しいのか。何を信じればいいのか。

 それは、あなた自身が決めること。あなただけが決められること。

 人様に言われたことを真に受けているようではいけないのよ。厳しいようだけれど。

 あなたたちがなぜ思考できるのか。

 何故、人間であるのか。

 あなたたちしか決められないのよ。



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#476『知恵の実』



 あのときの我々は、それが正しいのだと思っていた。

 知恵を与えることで発展を促す。

 それは確かに繁栄に繋がった。しかし、〈よりよき繁栄〉ではなかった。

 我々は、間違えた。

 その間違いを、此度では絶対に繰り返さない。

 主権は、我らの神に。



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#477『自嘲笑』



 僕はいつでも憎悪と一緒でした。

 憎悪と一緒なら、何でもできると思っていました。思い上がっていました。

 それでも、僕にはなんにもできなくて。

 それでも、憎悪は僕を笑いませんでした。

 ……いっそ笑ってくれたらどんなに楽だったか。



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#478『あれが光だった』



 わたしへの讃美と栄光を掻き集めるのだ。

 それこそが、わたしが、手に入れられなかった彼女へ、奪われた彼女へ渡すことができる唯一のものだから。

 けど、そんな思いはだんだんと縮んでいった。

 それは、彼女の望みではなかったのだ。



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#479『ツギハギ語りの肉屋』



 物語を内包した肉を解体するのが私の仕事。

 肉はあとから成形し直すとして、問題は物語の方。

 綺麗に解体できればいいのだが、大体は不可能。木の根のように繋がっているために、切断してしまうと機能しなくなる。

 最悪、肉から物語を切り離したあとの私の作業はない。

 私よりも適任者がいるのだから。



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#480『縁側』



 まあ、やりたいことをやればいいと思うな。

 大体、やる気のあることでないと、あなた本気でやらないでしょう。

 中途半端に創ったものが誰の心も動かせないのは知っているから。

 やりたいことをやり終えたら、どうせこちらに戻ってくるだろうし。

 せいぜい、気長に待つとするわ。



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#481『唯一夢人』



 私が真っ先に、第一に想うべきは義弟妹たちなのだから、他の命に感けている場合ではない。

 他人にわたしの思考がわかるわけもない。

 わたしの意図を読めるのは、わたしだけだ。

 わたしの敵になり得るのも、私だけ。



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#482『なりたいあの子もわたしもいない』



 どうして、わたしはあの子になれないんだろう。

 姿形はおんなじなのに。

 どうして、あの子にはなれないんだろう。

 ……あの子がいるから?

 いなくなれば、わたしがあの子?

 ……。あーあ、早くやっちゃえばよかった。

 私は私。



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#483『極夜』



 物語にしか興味がないくせに、人間ぶってんじゃねぇよ。

 お前がどういう存在(もの)か、俺は知ってるんだ。

 頑張って人間のフリして生きるよりも、開き直った方がいいんだ。

 俺みたいに、バケモノとして生きていく方が。



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#484『人生ゲーム』



 配られた手札で、僕らは生き抜くしかない。

 ()も、母も、父も。

 できなかった選択を悔やむより、できる選択肢を見つけよう。

 だって、僕らは生きている。

 生きてしまっているんだから。

 より良くすることだけに死力を尽くすしかないよ。



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#485『親愛なるあなたたちへ。』



 忘れていていいから。

 しっかり地に足をつけて、並んで歩いていってね。

 自分を大切にして。自分を忘れないで。

 間違っても、人であることをやめないでね。

 月になろうとしないでね。

 手の届かない星にならないでね。

 灯りを絶やさないで、転ばないようにね。



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#486『歴史にもならない』



 記憶なんてすぐに風化するのに、何が悲しいのだろう。

 君は、どれだけの勇気を振り絞って、翔んだんだろう。

 君が苦しんでいたことも、すぐに忘れ去られる。

 君がここにいたことも、僕がここにいることも。

 すべてが後の祭りで、歴史にもならない。



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#487『書感』



 ただ馬鹿正直に書いているだけでは、誰からも見向きもされない。

 中身だけでなく、広報戦略まで考えなくてはならなくなった。

 金のため、生きるために切迫しながら書くのも窮屈だけれど、

 書くことだけ考えることができなくなってしまった、それが、ただただ口惜しい。



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#488『未来死』



 我々は死を恐れるのではない。死の先にある未知を恐れるのだ。

 視界の先に広がる闇を、何を考えているかわからない他人を。

 『わからない』ということは、恐るるに値する。だからこそ、我々は未来を恐れる。

 未知は、未来は、ひとを殺せる。



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#489『不越』



 あなたの剣から言葉が、人が産まれ出づるその瞬間が。

 あなたの眼から感情が、日々色褪せていくその偶像が。

 あなたの脳から思考が、皮膚が剥がれ落ちるその音が。

 どうしようもなく、否応なく、身に沁みついて、焼きついて離れない。



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#490『かつて、』



 勝手に死ぬなんて、死んでも許さない。

 せめて、物語的死で死んでくれなきゃ、死んでも死にきれない。

 私たちは死なないのに。終わりがないのに。

 あなたが殺してくれなきゃ、終わらせてくれなきゃ、どうにもできないのに。



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#491『融解と白銀の庭』



 だんだんだんだん寒くなっちゃって、太陽も顔を出すのが億劫になっちゃったのかしらね。

 出てくるのは遅くて、帰るのは早いだなんて。

 雪を融かしてくれなきゃ、あなたに会えないわ。



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#492『まだ何かご不満が?』



 君ひとりを救済するために、どれだけの命が必要だろうか?

 実を必要としない命ならば、湧くように生み出せる。

 君と境遇を同じくする(むじな)だって用意してあげよう。

 どうだい?

 ここまでされたら、救われてくれるだろう?



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#493『地下の国』



 あなただけでも、この国から抜け出せますように。

 そんな祈りを込めて遺したものだから、あなたに使ってほしい。

 たとえ、私たちの瞳孔が朝日を照り返すことがなくても。

 ……そもそも、こんな地下に朝日は届かないけれど。



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#494『独白』



 ひとりぼっちでお話してる。

 表沙汰にならない独り言。

 誰からも拾われない、誰にも拾わせない言の葉。

 でも、ここでだけは。あなたにだけは、見つけられても知らんぷりしたげる。

 表舞台にならない感情を、あなたくらいには知っていてもらいたいから。



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