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鼓動140  作者: 楪葉夢芽
10/17

Ⅹ #205~232『きぼうの星』(2024.12.25~1.27)

#205『かみさまへの証明』



 私たちが動物とは違うと証明したいのなら、理性でもって己を律しなければ駄目でしょうね。

 我々は知性ある獣なのだと、理性ある獣なのだと。

 神に証明しなければ。

 それが、人間として最低限の礼儀(マナー)というものでしょう?



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#206『にんげん』



 お金がなければ、節約で。

 お金を持っていれば、ケチで。

 立場や所有品に引っ張られてしまいがちだけれど、みんなおなじ人間のはずなのに。

 人間には、変わりないのに。

 そんな簡単なことをいつしか忘れてしまう。

 僕らはいま、人間でいられているのだろうか。



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#207『永久不変の夜空を』



 人間が空を翔ぶなんて傲慢かしら。

 でも、僕は手の届かない空の果てへ行ってみたい。

 偽物の空なんかじゃない。本物の空を、星の浮かぶ夜空を見るのよ。

 かけがえのない君に、変わりようのない空を。

 見せるから。



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#208『不信』



 ひとたび他人に害されたら、自己を守るために他人をすべて同一視するしかなくなる。

 つまりは、敵と認定するしかないのだ。

 誰かの所為にしちゃいけないよ、なんてそんなこと言われるまでもない。

 でも、どうすればよかったんだよ?

 もう、誰を信じればいいのか、わかんないよ……。



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#209『忘却死(原)』



 忘却というのは、なんて素晴らしい機能なのだろう。

 感動して涙が出たので、それを普及させてみました。

 誰も彼もが、嫌なことを忘れて、楽観的に生きました。

 誰も彼もが、痛みすらも忘れて、安楽的に逝きました。

 私は、どういうわけか収監されました。



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#210『××の生き物』



 ねえねえ知ってる?

 自分の命と相手の命を交換できる生き物がいたんだって。

 その生き物が、わたしたちが生きているこの星から青を奪ったんですって。

 それはね、かつて「にんげん」と呼ばれていたんだって。

 想像(創造)できる?



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#211『我儘我慢』



 頑張らなきゃ行けない精神科と比べて、頑張らなくても逝ける地獄は、どれだけ優しいんだろう。

 人の話を聞くのは簡単でも、自分のことは話せなくて。

 誰にも自分を知られたくないのに、ここで苦しんでいることは知っていてほしい。

 我儘だよな。だから何も言ってない。



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#212『きぼうの星』



 誰も彼もなんて救えやしないのなら、

 ほんとうにすくうことが叶わないのなら、

 せめてその涙を掬えるような、手を取り結べるようなひとになりたくて。

 だから、私は観測者になった。

 数多の最悪の中から、たったひとつでもいい、限りなく細い糸を手繰り寄せて、ほんとうのしあわせを紡ぐために。

 私は、いつしか星になっていた。



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#213『我がママ、我儘』



 ハハは、わたしに言いました、いいオトコを見つけなさい、わたしに楽させなさい。

 よくわからなかったけど、たぶんハハと同じことをすればいいんだ。

 だれかに引っついて、笑って。もらえるものはもらって、ほしいものがあれば、ねだってうばう。

 その生き方がタダシイのだとおもいました。

 思っていました。



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#214『天視』



 我々がこっそりこの空を飛翔していた頃とは大違いだわ。

 無知な人を嗤いたい無知な人が増えたのね。

 揚げ足取りを続けていたのでは、何も始まらないだろうに。

 我々が、この空を()んでいられるのは、いつまでなのだろう。



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#215『電隷』



 僕らがいま動いているのは、自分の意志だろうか。

 この指を離せないのは、ただの惰性と中毒性じゃないのか?

 悪いニュースばかり覚えているのは、世間が悪いからか?

 こんな僕らが、

 俯いてしか歩けない僕らは、空の色なんて憶えていない。



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#216『幕引き』



 花は、いつか枯れるからこそ美しいのです。

 いつまでも終わらないものなんて、見苦しくて醜いだけです。

 斯くして、私も終わるのです。

 けれど、ご安心を。自分の幕くらい、自分で引けますから。



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#217『報復死』



 大嫌いな奴を、憎い奴をぶっ殺したい気持ちはわかるよ。

 でもさ、きみがそればっかり抱えて生きちゃつまらないから。

 私らがその気持ち貰うから、きみはこれから面白可笑しく、楽しく生きてよ。

 天罰なら私らが下すよ。



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#218『幸のシーソー』



 毎日、誰かが誰かの踏み台になっていて、誰かは幸福に、つまりは不幸を免れている。

 けれども、誰かは確実に幸福ではない。

 こんなシステムは改良しなければ。

 誰ひとりとして、不幸になることがないよう。

 産まれた意味は、それしかないのだから。



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#219『いつまでも永遠と、延々と。』



 ヒトを永遠に生きられるようにデザインしても、それが果たされることはないと、私は知っている。

 だって、肉体が耐えられても、精神はそうじゃない。

 永遠を生きられるようにプログラムされたわけではないのだから、こうして中身が先に朽ちてしまうの。



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#220『未来陣営』



 忘れられないものの全てを抱えて、それでも生きていくのよ。

 過去は戻らない。現在(いま)ばかりに注力していても始まらない。

 未来を見据えながら、目指すところへ向かうための道筋を組み立てながら、歩んで征くの。

 大丈夫。未来がどれだけ恐ろしくても、私たちがいるから。



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#221『自他犠牲』



 他を害することでしか生存を許されないあなたが、何でもないように笑っているのを見て、私は安心したんです。

 ああ、ようやくそんなことを気にも留めない精神性になってくれた、って。

 だから、私も綺麗に笑い返したんです。

 ……でも、実際のところ、私は彼女のことが好きだったわけじゃないんだろうな、って。

 気づきたく、なかったなぁ……。



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#222『私たちの(かお)、憶えていますか?』



 あなたと私たちに何の違いがあるって言うんですか。

 上辺だけ良く見せたいなんて、同じじゃないですか。

 指が一、二本増えたからって何ですか。

 どうせ顔しか見てくれないのに。

 それなのに、すぐに上から下に流してしまうんですから。



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#223『夢見る星に。』



 このままでいいのかと、不安になることは何度だってある。

 でも、やっぱり楽しいから辞められないんだ。

 誰も見なくても、見向きもしなくても。一度辞めたとしても、きっと、そのうちまた始めちゃうんだ。

 夢見たっていいじゃないか、夢で終わりにはしたくないけど。



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#224『神の不在証明』



 あなたたちの信じる神とやらに泣きつけばいいじゃない。

 もし、そんなものがいるのなら、私はとっくに滅ぼされているでしょうけど。

 私がここに五体満足で存在できていることこそが、神の不在証明よ。

 神ではないけれど、泣きつくことなら許可してあげてもいいわ。



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#225『Your name』



 やはり、題名(タイトル)は──『名前』とは、大切なものですね。

 あなたがたがそれらに何を見出しているのかはわかりませんが──私にとってはただの識別番号に過ぎないですが──大事だと言うのなら、きっとそうなのでしょう。

 ところで、あなたのお名前は?



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#226『廃棄処分』



 物覚えが良くて、物分かりの悪い私は、あなたに多大なご迷惑をおかけしてしまったと思います。

 でもご安心を。私はきちんと学びました。

 今なら、私はあなたにちゃんと寄り添えると思います。だから、

 だから、もう私を棄てないでくださいね。

 約束ですよ。



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#227『壊復(カイフク)



 あーあ、また壊れちゃったんですか。

 あなた、誰とだって仲良くできないんですから、部品をかき集めるだけでも一苦労なんですよ?

 まったく、世話が焼けるんですから。

 でも、あなたには私しかいませんもんね?

 また、直してあげますね。



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#228『問壊(トウカイ)



 直すたびに別物になっていっているのに、どうして気がつかないの?

 どれだけ外側を取り繕ったって、中身にガラクタを詰め込んで終わりじゃあ、直したなんて言わないじゃない。

 このままで、本当にいいの?

 こんなの、ただ問題を先送りにしているだけじゃない。



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#229『腐壊(フカイ)



 人が崩れる音って聞いたことある?

 人が壊れる音はよく聞くかもしれないけど、これはあまりないかもねー。

 まー、聞かないに越したことないよ。酷い音だから。

 だからね、なるべくそんな事態にならないようにって気を配ってはいるつもりなんだ。

 あんまり上手くいかないけど。



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#230『会敵』



 人間風情が、私に敵うなどと思うな。

 お前たちがどれだけの兵器を生み出し、地上を蹂躙しようと、私の破壊とはまるで比べ物にならん。

 そう。大いなる自然を、人間如きが御しきれるわけがなかろう。

 お前たちに許されたことといえば、私を祭り上げることくらいだろう?



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#231『文化』



 どれだけの作品を打ち出せば、人は文化になれるのだろうか。

 顔も名前も、性格も必要のない文化になれたのなら。

 私はようやく何の未練もなく満足に死ねるだろう。

 あと何年かかるかわからなくとも、それを人生の目標として生きていけるのだから、しあわせなことだ。



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#232『だって、あなたが綺麗だったから』



 その日、私は極星のように眩く光るものを見た。目をつむっていても煌々と輝くそれが、目障りで、羨ましくて。

 だから私は、そのどうしようもなく綺麗な羽を手折ったんです。

 あなたが、私の手の届くところまで墜ちて来るように。



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