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贈りモノはアヤカシな許嫁!?  作者: 吉本優
東のうつけ殿

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人妖町双鬼事変簿⑦



―――――


 その一方では……


『あーあ、羽虫のように鬱陶しい餓鬼だな』


「うるせー! お前ら妖なんて俺が討伐してやるよ!!」


 薄暗い路地にて茨城童子と大嗣が戦闘を繰り広げていた。

 大嗣は一二三に次ぐ子どもの退魔士の中ではかなりの有望株ではあるが、流石の東妖の上位となる茨城童子の前では全く歯が立たなかった。


『同じ餓鬼を相手にするんなら昨日やり合った東野一二三が良かったなぁ。あいつの方がこいつよりも遥かに強かったし』


「一二三……俺を一二三と比べるんじゃねーーっ!!』


 大嗣は怒りのままに渾身の槍を茨城童子に繰り出すも、易々と槍を掴まれてしまった。


『もしかして、お前って、東野一二三に嫉妬してるのか?』


「くっ……」


 特東では同時期に退魔士について学んでいたのだが、成績は常に一二三が一番、それに次いで大嗣が二番となっており、大嗣にとって常に一二三は越えられない壁となっていた。

 勿論一二三と大嗣はほぼ同時期に退魔士になり、各々活動していた。


 一二三は早速当確を表し、様々な活躍を見せてきたが、大嗣はまだ幼いという事であまり任務には携わる事は無かった。


 小学生ぐらいの年齢で退魔士として活動している者は数名いるのだが、まず子どもに危ない事をさせないのは当たり前である。

 つまり、一二三という存在が異常という事。


『何も言わないという事は図星だな? 無理もない、あいつの様な退魔士は俺が今まで会って来た中でもごく少数。何もお前みたいな子どもが嫉妬する事でもない』


「……俺は、東山大嗣。一二三よりも強いんだよ!!」


 大嗣は茨城童子に対して怖いという感情はある。

 しかし、同級生でかつ落ちぶれていった東野の一二三と一緒にされたくない。

 寝る間も惜しんで修行に明け暮れていたが、一向に一二三との差が縮まることはなかった。

 修行を全くしていない一二三に。


『はぁ、人間というのは努力すればどうにかなると思っているのか? どんなに頑張っても一二三は強い、お前は弱い。これが事実なんだよ』


「俺は強いんだよっ!!!!」


『現実を受け入れようとしない餓鬼だな。それに敬意を払って少しだけ俺の実力を見せてやるよ……妖術、斬舞(きりまい)


 茨城童子が手を合わせた瞬間、大嗣の全身に切傷を受けて鮮血が飛び散った。


「う、うわぁああっ!!!!」


『この程度で叫ぶな。俺に立ち向かってくる勇気に免じて死なない程度に加減はしている』


 突然の出来事に混乱する大嗣に対して茨木童子は冷静に言い放った。


『しかし、先ほどの勢いはどうした? その程度で俺に挑もうだなんて一万年早いんだよ。帰ってお母さんのおっぱいでも吸ってな』


「ひぃいいいいっ!!!!」

 

 大嗣は悲鳴を上げながらこの場を後にした。


『やはり普通も餓鬼ならこれぐらいが普通か。東野一二三、俺の欲求に答えてくれそうなのはお前ぐらいだ』


『何を遊んでいるのだ?』


『兄貴! 命知らずの餓鬼に社会の厳しさを教えてあげただけだよ』


『お前という奴は……童相手に何をしているのだ……』


 酒吞童子は茨木童子に呆れた表情をしていた。




ーーーーー


「くそっ、くそっ!! どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがって……」


 茨木童子に敗走した大嗣は悔しそうにしながら家路についていた。


「この屈辱は絶対忘れない、この世の妖全員殺してやるよ……。そして、俺の方が一二三よりも優秀だという事をみんなに知らしめてやる」


 一二三より自分が優秀。

 そう信じていたが、自分より格上の妖と対峙し完敗。

 そして、その妖から自分より一二三の方が強いと言われた事により今まで積み上げたきたものが崩れ落ちたのである。

 

 大嗣の一二三に対するコンプレックスは純情ではないようだ。




ーーーーー


「おい、お前いつまでここに居るつもりだよ」


 場所は変わり一二三たちの住まいである東野邸。

 酒吞童子などの交戦により家の中はボロボロであるが、何とか雨風を防げる状態である。


 茶の間にて一二三と羅刹が向かい会っていた。


「それは……我の勝手であろう」


「いや、ただでさえ家が散らかってて狭くなっているのに、馬鹿でかいお前が居たら家の中が狭くなるだよ!」


「むぅ、しかし我は天の状態が心配である」


 現在、天は数男と共に病院に入院している。

 一応、人妖町には妖専門に治療する医師も存在する。

 因みに羅刹は天に付き添っていたのだが、でかくて邪魔という事で病院から追い出された。


「はぁ、そんなに心配なら何でお前は酒吞童子たちと戦わなかったんだよ? 確か東妖の主だから強いはずだろ」


「……我は酒吞童子の言う事に一理あると思ってしまったのだ。所詮、妖と人間は決して交わる事のない者同士。過去の怨恨は決して晴れる事はなく、永遠に続いていくのだ。一二三、お前もそうなのであろう? あの時大天狗を生かしたが実は殺してやりたいぐらいに憎んでいたのではないのか?」


「.........……」


「一二三殿ーーっ!!」


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