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贈りモノはアヤカシな許嫁!?  作者: 吉本優
東のうつけ殿

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83/205

旅に出ます、探さないでください⑤


―――――


「伊吹さんやーい」


「何ですか、兄さんやーい」


「これからどうするんだよー?」


 現在俺たちは牢屋に入れられている。

 勿論拘束されままなので腕が痛くなってきたぞ。


「それはこちらの意見を聞いてくれるまで耐えるしかないです。今が頑張りどころですよ!」


 いや、俺はこれで頑張りたくないぞ。

 もしも、俺がこういったプレイが好きならご褒美となるが、生憎だが俺にそういった性癖は持ち合わせていない。


 もしや伊吹はこういったことが好きなのか?


「って言っても、このまま待って手も埒があかないぞ。何かしらの行動は起こさないとな」


 案その1はここから脱獄して無理矢理にでも話を聞かせる。

 一番楽なのだが、これをするともれなく北妖たちとの戦闘は必然的になる。


 案その2はこのまま投獄されたまま話を聞いてもらえるよう訴えかける。

 多分伊吹はこれをやろうと思っているらしいが、これは無謀に近く、明日俺たちがキルされる可能性が高い。

 まぁ、俺なら簡単にここから出る事は可能だからキルされる事はないがな。


「……大丈夫ですか?」


 色々試行錯誤をしていると誰かやって来たようだ。


「私たちはここに話し合いに来ただけです!! 話だけでも聞いてください!!」


 ここぞとばかりに伊吹は訴えかける。


「しーっ、静かに。あまり大きな声を出したら他の人に見つかってしまいます」


 人差し指を口に当て静かにするようジェスチャーをする。

 このジェスチャーは妖も同じなんだな。


「あなたたちは東の退魔士の方々ですよね? 私はかえでと申します。この度は私の兄が話を全く聞かずに牢に入れてしまった事を深く謝罪致します」


 かえでという妖は深々と頭を下げた。

 兄のいさみと違って謙虚な妖だな。


「気にすんなー。ある意味いさみの反応が正解だと思うぞ」


「兄さん、余計な事は言わないの! 私は東山伊吹と言います。こちらの少しだらしのない人が東野一二三です」


 だらしないは余計だよ!


「東野、一二三……。東の当主数男さまのご親族ですか?」


「はい、親族で次期当主になるお方ですよ!」


「俺は嫌だけどな」


「そうなのですか……、私たちはとんでもないことをしてしまいました。この始末は私の命だけでは足りそうもありません」


「命を差し出されも困るのだがな。とりあえず、ここから出してくれない? 流石に腹も減ってきたし、ジメジメしてて具合が悪くなってくるぞ」


「ごめんなさい、ここから出してあげられたらよいのですが、私の判断では……」


「確かに私たちを出してしまったらかえでさんが脱獄を幇助したとして大変な目にあってしまいますね」


「そりゃそうか。ならこっちで脱獄するしかないかな……よっと」


 少し力を加えて拘束した鎖を引きちぎった。


「ちょっと兄さん! 勝手なことしたらダメなの!」


 そういう伊吹もスルッと拘束を外した。


「えっ、凄いですね」


「これぐらい出来て当然だろ。そろそろ外空気が吸いたくなってきたし、お暇させてもらおうかな」


 鉄格子も少し力を入れたらぐにゃりと曲がった。


 流石にこれで俺を監禁するのは舐めすぎだろ。


「あー!! ダメですよ!! ここから勝手に出て行ったら兄上に殺されてしまいますよー!」


「ここに居ても明日には殺されるんだろ? 残念ながら俺はまだ死ぬつもり全くないからな」


「兄さん、まだ終わってないですよ。今からいさみと話しに行きますよ」


 伊吹は丁寧に鍵を開けて外に出ていた。


「えー、やだよ。またややこしい事になるだろ?」


「兄さんがここから出てしまったから、もうこの手しかないのですよ。幸いにも人質になりそうな方も来てくださいましたし」


「えっ、それはどういう……」


 にこやかな表情とは裏腹に伊吹はとんでもない事を言い出した。


 忘れてはいけないが、伊吹は元々腹黒い性格なのである。

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