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贈りモノはアヤカシな許嫁!?  作者: 吉本優
東のうつけ殿

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73/205

レッツゴー、ビーチへ!⑧


―――――


「いやー、俺はてっきり海に潜らされるのかと思ったぞ」


 清海が運転する船に揺られ、鮫妖たちが縄張りにしている島に向かっていた。


「妾たちは確かに水生の妖ではあるが、ずっと海の中じゃといかんせん不偏であるからな。陸地に拠点を構える事が多いのじゃ」


 まぁ、海の中だと安全といえば安全だが、ずっと海の中っていうのも退屈そうだしな。


「……来る」


 清海の言葉と共に魚の群れが船を囲む様にして近づいて来た。


「これは皆妖ですね。あまり強くはないのですが」


「まぁ、例の鮫たちの配下の妖だろうな。どうする?」


「守って」


「りょーかい。とりあえず船が壊されたら泳いで帰らないといけないから、コイツらを追っ払うわ」


「一二三さん、私も助太刀します!」


 やよいも臨戦体制に入っていた。


「そういえばやよいが戦うの初めて見るな。ようやく力を発揮できそうなのか?」


「はい! バッチリ戦う事ができます!」


 やよいの手元が光ったと思ったら一振りの太刀が現れた。


「それがやよいの妖具なのか」


「そうですよ。まだ名前は付けていないのですけど……」


「じゃあ、俺が名前を付けてやるよ。その太刀の名前は【御稲荷燦(おいなりさん)】に決まりだな」


「え、有難うございます……」


 そんな微妙そうな顔すんなよ。


「お前らーっ!! 魚たちがこっちに飛んできたぞ!!」


 しいなが叫んだと思ったら頭上に魚の妖が数匹降って来た。


「この程度、一二三さんが出る幕では有りませんよ!」


 やよいは太刀を振り魚たちを弾き飛ばしていった。


「御稲荷燦で斬ったのにコイツら斬られてないな。頑丈なのか?」


「いえ、この太刀は私が斬りたいと意識した対象しか斬る事が出来ません。一二三さんに同じく私も無駄な殺生はしたくありませんので」


「そりゃ、便利な機能だな」


「何を呑気に話し込んでおるのじゃ! まだまだたくさん降ってくるぞ!!」


「そんな指示出すぐらいならお前が戦えよ」


「妾が戦えるならとっくに戦っているわ!! 妾が前に出るとお主らの邪魔になるから後ろで応援するしかないのじゃ!!」


 そんな堂々と情けない事を言うなよ。


「まぁ、しっかり自分の実力が分かる事は良い事だと思うぞ。でも、今後南妖の主として活動していくのはなぁ」


「心配」


 本来退魔士であるはずの清海からも心配される有様である。

 まぁ、清海の性格ならしいなが悪さしない限りは討伐する事はないと思うけどな。


「一二三さんには指一歩触れさせませんよ!」


 一方でうちの嫁のやよいは襲ってくる魚の妖たちを次々に薙ぎ払っていった。

 我が嫁の事だが、やっぱやよいって強いんだな。

 これからやよいを怒らせないようにしないと。




―――――


「到着」


 魚の妖たちを振り切り、目的の島に到着した。


「さて、この島の何処にいるのかね?」


「ふっふっふ、今こそ妾の出番じゃな」


「何か自信満々そうだな。さっきまでギャーギャー言っていた奴には見えないぞ」


「あれはただの発声練習じゃ。今から本気を出すのだ!」


 発声練習なんて意味ない気がするのだが。


「見よ!! 妾の索敵術の【竜の追跡】を!!」


 そう言うと空気が揺れる感じがした。

 おそらく妖力によるものだとは思うが……


「一応腐っても南妖の主なんだな。結構な妖力だ」


「腐ってもは余計じゃ!!」


「これは……私も負けてはいられないですね!」


 やよいの場合は人間に近い体にする為に全盛期の十六夜乃御子に比べて幾分か妖力は下がっているのは仕方がないだろな。


 妖の大部分は妖力で作られているみたいだし。


「驚愕」


「じゃろじゃろっ!! 少しは見直したであろう!」


「清海は竜の妖が後方支援が得意という事に驚いているだけだぞ」


 書物で読んだ事があるが竜の妖は前衛での戦闘が得意な妖。

 例えで言うなら勇者は前衛で剣を振って活躍するのがベタであるが、勇者が回復魔法が得意て攻撃が苦手という感じだ。


 清海少し気まずそうに顔を背けていた。


「……見つかったぞ。案内するから付いて来い!」


 しいなは少し悲しそうな表情をしていた。

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