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東の大うつけモノ


「ぐはっ、ちぃぃ!! 丙如きが私の顔に触れるとはなぁ」


 結構良い感触はしたんだけど、流石に丁等級の退魔士、顔面にグーをしてもピンピンとしていた。


「今日からお前はやよいだ。これならはなこよりはマシだろ?」


「え、あ、はい……」


「一二三殿、この状況で命名してもキョトンとするだけだぞ。後全国のはなこさんに謝れ」


 残念ながら、今のこの状況で命名するのは非常に場違いらしい。


「やよい……良い名前です! 私今日から東野やよいって名乗りますね!」


「待て待て!! 勝手に東野って名乗るんじゃないよ!!」


『貴様ら、私の存在を忘れてはいないか? たまたま私に触れる事ができた様だが次はそうはいかんぞ。妖と共に東野家を駆逐してくれよう』


 そうハゲが言うと同時に掌が光出した。


『顕現せよ我が神具よーーー』


 そして、ハゲは槍を装備していた。

 神具と呼ばれている退妖用の武器の一つで、等級関係なく全ての退魔士が扱えるものだ。


『くっくっく、光栄に思えよ。我が神具を見たのは貴様でーーーぐべはぁああっっ!!』


 ハゲが何か言いたそうな感じだったが、興味がなかったからビンタを喰らわせてやった。


『は、早い……貴様、本当に庚等級なのか? とても、庚等級には見えんぞ……』


「お主はまだ一二三殿の実力が分かっていないようだな」


 ボロボロになったたかしこちらに近づいてきた。


「おー、派手にやられたな。大丈夫か?」


「無論大丈夫だ。確かに一二三殿は庚等級と直系の一族にしては低い等級なのは間違いない。しかし、此奴は等級に対してあまり興味を持っておらぬのだ。本来の実力でいえば甲等級に匹敵しておる。並の退魔士や妖では手も足も出ないぞ」


『なっ……そんな事が……』


「まぁ、庚までの昇進条件は簡単だから勝手に昇進していくんだが、己からは筆記試験や色々条件が重なって面倒だからな。俺も別に偉くなりたい訳ではないしな」


『そんな……これが退魔士界隈で悪評轟く《東の大うつけ者》の東野の嫡男か』


 ハゲは絶望したのか膝から崩れ落ちた。


『し、しかし、私は西の退魔士である。東の退魔士である東野が西の退魔士である私に手を出した事が西条様の耳に届けば貴様らもただでは済まぬぞ』


「まぁ、それもそうだよな。これからどうすっかなぁ」


 面倒な事になるのは承知の上でこのハゲにビンタを喰らわしたが、喰らわした後の事は特に考えていない。

 これからどうするのか考えているとーーーー。


「何じゃこれは!? わしが出ている間に何が起きたのじゃ!?」


 爺ちゃんが帰ってきてしまった。

 あ、これは詰んだかな?


「おぉ、数男殿!? これはかくかくしかじかであって……」


「何ぃ!? 十六夜乃御子の子がうちに宅配で届いたというのか? さらにそれを追ってきた西の奴らがうちの自宅前を荒らしたと言うのか?」


 爺ちゃんは一応現状を理解したみたいだ。


『これはこれは、数男様ではないですか。そこの妖が言った通り私はそこにいる妖獣を狩りに来たら、あなたのお孫さんに暴力を受けました。然るべき対応をお願い致します』


「そうか、然るべき対応か……なら、無断でうちの縄張りを荒らした貴様に制裁を与えるとしようかの」


『へっ? ぎゃああぁぁぁっ!!!!』


 爺ちゃんの拳がハゲの顔面を捉え、見事に吹き飛んでいった。


『そんな……私は西の退魔士で丁等級なのに……』


「東野家家訓その一【困っている妖がいたら絶対に守ろう】じゃ。困っている妖を見捨てることはせんし、西条なんてクソ喰らえじゃわい。後、わしは甲等級じゃから貴様より偉いぞ」


 でた、《東野家家訓》。

 昔から代々引き継がれている家訓で、破ったら地獄を見る事になる。

 俺も何度か破って爺ちゃんに殺されるかと思ったぞ。


「あ、ついでに西条の奴らに此処の修繕費を請求しとくぞ。見積もりは後日郵送で送るからな」


『くそ、覚えておけよ!!』


 ハゲは小悪党の如く去っていった。


「あ、あの……助けてくれてありがとうございます!!」


 やよいは深々と頭を下げた。


「いいってことじゃわい。それにようやくご先祖様の悲願が達成されるんじゃから、西条の事なぞ二の次じゃ」


「へ、爺ちゃん、それってどういう事だ?」


「……そうか、一二三にはまだいっとらんかったな。我ら東野家の悲願である妖との本当の意味での共存の意味をーーーー」


 ……何か話が長くなりそうだな。

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