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贈りモノはアヤカシな許嫁!?  作者: 吉本優
東のうつけ殿

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23/205

ざわめく人妖町④



――――


「お前、罪なき一般市民に強盗を働くとはな。その罪万死を持って償やがれ!」


『ヒ、ヒィイイイッ! オ、オタスケヲーーっ!!』


「駄目だな。お前は人妖町のルールを破った。妖ごときがルールを守れない事は重々分かっていたがな。やっぱり妖は全員殲滅するべきだな」


『オ、オレ……マダシヌワケニハイカナイ。オラガシンダラアノコガシンデシマウ』


「おい、待ちやがれっ!!」


「こらこら、待つのはお前だよ大嗣!」


 まさに今妖に手をかけようとしていたのは東山大嗣。

 俺と同い年の退魔士だ。


「あぁん? 何だうつけ殿じゃねぇか。犯罪を犯した妖に手を出して何が悪いんだよ?」


「とても悪いですよ!! 妖が気に入らないからって私刑で相手を罰するなんて東山の名が泣きますよ!」


「はっ、よその妖に東山の事を悪く言われるつもりはないね。それとも違法滞在している妖は西条のところに強制送還してやろうか?」


「一応、やよいの戸籍の住所はうちになっているから違法滞在になってないぞ」


 爺ちゃんが上手く動いてくれたおかげでやよいはこの町の住人になっている。

 まぁ、苗字が東野になっているのが気になるのだが。


「んなもん関係ないね!! 妖は害虫と一緒だ。全員まとめて駆除してやるんだよ! まずはムカつくお前から駆除してやるよ!!」


 大嗣は神具の槍を出し、やよいに飛びかかってきた。


「ちょいっと待ちなよー!」


 とっさに俺も神具を出して大嗣の槍を受け止めた。


「くっそ、邪魔すんじゃねーよ!! うつけ野郎諸共ぶっ殺すぞ!!」


「私を庇ってくれるなんて……感無量です!!」


 目の前には殺意丸出しの輩がいて真後ろには感激をしている自称俺の妻がいて、中々カオスな空間だな。


「とりあえず、イライラしているなら牛乳飲めよ。多分カルシウムが不足しているんだよ」


「うるせー!! 牛乳は毎日飲んでるから全然不足してねぇよ!! 《風切(かざきり)》!!」


 大嗣は槍の名前を叫び、ものすごい速さで連続突きを向けてくる。


「なぁなぁ、やめよーぜ。俺たちが争っても意味がないってば」


「ふざけた事いいながら俺の槍を全部捌いてるんじゃねーよ!!」


 いや、当たったらいたいじゃん。


「凄い、凄いですよ! 流石は私の夫です! またまたほれなおしました!!」


「真剣勝負中にイチャイチャしてるんじゃねーよ!!」


「俺に言うんじゃねーよ!」


『タイマシガフエタ。オレ、コロサレル?』


 離れたところでずんぐりむっくりとした妖が片言で何かしらブツブツ言っていた。


『ソンナノイヤダッッ!!!! オレハアノコヲマモルンダッ!!』


 突如、目の前にいた妖がみるみるうちに大きくなっていき、筋骨隆々の鬼が姿を現した。


「あいちゃ、こいつは厄介なのが出てきたな」


「確か、座敷鬼(ざしきおに)ですよね? 見た人々に幸運をもたらす妖だったはずです」


 やよいの言う通り、座敷鬼とはいわば座敷童の鬼バージョンみたいな妖で、人間の家にこっそりと住みつき、姿を見たら幸運をもたらす特に害のない妖だ。


 基本的に家から出ることのない妖が銀行強盗をする理由はいったい何だ?


「やっと本性を現しやがったか!! 座敷鬼が害が有るか無いか関係ねぇ、とっとと討伐してやんよ!!」


 大嗣は標的を俺から座敷鬼に変えて襲いかかった。


「ーーっ!! 待て、大嗣!!」


「うるせぇ、こいつを討伐したら次はお前の番ーーー」


 大嗣が何か言い終わる前に座敷鬼の拳が大嗣の顔面を捉えた。


「かっ……はぁっ」


 大嗣はそのまま勢いよく壁に叩きつけられた。


「だから待てと言ったのにな。こんな敵意剥き出しの座敷鬼なんて見たことがないから迂闊に手を出すなよ」


「う……る、せ……よ……」


 あんだけ派手に吹き飛ばされたのにまだ意識があるなんて流石、次期東山家当主候補の1人だな。


「大嗣さんでしたか、かなりの実力をお持ちのようでしたけど、こうもあっさり倒されてしまうなんて、あの座敷鬼の力は計り知れないですよ」


 やよいは臨戦体制をとっていた。


「落ち着け、まだやよいは万全な状態じゃないんだろ? とりあえず俺が座敷鬼を落ち着かせてくるわ」


「ーーーーっ!! はいっ!! 妻たるもの夫を建てるものですよね!」


 そう言うとやよいは俺の後ろに下がっていった。

 さて、これからどうやってコイツを落ち着かせてやろうかな。


「うつけ野郎ーーっ、迷わずこいつを討伐しろーーっ!!」


「お前は少し黙っていろ!!」

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