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贈りモノはアヤカシな許嫁!?  作者: 吉本優
東のうつけ殿

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202/204

アヤカシな許嫁が贈られ来たら、俺のグータラ生活が終わった件について。(終)





――――――


 えーと、報告書の作成になるな。


 とりあえず何とかなった。


 終わり。


 ―――って書きたいところなんだけど、うちの鬼嫁に怒られるのは目に見えてるから、ある程度ちゃんと書こうか。

 面倒だけど……


 妖王との戦いは終戦した。

 離れた場所では眞彦たちが戦っていたらしいが、くろはやさざなみは撤退していったそうだ。


 『……覚えていなさい。妖と人間は異なる者同士、決して交わることはないわ』


 と、吐き捨てて去っていったらしい。


 まぁ、人と妖が異なる存在ってのは間違いない。

 でも――それでも交わろうとする奴らも、確かにいる。

 いつか、また会う時が来るんだろうな。


 ……ちなみに、俺が生き返ったことを知った時の皆の反応は――


「ひゃっはーっ!! 一二三ちゃんは何やっても生き返るから問題ないって訳だな!!」


 ……一人、頭のネジがどっか行ってる奴もいたけどな。

 俺はクマムシじゃねぇ。


 影鬼との争いで傷ついた町も、亀輔こと大輔の資金援助でかなり復興が進んでいる。

 有り難い話だ。


 妖王の行方は依然不明。

 神無月家が追っているらしいが、足取りはまったく掴めていない。

 ……まぁ、見つけたところで勝てる見込みも薄いだろうな。

 俺も、今さら討伐する気はない。


 平和、って言葉を久々に思い出した。


 ……さてと。

 妖王の件が終わって、一件落着――と思ったが。



「一二三よ、神無月養成所に行くのじゃ」


「は? いきなり何言ってんだよ」


 神無月養成所。

 その名の通り、神無月家が運営する退魔士・神職の養成施設だ。

 ……要は、地獄みたいな修行場である。


「お主はいずれ東神社の神主にもなるであろう。そのためにも行かねばならんのじゃ」


「待て待て、当主は引き受けたけど、神主なんて聞いてねぇぞ!!」


「何を言うのだ。東の当主たる者、自分の神社を持つのは当然じゃ」


 んなルール知らねぇよ!!


「断固拒否する!! しかも神無月養成所って、かなり厳しいで有名なとこだろ!?」


「そうではあるが、他の若き四家の当主たちも入所を予定しておる。無論、東山の倅もな」


 アイツら揃ってドMなのか?


「私は一二三さんが立派な東の当主となることを楽しみにしていますよ!」


 やよいが、キラキラした目でこっちを見上げてくる。


「嫌だ。それに、入所したら一年間は帰ってこれないんだぞ?」


 神無月養成所は、寮に強制入所。

 携帯も没収。外部との連絡は禁止。

 もちろん娯楽なんて存在しない。

 ただひたすら修行、修行、修行――。


「ひっじょーーーーっうに寂しいです。しかし、夫が立派な当主となる為には致し方なしです。私は日々、一二三さんを思い続けています」


 ……いや、止めてくれてもいいんだよ?


「やだやだーっ!! 俺は学校を卒業したら働かずグータラ過ごすって決めてんだ!! 真面目に働いたら負けるんだよ!!」


「一体誰に負けるというのですか!? いいから立派な当主になる為に修行をしなさぁーーーーいっ!!!!」


 


 秋も終わりを告げようとして冬を迎えようとしている。


 肌寒くなってきた秋の日に東神社では二人の痴話喧嘩の声が響いていた。


 人間(?)と妖という若い新婚夫婦。


 目指すは人間と妖の共存。


 道はいばら道の如く厳しい道のりとなるのだが、いつかは実現するのであると信じている二人なのであった。





「……こんな日常が続けばいいよな。やよいとの時間は短いんだから」


「?? 一二三さん、何か言いました?」


「何でもねーよ」


 春に初恋の妖が贈られてきて、夏に初恋の妖と結婚して、秋に俺は人間をやめた。


 ……冬は一体何があるんだろうな?















「ふふっ、仲睦まじいですね」


 あの世では千里、十六夜乃御子が二人の様子を眺めていた。


「あぁ、あれこそが私たちが望んだ共存。人と妖の日常だな」


「勿論、私たちもらぶらぶってものですよ」


「はいはい、仲がよろしいのは分かったから」


 そこに一二三の母が呆れた顔でやって来た。


「それよりも一二三とやよいちゃん。いずれは別れの時が訪れちゃうから、一日一日を大事にするんだよ」


 一二三の母は温かい目でわいわい騒いでいる二人を見つめていた。


「それには心配無用ですよ。何故なら一二三さんは人間と妖の力を持った者となりました。つまり、人であり妖でもある存在なのです」


「えっ? つまり、どういうこと?」


「つまり一二三は妖の様に悠久の時を生きる存在となったのだ。一二三とやよいは仲違いしない限りは共にある仲になるのだ」


「えぇ……」


 一二三がこの事に気づくのはまだまだ先のことである。







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