怠い、面倒い、疲れる!!
「くおらぁぁぁっ!!!!一二三ーーっ!!!!ちゃんと修行をせんか!!」
朝からやかましい爺ちゃんの外からの声で目が覚める。
ここは野球やろうぜ!的なセリフを言うとこだろ。
しかもせっかくの土曜休みの朝に修行なんてな……。
これだから昔の男は困ったもんだ。
「爺ちゃん、何で詰め込み教育が無くなったか知っているか?それはゆとり有る教育の方が効率が良いからなんだよ」
「そんなもん、うちに関係ないわい!!お前みたいな跡取りざそんな怠け者じゃとこの東野家の一生の恥じゃ!!!!」
「んな、もんで恥になるんならすでに恥になっとるがな!?」
ここは人妖町にある小さな神社。
名前を東神社と呼ばれている。
昔は何やら凄い神社だったみたいだけど今ではよくいえば古き良き神社、悪くいえばボロい神社となる。
俺、東野一二三はこの町で生まれこの町で育った。
この町は特殊で妖と呼ばれている人ならざる者と人間が共存している町だ。
「朝ご飯ができましたぞー!」
朝ご飯が出来たと声かける2m近い高身長の鬼が立っていた。
厳つい見た目に対して東野家の家事全般を受け持っている。
因みに名前はたかし、そして命名したのは俺。
このようにこの町では妖と人間が一緒に住む事は珍しくはない。
「ふぅ、たかしに救われたな。学校終わったら授業じゃぞ」
「それは無理な相談だな」
残念ながら学校が終わったら夕食までダラけるという予定があるんだな。
「それでも、お前は東野家の時期当主か!!わしもいつまで現役でおれるのか分からんぞ!!」
「大丈夫大丈夫。爺ちゃんなら300年近く生きてると思うよ!」
御年88歳の米寿を迎えた爺ちゃんはまだまだ元気満点だと思うよ。
「えぇい!!そういう問題じゃないわい!!分かっておるのか、今の東野家の現状を」
昔は東野家を筆頭にこの辺を収めていたみたいだけど、現在となっては東野家はすっかり廃れてしまった。
今は分家である東山家が中心となってこの町の生活、経済、治安、インフラを収めている。
一方の東野家はこの東神社で妖たちの住民票の管理や厄介ごとの処理などの雑務が主な仕事だ。
昔は全く逆の立場であったのが、何故今はこうなってしまったのかというと、俺の親父が原因である。
どうやらうちの親父が東野家の当主だった時に散財してしまい、その穴を東山家が埋めてくれたのである。
親父はそれが原因で失脚し、行方をくらます。
代わりに先代の爺ちゃんが当主の代行となった。
その流れで次期当主の候補に東野家直系で長男である俺が選ばれている訳だ。
「分かっとるわ!!今うちは泥舟も泥舟状態でいつ沈んでもおかしくない状態だろ?」
「それが分かってて、何故本気で修行をせんのだ!?」
「この先真っ暗な家業に本気になれるか!!」
「あの……ご飯が冷めるのだが」
この後も爺ちゃんとの言い合いは続き、結局のところ俺は遅刻してしまった。