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【プロローグ】郵送先は愛しのあなたへ
「母様っ!!!!」
目の前で母様が倒れてしまった。
敵の目を掻い潜ってここまできたのだが不運にも見つかってしまった。
「に、逃げなさい……私を置いて早く逃げて!!」
「そんな事できませんよ!!だって母様がいないと私は……」
「そんな事では私……いえ、私たちの悲願を達成することなんて夢のまた夢です。どうしても、ここに残るなら……」
体が光ったと思ったら次の瞬間には視界が真っ暗になった。
「か、母様、一体何を……?」
「あなたをダンボールに詰めました。これからあなたを私がこの世で一番信用している一家の元に送ります。そこであなたがする事は分かっていますね?」
「うん……人間と共に仲良くに生きる」
「その通りです。私が成し得なかった事、私が愛したあの人がやり遂げられなかった事を……あなたたちに託します」
『いたぞーーっ!!!!このちょこまかとしやがって、覚悟しやがれよこの化け物が!!』
「さぁ、行きなさい。そして大切な伴侶をみつけて、その人と共に未来を歩みなさい……』
これが私が聞いた母様の最後の言葉で、そこで私の意識は途絶えた。