第68話 神殿
俺たちは遺跡の中に入った。遺跡は開かれた広場のようなもので柱が所々に立っていて、まるで神殿のような雰囲気だ。そして最も印象的なものは中央に設置された人くらいの大きさがある魔石である。
「アカリが探してたのは、ここで合ってんるんか?」
師匠が聞く。
「ふふ。本来ならそれを確かめるための調査という所だけれども、もうこれは間違いないでしょう。隠すように結界もあった。よっぽど重要な場所なのでしょう」
「じゃあ、これが調べたかったものか?」
ハデスが問う。
「そうね。とても調べたかったものよ。この世界に来てからずっと」
そう言いながらアカリが魔石に近づき、触れる。
「間違いないわね。シズク、ちょっとこれ壊してくれる?」
「はぁい⁉壊していいものなんですか?」
俺は驚きのあまりにも声が出る。
「ええけど」
師匠が了承しながら魔石に近づく。
いいんだ。
「これ、うちじゃ無理やと思う」
師匠が触りながら答える。
「見た感じ、遺跡の周りにあった結界なんかと比べものにならんくらいの魔力がこもってる。試しに斬ってみるで」
師匠が剣を抜き魔石を斬る。するとカキンっと甲高い音がなり、魔石を見ると少しヒビが入っただけだった。それもみるみるうちに修復されていく。
「困ったわね。これを壊さないと先に進めないのよね。ちょっと時間頂戴ね」
するとアカリは一人調べ始めた。俺たちはその間に今夜の野宿の準備を始めていた。と言ってもここは結界の中、魔物の心配はいらない。
それから数時間後、アカリに全員が呼び出された。
「まず、調べた感じ、この魔石に弱点らしい弱点は見つけられなかったわ」
「というと?」
父さんが聞く。
「魔石の一部も脆そうな所はないわ。とっても頑丈。それに結界同様、魔力を周囲から集めているみたいだから魔力がなくなることもない。強いて言うならシズクの全力の攻撃で少し傷がつくことが弱点ね」
「そんな魔石壊せるの?」
ムツキが言ったように、とても壊せる気がしない。
「他にも色々な方法を試したけど、成果は全くなし。だから結論ね。力尽くでぶっ壊すしかないわね」
「いや、師匠で無理なら無理でしょう」
「確かにヒサメ君の言う通りだけども、ここにいる7人ならできるわ、きっと」
なんだから自信を感じる。本当にできるのか?
「で、どうやるんだ?」
ハデスが聞く。
「確証はないんだけどもね。昔の資料…いや、資料というよりは物語ね。それに皆の力を一つに集める方法があったの。やり方を説明するわね」
説明を聞いた俺たちは7人で魔石を囲むように輪になる。そして両手の指先をナイフで傷をつけ、隣りの人と、その傷口どうしを重ねる。まるで7人が一つの血管で繋がっているかのように。俺の隣は師匠と父さんだ。
「よし、皆出来たね。じゃあ、魔力を流して」
その合図で魔力を流す。まるで父さんに最初に会った時に僕の魔力を強制的に循環させたように。今思えば、あれも父さんが使っていた魔力干渉の応用みたいだ。これは血液を通している分やりやすい。しかし、かなりの難易度だ。
魔力を同調させること5分、少しずつ変化が訪れた。俺たちの魔力が増えている気がする。
「これくらいでいいわね。魔力をシズクに集めて」
俺は師匠に魔力を流す。父さんからの膨大な魔力を感じる。それを抗うことなく師匠に流す。父さんは俺が扱いやすいように魔力の波を一定にしてくれている。父さんを中継役にしてよかったと感じる。
どんどん師匠に魔力が集まる。
「ありがとう、皆。もう大丈夫や」
師匠は手を離し、剣を抜き魔力を通す。武装強化だ。師匠の魔力にも剣は耐えて見せる。
「すごい」
俺は思わずこぼす。
すると師匠が剣を振るう。一振りだ。それには音が聞こえなかった。静寂だ。だが、時空が歪むような威力があった。次の瞬間、魔石が音を立てて崩れ落ちていく。
「これで終わり?」
俺はアカリに訪ねた。
「ええ、これで終わりよ」
「何ともないけど」
「結果はすぐにわかるわ」
そう言って今日は終了になった。それにしても師匠の魔力操作の精度は凄かった。俺の界雷剣よりも魔力があふれていたはずだ。それを無駄なく剣に込めていた。
それにしても、この感じはなんだろうか。嫌な予感がする。まるで前世の時のような。いや、さっきの儀式のようなもので一時的に魔力が上がったせいかな。俺たちは眠りについた。
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