第62話 情報屋
俺たちは無事に国境を越えてアリスクー聖国の聖都のイグに到着した。そこは聖国というだけあって街の中央には教会らしい大きな建物がある。真ん中に一際大きな建物があり、その両隣にもそれなりの大きな建物がそびえたち正面から見ると丁度山の字のように見える。
「スゲーでけー」
それは前世のものを含めてもあまり見ない大きさであったため、思わず声が漏れる。
「ふふっ、本当に大きいわね~。中央が神官や司教、教皇みたいな聖職者の働く場所で、両サイドが創造神の教会ね。一般人でも入れるわよ。右が魔神ガウス、左が武神ザウスね」
武神ザウスが天界から追放されたということは現世では伝わっていないようで魔神ザウスと同じように創造神として奉られているようだ。
「今日はどうするんや?もう宿借りるんか?」
「そうね~、今から遺跡に行くには時間がかかるし、何よりな~んにも準備してないものね。今日は泊まりましょうか。この魔道具を置ける宿に行きましょうか」
この魔道具を管理してくれる宿となると必然的に高い宿となった。もはや宿というよりもホテルだな。ここはお金持ち御用達の店で、セキュリティーもしっかりしている。マルコの件もある。その方が良いだろう。宿で荷物を置いた俺たちは自由時間となった。アカリはここで一週間ほどかけて遺跡のききこみと準備を行う予定だ。休憩も兼ねているのだろう。
俺は少しこの街を見て回わった。
「来た時も思ったがよく整備されてるな」
この街は道路に石が敷かれている。それに建物の外観も統一感がある。それに綺麗だった。しばらく歩いていると初めて聞く建物があった。
「これは資料館?」
もしかしたらマルコのことが何かわかるかも知れないと思い中に入る。中は本がズラリと並んでいた。
「いらっしゃいませ。資料館は入場料が銀貨一枚必要です」
銀貨!高いが払えなくもないか。俺は銀貨を払うと、資料館の説明をしてくれた。館内での飲食禁止、資料の持ち出し禁止などだ。もし必要な資料があれば印刷できる魔道具を使えるようだ。
俺は探していくも中々見つからない。
「う~ん。やっぱり孤児院ってことでニュースになるほどではなかったのか?それとも、まだ見つけられていないか」
そんな俺に話しかけてくる人物が現れた。
「何を探しているのですか?」
それは白髪の男性だった。
「孤児院の事件について調べていて」
「孤児院か。いくつか心当たりがあるよ。ちょっと待っててね」
男は数分すると戻ってきた。
「やぁ。待たせたね」
男の手に三冊の資料の束があった。
「このうちのどれかだったりしない?」
俺はそれに目を通す。
孤児院にて二人の少年が行方不明。両者とも魔術や剣術に秀でていて冒険者としての素質があると、近辺でも有名であった。周囲の人からは冒険者になるために出て行ったのではないのかなどの声も上がっている。
「これだ」
マルコの情報と一致する。
「ありがとうございます」
「いえいえ、お役に立てたなら良かった。もし情報が欲しい時は頼って下さい。これでも情報を取り扱う商人、情報屋ですから。今回はサービスにしておきます」
そう言って男は立ち去ってしまった。
「情報屋。そんな奴もいるのか。てか、名前も居場所も分からないのにどうやって…」
俺は男のことを置いておき、資料をコピーして宿に戻った。




