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第58話 マルコフニウスの過去

投稿全然してませんでした。忙しかったんだ…すいません

俺は思わず黙りこくってしまう。マルコがお兄さんに殺されかけた?一体どうして?

「こんなことを聞いても驚いてしまうだろうがな」

「理由を聞いてもいいか?」

「ああ、そうだな。聞いてもらおう。そう長くはならない」

そう言うとマルコは自身の過去を語り始めた。


~マルコ視点~

僕は赤ん坊の頃に親に捨てられた。だが、そこまで事情があり悪い人でもなかったのだろう、アリスクー聖国の孤児院に捨てられていたらしい。それに名前まで書かれた紙もあったそうだ。教会の後ろ盾のおかげで、それなりに大きい孤児院で僕は住む場所に困ることもなく、飢えることもなく育った。恵まれた環境だった。


そこで僕は兄弟とも言えるような兄を2人得ることができた。一人は僕の6歳上のカルガ、もう一人は2つ上のルーカスだ。と言っても孤児院だ。正確な誕生日も分からないから年齢はおおよそだが。


カルガ兄さんは誰にでも優しく、勉強もできた。何より突出した運動能力と魔術があった。誰もが憧れるような兄だった。そして、ルーカス兄さんはいたずらっ子で勉強も全然だった。しかし、カルガ兄さん同様に優れた運動能力があった。そして、明るい性格は孤児院の皆を元気付けていた。


僕は僕で魔術の才能があったから、将来は三人で冒険者になって稼ぎまくって孤児院の子供たちに学校に行かせてやろうなんて、ガキのくせにいっちょ前に話していたのを覚えている。


そして、僕が9歳の時に孤児院の出資者である教会の人が来た。そしてカルガ兄さんを引き取って行った。別れ際には冒険者になる夢は忘れないと言っていた。それから、初めは寂しさはあったが孤児院では人が引き取られることはよくあることだ。そこまで悲観することではなく、いつも通りの日常が続いた。


この頃から僕は眼に違和感を感じ始めていた。辺りが光って見えたんだ。僕の眠っていたスキルが目覚め始めたんだ。そのうち眼を閉じていても魔力が見えるようになった。そして不便に感じた僕はルーカス兄さんに助けを求めた。兄さんもスキルを数年前に獲得していたからだ。


兄さんにスキル制御の練習を頼んで一週間くらいだったか、夜にいつも通り兄さんの部屋に行こうと思ったら、またスキルが暴走して魔力が見えるようになった。すると、扉越しに僕の目に飛び込んできたものは、倒れこんでいるルーカス兄さんと、それを呆然(ぼうぜん)と見つめている何者かの魔力だった。


俺は乱暴にドアを開ける。

「ルーカス兄さん!」

すると、兄さんは血を流して倒れこんでいた。しかし、それよりも眼を奪われたのは兄さんを刺したであろう、血のついた剣を持ち僕の方を見るカルガ兄さんだった。

「カル…ガ兄さん?」

僕は何が起きたのか理解できなかった。いや、理解はすぐにした。出て行ったはずのカルガ兄さんがルーカス兄さんを刺し殺していた。だが、僕は現実を受け止められなかった。


カルガ兄さんは僕を驚いた顔で見ると、すぐに冷静になったようだ。ブツブツと何か言っていた。

「分かり…ました」

カルガ兄さんは下の(くちびる)を噛みながらそう言ったと思うと、剣をこちらに向ける。


僕は兄さんの剣に魔力が集まって行くのを見た。それは僕を一太刀(ひとたち)で殺せるくらいの魔力だった。僕は殺されると感じ、目くらましの光魔術を放ち、氷魔術でカルガ兄さんの足止めをして、逃げ出した。


それから一人で冒険者を始めて今にいたる。




マルコは語り終えたと言わんばかりに一呼吸おく。

「今でも思うんだよ、あれは夢で戻ったらルーカス兄さんがいて、既にカルガ兄さんと冒険者になっていて、三人で冒険者をできるんじゃないかって。だけど、故郷に戻ろうとすると足が(すく)む。あの光景が、眼に光を失い倒れこんだルーカス兄さんが…血まみれの剣を持ったカルガ兄さんが…脳裏にへばりついている。それで思い知らされる。夢なんかじゃないんだってな」


俺はマルコの壮絶(そうぜつ)な過去に息を吞む。

「マルコ…」

「だから、聖国には行けない」

そう言うとマルコの眼には涙が浮かんでいた。俺はマルコに何も言うことができなかった。

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