第55話 師匠との模擬戦
遅くなりました
「ヒサメにサンドラ、う~ん確か…マルコフニウスやったか?それで、この女の子は誰や?」
シズク師匠は首をかしげる。
「えっと、私は不知火智洋です。ヒサメ君とは中学の時からの知り合いで」
「チヒロも異世界人ってことか。ならちょうどいいわ。事情を説明したいんやけど、アカリが今おらんのよ。かわりにヒサメの話を聞かせてや」
俺は師匠と別れてからの旅のことを話した。冒険者の街イーハルでの鴉との戦いにガードンとの出会い。森の民の里でのイシューラとの戦い。神界大戦の話。足りないところを父さんやマルコに補足してもらいながら話す。師匠はその間、黙って聞いていた。
「そうか、バルコの爺さんに会ったんか。それにガードンさんの悩みも解決できたんやな。それにしても行く先々で問題が起きとるな。武装強化も覚えたようやしな」
「はい新しい技も覚えたんですよ」
「それは凄いな。せやったら、アカリもまだやし、うちと久しぶりに模擬戦でもするか。旅の疲れはないか?」
「旅の疲れで戦えなかったら冒険者はできないですよ。望むところです」
俺たちは外に移動する。俺と師匠が対面する。
「始めに謝っておきます。師匠から頂いた剣の緋色はまだ使いこなせていないので指輪を使います」
俺はスキル「千変万化の腕」で剣を作り構える。
「かまわんよ。自分の使いやすい武器を使えばええ。うちはこれでいくな」
そういうと師匠は木剣を構えた。
「木でも武装強化使ってるからな」
師匠から圧を感じる。それはイシューラのような凄みを感じさせる。
先に動いたのは俺だ。俺が出せる最速で攻撃する。
「うん。以前よりも大分速い。それに剣筋もいい」
師匠はそれを話しながらさばいている。
「やっぱり死線を乗り越えると一気に強くなるな。でも、まだ甘い」
俺が上段から剣を振るう。それを師匠はしっかりと受け止めるかのように剣を構える。しかし、剣がぶつかる瞬間に角度を変えて、いなされた。俺は突然のことで身体が少し前に出た。
「隙ありやな」
俺の身体に師匠の蹴りが綺麗に入った。
「ぐほっ」
俺は飛ばされるも受身を取ってすぐに立ち上がる。
このままではやりたいことをさせてもらえない。新技を試すか。師匠相手に一撃の大振りは当たらない。なら完成しているやつだ。俺は雷魔術を剣の形にする。
「界雷剣」
「それが新技か。こい」
俺は突きを放つが、師匠はそれを綺麗によける。
「私相手に速さ勝負は厳しいな。それに突きの後の連撃も考えとかなあかんで」
師匠は攻撃を仕掛けて来ない。もうちょっと新技を見せろってことか。
俺は剣を振るうも師匠にはかすりもしない。
「それに触れたらヤバそうやからな。受けもできん。確かに強い技やな。ヒサメのスキルを存分に使ってる。でも、まだ制御に意識を持っていかれすぎて剣術がおろそかになってる。ヒサメの剣筋を知ってるうちからしたら、さっきよりも簡単に対処できてまう」
師匠は俺の大振りを見逃さず、振り終わりに剣を胴体に打ち込む。俺はとっさに界雷剣を収めながら後ろに飛び、攻撃を少しでも和らげようとする。
「前やったらこれで終わりやったのに」
「ありがとうございます。師匠」
「今度は防御も見せてもらうで」
今度は師匠攻める。俺は懸命に防ぐがかすり傷が増えていく。
「足元!」
師匠の足払いで俺は転んでしまう。すぐに追撃がくる。俺はスキルで地面を突起させ槍のようにし、師匠を狙う。
師匠は後ろに飛んで避けるが、左腕にくらう。
「うちに攻撃を当てるとはな。よし!今日はここまでにしよか。強くなったなヒサメ」
「ありがとうございました」
試合のお礼を言うと剣を指輪に戻す。
「あの雷の剣やけど、かなり制御が難しいな」
「わかるんですか?」
「うちのスキルでな」
師匠のスキル天眼は相手の技の理が見える。ようするにどんな技か理解できる。それで俺の技を見たのだろう。
「はい。まだ制御が甘くって」
制御ができなくなるとイシューラと戦った時のように暴発してしまう。そうなると自分までダメージを受けてしまう。
「まぁ、それは魔力制御を地道に頑張るしかないな。剣術自体はかなり上達してたよ。速さもある。大振りするのと足元がおろそかになる癖は早く直した方がいいな。ていっても、うちと離れたあとは集団戦の方が多いんやったか。じゃあ、それも学べてるんか。ヒサメはもっと強くなれるな」
師匠に課題点まで教えてもらった。そこは直していこう。だが、今は師匠に褒められたことが素直に嬉しかった。その時だった。
「シズクさん。もしよかったら私とも戦ってくれませんか?」
そう言ったのはチヒロだった。




