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厄災の子 ~運命に負けて異世界に行く~  作者: 香川寿太郎
第一章 始まりの街 ビギン
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第5話 初依頼

翌日、俺は朝から晩までずっと言語の勉強をしていた。その成果として簡単な子ども向けの本なら読めるようになった。


読んだ本の内容はこの世界の神様のついての話だった。

要約(ようやく)すると、この世界には何柱かの神様がいる。


一番有名なのは、この世界を作った二柱の創造神である。この二柱は兄弟であり、兄であるガウスは特に魔術に優れているため魔神とも呼ばれている。弟のザウスは特に武術に優れているため武神とも呼ばれている。

そして、他には自然神アリオス、封印神シルファー、守護神タイタニディア、そして太古(たいこ)の昔に人々を恐怖に落した邪神ザリウスである。



俺を転生させてくれた神様も載っているかな?と期待していたがそれらしき神様は見当たらなかった。


そしたら、いつの間にか晩ご飯に呼ばれた。かなり集中していたようだ。

ずっと本を読んでいたから明日は冒険者の仕事をしてみたい。だから今日はこれくらいにして明日に備えて早く寝よう。




冒険者ギルドは早朝からそれなりの人数がいた。

冒険者はランク制で下から順にE,D,C,B,AそしてSであり、Cランクで一人前となる。

現在俺はEランクだ。ちなみにサンドラはAランクである。かなりの上位であり、普通に驚いた。


「Eランク依頼は〜?これかな。薬草採取」

冒険者の依頼票は文字が読めない人でもある程度は理解できるように記号や絵などの工夫がなされている。詳しい説明は受付で聞くことができる。


「この依頼をお願いします」

「はい。分かりました。説明の方は?」

「お願いします」

「これは街の門を出て20分くらいの森にあるインフェク草という薬草です。特徴は赤い葉です」

「分かりました。ありがとうございます。」


説明された森に着くと薬草を探し始めた。しかし、薬草は中々見つからない。

「この辺にはないのかな」

その時、ザクザクと地面を()む音が聞こえる。

後ろを振り向くと、一匹の狼のような魔物がこちらを(のぞ)いていた。


俺は自慢じゃないが前世で色んなトラブルに巻き込まれてきた。だから、いついかなる場合でも冷静に考えようと努めてきた。

(俺の戦闘能力は皆無、戦うか?逃げるか?まだ距離はある)

そうして考えた結果は逃げであった。とにかく身体強化で逃げた。


しかし、元々狼の方が速いうえに地面が悪く思ったように走れず、俺と狼の距離はみるみるうちに縮まっていく。

その時、視界の先に一人の男の姿を発見した。

「やべぇ、巻き込んじまう」

何とかしようと考えていると、その男が俺に気付いた。

「あれはウルフに追われている?こちらに押し付けようとしている…訳ではなさそうだな。仕方ない」


何やら呟いた後、その男は大声で叫ぶ。

「おい、お前ウルフをここまでおびき寄せろ!」

俺は一瞬どういうことか理解できなかった。だけど、どうすることもできないため男の言うとおりにする。


男は狼を充分に引き付けると、

「避けろ!アクアキャノン」

魔法を打って来た。俺はそれを下に滑りこんでよける。それと同時に狼に着弾し、頭を撃ち抜かれて死んだ。


「助けてくれたんですか?」

「それ以外に何かあるか?」

「どうしてですか?」

「はぁ?」

「どうして助けてくれたんですか?」

「視界に写ったからな。余計だったか?」

「いや、ありがとうございます」

「ところで、お前は冒険者か?武器も持ってないようだが」

「薬草採集だけのつもりだったから」

「だとしてもナイフくらいはいるだろうに」

「その場でなんとかなると思って」

「その場で?まあいい僕は時間が余っている。少し手伝ってやる。お前、名前は?」

「俺は氷雨(ヒサメ)です」

「そうか。僕の名前はマルコフニウス。マルコって呼んでくれ。よろしくな、ヒサメ」


マルコは右手を差し出した。

「はい、よろしくお願いします」

俺はその手を取った。


「この辺りで薬草といったらインフェク草か?」

「そうです。よく分かりましたね?」


「インフェク草はこの街の特産品だからな。感染症によく効く薬草だが、その反面、栄養素を自身で取り込む力が弱いため、大木の近くで栄養のおこぼれをもらっている。かわりに大木はインフェク草に感染から守ってもらっている。まあ、協力関係ってやつだな」


「つまり大木の近くによく生えているってことですか?」

「ああ、そういうことだ」


俺は大きめの木を探し、その足元を探す。

「ああ、あった」

俺は早速(さっそく)石を拾って、スキルでナイフを作って採集する。

「あと、4本か」


俺が採集しているところをマルコが観察していた。

「それは、魔法…いや、スキルか」

「スキルですけど」

「お前、初心者みたいな格好のくせに魔力の扱いに慣れているな。魔力の通りがスムーズだ」

「そうなんですか?昨日練習始めたばかりですけど」

「昨日!?素晴らしい才能だな。だが、それだけに()しい。お前の魔力量はごみカスだ」

「ごみカスって、マルコは魔力が見えるんですか?」

「ああ、僕のスキル、魔視(まし)だ。これで魔力を見通せる」


「スキル持ちなんですね」

「スキル持ちが珍しいか?滅多(めった)にいないからな」

「え!?そうなんですか?」


「そんなことも知らないのか?スキル持ちはほとんどいないし理屈も分からないため、時代によっては神のギフトや加護と(あが)められたり、悪魔の異能や(けが)れた力と(さげす)まれてきた」


「そうなんですか?」


すると、マルコは視線を下に向けて答える。

「ああ。ところで、薬草は集まったのか?」

話題をそらされた。


「は、はい。ありがとうございます」


「いいよ。ただでさえ死にやすくて危険な上に、成功できるのは一握りだけの職業だ。冒険者同士で助けあわなくちゃな」


俺は街に戻り、ギルドで依頼終了の報告をして宿に戻った。

ベットの上で寝転んで伸びをする。

「ああ~疲れた。…マルコフニウス、どうして俺を助けて手伝ってくれたんだろう?」


よく考えればサンドラもそうだ。神様が言ったからとしてもここまでやる義理はないはずだ。

それに、俺はどうして最初に会った時から信頼できると感じたんだろうか?

なんか、サンドラは懐かしいような親しみがあるんだよな。同じ異世界人だからかな?

この世界にいると人を信じていい気になる。

そんなことを考えているうちにいつの間にか眠りについていた。





その頃、サンドラはというと、朝になってようやく求めていた人物を冒険者ギルドで見つけ出した。

「頼むシズク、ヒサメに戦いを教えてやってくれ」

シズクと呼ばれた女性はため息をつきながら答える。

「めんどくさいから、いやや」


その二人を遠巻きに冒険者たちが話している。

「あのシズクにナンパとは、あの男死ぬんじゃないか?」

「大した度胸(どきょう)だよな。シズクって百人の盗賊相手にたった一人で勝った奴だろう?付いた通り名が鬼だもんな」


そんなことなど我関せずとサンドラはシズクに頼みこむ。

「そこをなんとか」

そうして何度も頼み、ついにシズクが折れた。

「かぁ~、仕方ないな。うちが面倒みてやる。そのかわりに条件がある」

「条件?俺にできることならなんだってやる」


「まず、第一にヒサメを弟子にするかは直接見て決める。

次に本来うちがやらなあかん冒険者の依頼をかわりにやること」


「え、お前の依頼ってSランクじゃ…」

尻込みするサンドラにシズクは鋭い視線を向ける。

「やらんのか?」

「いえ、誠心誠意やらせていただきます」

「よろしい。そんで最後は―」


最後の条件を聞くとサンドラは険しい顔になる。

「分かった。やろう」

「よし、ほんなら準備してくるわ」

「ああ、いつでも移動できる」


そうしてシズクはギルドを後にした。

その一部始終を見ていた取り巻きたちは、

「おい、あれは成功なのか?」

「けど鬼は帰ったぞ」

と様々な憶測をたてる。


と、そこにシズクが帰ってくる。

「ほんなら行こか」

「ああ、俺に捕まれ」

シズクがサンドラの肩に触れるとそのまま二人は消えてしまった。


「え!?消えた?」

「あれは、まさか転移魔術?」

「じゃ、あの男は…」

「「魔導王サンドラ!?」」

二人の声がギルドの中で響き渡った。

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