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第53話 宴

サンドラが父さんだと分かり話したいことは山のようにある。しかし、今は他にもやらなければならないことが多いのでまた今度だ。父さんとはこれから沢山話す時間はあるしな。


俺たちがまずにするべきだと思ったのが、マルコに説明することだ。マルコの前では聞きなれない言語である日本語を話したり、俺たちの種族が新人(あらびと)という未知(みち)な種族であるとも知られている。流石にそろそろ説明しておくべきだろう。


俺は再びチヒロとマルコを呼び戻した。

「マルコ、俺たちはお前に話すべきことがある」

「そうか、ようやく説明してくれるのか」

やはりマルコは感づいていたらしい。それなら話は早い。俺は転生のことなど全て話していく。


「まとめると、地球で死んで神様によって新人としてこの世界に転生したってこと」

「は?転生?訳が分からない話ばかりだ」

「あれ?なんか感づいてると思ってたんだが」

「いや、てっきり森の民みたいにひっそりと生きている種族なんだと。ていうかそっちの方が現実的だろ?」

まぁ確かにそうかもな。

「でも信じてくれるのか?」

「信じるしかないだろう。ヒサメが俺を信じて話してくれたんだからな」

「ありがとうな」

「で、新人はこの三人だけか?」

「いや、後四人いる。例えば氷雨の師匠の雫だ」

サンドラが答える。

「新人は化物ばっかだな」


師匠といえば、確か武田雫だったよな?まさか親戚だったりしてな。


後日、父さんに聞くと母さんの妹だった。世間は狭いな。



里の復興作業がある程度終了し、父さんの体調も良くなり宴会を開くことになった。

「皆のおかげで脅威を退けられた。本当に感謝している。失った命も少なくない。だが、今日くらいは好きに飲め!食べろ!騒げ!楽しめ!酒は持ったか!じゃ、乾杯だ!」


「おう、ヒサメ食べるか?この肉は最高にうまいぞ」

ブルーは酒よりも肉らしい。

「食べてますよ。このソースが最高にうまいですね」

「分かってるじゃねーか。これ作っているの俺の嫁なんだぜ」

「ブルーさん結婚してたんですか!」

「ああ、言ってなかったか。紹介しよう」

そういって俺は連れられる。

「俺の嫁のタブレだ」

「ヒサメです。よろしくお願いします」

「あんたが、この里のために戦ってくれた外の人かい。ありがとうね。沢山食べていきな」

「はい、頂いてます」


「ヒサメ、ヤッホー」

すると、料理を取りに来たネヴィーにあった。宴で酒も飲んでいるからかいつもよりも言葉のテンションが高い。だが、抑揚(よくよう)はいつも通りない。逆に凄いと思える。


「ネヴィー、顔が赤いけど大丈夫?」

「この里のお酒が強い。でも、大丈夫。それよりも、ヒサメもう旅立つって本当?」

「ああ、師匠に呼ばれてるからな」

「ずっとここにいて!」

珍しいことに語尾に力が入っている。

「それはどういう」

「そしたらサンドラ様もいるでしょ!」

父さん狙いか。人気者だな。サンドラが父親と知ったら少し複雑な気分だが。

「用事が済んだら戻って来てね」


ネヴィーと別れた後、マルコに会った。

「今回、僕は何にもできなかった」

何故か少ししょげていた。どうやら先の戦いの話らしい。

「相手との相性が悪かっただけだよ。それにフォローに回ってくれただろう」

「ヒサメ~。お前はいいやつだな~」

皆酒に弱すぎるだろ。


「ヒサメ君は人気者だね」

「チヒロ。チヒロは酒を飲んでないのか?うん、まだ肉体的には15歳だからね」

そういう俺も乾杯の時に一杯飲んだだけであるが。

「サンドラさんはヒサメ君の父親だったんでしょ?会えて良かったね。私もヒサメ君に会えたし。神様には感謝しなきゃ」

「そうだな。父さんとは急な別れだったから。本当に嬉しいよ」


「よ、2人だけか?」

すると、父さんが来た。

「さっきまで神樹様と長老、お婆と飲んでたんだが、神樹様が暴れだしたから逃げて来たんだ」

「この里の酒ってそんなに強いのか?」

「いや、普通くらいだ。だが、あまり飲む機会がないから耐性がないんだろう」

「なるほどな」

「だが、こうして氷雨と飲めるんだ、それが嬉しいよ」

「父さんも酔っているのか?」

「そうかもな」

宴会は夜通し行われた。朝は地面で寝ている人たちをたたき起こすという衝撃的なものだった。


宴会から二日後、俺たちは出発することになった。

「じゃあな、また来る」

父さんが簡単に挨拶を済ませる。

「本当に助かった。ありがとう。いつでも来てくれ」

これは神樹様だ。


俺たちは霧の中を進んで行った。

これで三章は終了です。閑話は今回書くか迷い中。

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