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第49話 界雷剣

サンドラのオーラが魔人化することにより増していく。俺も雷魔術をスキルで剣の形にした界雷(かいらい)剣を発動する。イシューラの堅い防御を突破するには攻撃力を上げるしかない。言うまでもなく、相手に初見の技を見せる時は一番最初が肝心だ。


サンドラの方は発動に時間を必要とするようで、最初に動いたのは俺だ。界雷一刀ほどではないにしろ雷の性質を帯びている界雷剣の特徴は速さにある。その中でも俺は最速の突きを心臓に向けて繰り出した。それは相手の防御結界の発動を許さなかった。

「速い!」

だが、イシューラはそれすらも超反応し身体を(よじ)る。俺の剣は肩を貫く。

「これは…速い。それに身体も(しび)れる」


外された!しかし、この技の強みは速さだけではない、連撃できることだ。


そのまま、斬り合いに流れ込む。俺の剣は速く、逆に相手はかすりでもすると、痺れて身体の動きは(にぶ)る。普通ならば始めに攻撃を与えられれば勝てるはずである。しかし、イシューラは俺の斬撃を徐々に対応し始める。

「確かにこの攻撃は俺よりも速い。だがお前の攻撃は何度も見ている。剣筋も読めた。ただ速くなっただけでは無意味だ」

イシューラは俺の剣を大きく弾く。と、同時に蹴りが飛んできた。俺はギリギリで腕でガードするも後方に飛ばされる。


だが、追撃は来ない。チヒロと神樹様が攻撃しているからだ。イシューラ肩を刺されたのに、その動きに陰りはない。元々あの大けがでも動いていたほどだ。だが、一体どうやっている?


魔術の攻撃は離れていてはあまり効果がないため、神樹様も前に出ている。しかし、その動きは前衛と差はない。むしろ魔術を巧みに使っている。

「強くなったな、クリス」

「イシューラも相変わらずだな。よく肩を貫かれても動けるものだ」

「血液を使った身体強化と武装強化は基本だぞ」

「それ出来たのお前とパテックだけだ」

二人は高レベルな戦闘中にもかかわらず会話をしていた。しかし、疑問の答えは分かった。先の血の弾丸と同様のことをしていたのか。


その時、天秤(てんびん)が傾きだした。原因はチヒロだ。

「はぁ、はぁ…」

「どうしたチヒロとやら動きに切れがなくなってきたぞ」

体力切れだ。無理もない。チヒロの身体は15歳だ。前世で修業を積み、技があり強くなったとしてもそれに身体が追い付いていない。これまではスキルの全肉体的能力向上で動いてきたが、それも限界なのだろう。


「まずい。下がれ!チヒロ!休んで体力を回復させろ」

チヒロのスキルであれば、すぐに前線に復帰できるだろう。イシューラを吹き飛ばせるほどのチヒロの戦闘力はこの戦いに必要だ。ここでやられる訳にはいかない。


「遅い!」

だが、イシューラはその隙を逃さない。チヒロに向けて斬撃を放つ。俺はとっさに間に入り界雷剣で受ける。しかし、界雷剣も完成してすぐの技である。少し精神を乱したことにより魔力制御に隙が出来た。それにより最悪のタイミングで暴発する。俺はイシューラの斬撃を胴体に大きく受け、更に雷魔術が爆発した。


目のくらむような光と耳をつんざく音が辺りを包む。

「今のはなんだ?」

暴発を間近に受けたイシューラの顔や体には火傷のようなものが見える。

「だが、確かに斬った感覚はある」

「ヒサメ君!」

チヒロの声が叫び声が響く。チヒロの視線の先にいた俺は胸に大きな傷を作り、イシューラよりも魔術の暴発を近くで受けて全身大火傷となった俺の姿だ。

「あの魔術のせいで少し浅くなったか。だが、致命傷には違いない」


もう、指も動かせない。俺は死ぬのか。


その時だった。大地を揺れるほどの怒気が感じられた。

「おい、てめぇ。ヒサメに、俺の息子に何してやがる」

それは、秘術の発動を終えた鬼の形相(ぎょうそう)をしたサンドラの姿だった。

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