第48話 イシューラの強さ
すいません。大変遅くなりました
イシューラの方を見ると、先ほどとは異なり傷が癒え、魔力切れの雰囲気もない。完全復活している。対してこちらは怪我人が多数出てしまったために、話している隙に戦場から運び出された。残っているのは俺とチヒロ、サンドラ、マルコ、神樹様にネヴィー、後は十人もいない。しかし、今度はサンドラや神樹様も戦闘に加わるだろう。こちらの数的有利は変わらない。
「回復し、数も減った。これで戦いやすくなった」
次の瞬間にはイシューラは動いていた。一人のエルフが斬られている。
いつ剣を抜いた?速すぎる!
俺はイシューラの前に出て、斬り合う。
「あの話を聞いても、まだ私に攻撃するのか?」
「関係ない!俺は仲間を守る!」
すると、イシューラは軽蔑するような目で見る。
「そうか、なら死ぬといい」
イシューラのギアが一段階上る。
なんて速さだ。師匠との特訓がなかったら間違いなくさばききれなかっただろう。
しかし、俺は一人ではない。俺とイシューラの距離が空いた瞬間に右からはチヒロが、左からはサンドラと神樹様が火と風の魔術で攻撃する。逃げ場はないかのように思われたが、イシューラは防御結界で防ぐ。
なんて魔術の展開が速いんだ。それに、あの攻撃を防ぎきるほどの強度とは。
イシューラは結界を解くと同時に土魔術を放っていた。サンドラと神樹様は防いだが、まだ魔術に慣れていないチヒロは回避が遅れ、バランスを崩す。その隙をイシューラは逃さず剣を振る。
「させるか!」
だが、俺は剣を伸ばしてイシューラの行く手をふさぐ。
「厄介な!ん?」
イシューラはいきなり身体を捻る。そこにはサンドラが岩の魔術を放っていた。
「魔術!?だが、魔法で威力は低い。これなら」
その時だった。サンドラが呟く。
「爆破!」
「何!」
岩が突然、爆発する。イシューラは後ろに飛び、距離を置くが威力を殺しきれずに攻撃をくらう。
「魔術の中に異なる魔術か。それも遠隔で。面白い」
「一発で気付くか?」
お互い、決定打にかける。しかし、こちらは誰か一人でもいなくなったら戦況は傾くだろう。残ったエルフたちが弓を放つが、イシューラのスキルによって意味をなさない。
「うっとうしい!」
イシューラはエルフたちに血の魔術を放つ。それが直撃するも、全員致命傷は避けられていた。だが、イシューラはニヤリと笑り呟く。
「爆破!」
すると、エルフたちは体内から爆発する。
「な!?」
サンドラが驚く。まさか、真似をされるとは。
「私はお前みたいな繊細な魔術は使えない。しかし、私の血に魔力を込めれば割と融通が利く。例えば、物にぶつかった後に爆発とかな」
見た技を自分の技術内で再現したという訳だ。なんて言うセンスだろうか。
「気分が良さげだな」
すると、神樹様が樹木でイシューラを拘束する。
「また、封印させてもらう」
イシューラは残念な顔をする。
「お前もその程度か。今の私にそんな封印魔術など効くはずがないだろう」
イシューラは無造作に樹木の拘束を解く。
「何!神樹の杖だぞ!」
今度はチヒロが前に出る。
「素手でよくやるものだ。その攻撃力は凄まじい、練度もなかなか。しかし、私には当たらない」
イシューラの突き出した剣がチヒロの腹を捉える。
「ぐっ」
しかし、チヒロは剣が深く刺される前にスキルを最大限に開放し、剣を止める。
「何!なんて硬さだ」
そのまま、最小限の動きでイシューラに寸勁をくらわした。
「ぐおぉ!」
イシューラが吹き飛ぶ。そこを神樹様が樹木で攻撃する。飛び技だと威力が減少するが、これなら威力はそのままだ。しかし、またしてもイシューラの防御結界だ。
「ふ~、なんて威力だ。下手すりゃパテックと同じくらいだな」
イシューラにそれほどダメージはない。
こいつの攻撃力は師匠よりも低いだろう。しかし、防御が並外れている。スキルで遠距離攻撃は効かない。近距離も防御結界、自身の耐久性も高い。魔力量も多い。長引くとこっちが不利だ。
そう考えたのは俺だけではなかったようだ。サンドラ魔人化し秘術・杖創造を発動している。俺も雷魔術を発動し、スキル千変万化の腕で剣の形にする。
「界雷剣」
俺は唯一習得している技を発動する。
ここからは短期決戦だ。




