第47話 イシューラとザウス
私はそれから世界をさまよった。武神ザウス様を見つけるために。その間、私を狙う者もいたが返り討ちにした。すると突然、ザウス様が声をかけてくれた。
「君は…古人か?なぜ僕を探す?」
「私は貴方様の力になりたくて」
「そうか、ならば来るといい」
俺はザウス様の導きにより会うことが叶った。
しかし、私が見たのは既にボロボロとなっていた姿だった。
「その傷は…」
「他の神に古人、ヒト族にドライアドやエルフ…。はぁ、僕は世界を敵に回してしまったようだ」
ザウス様が空を見上げる。
「私、イシューラは貴方様に仕えます」
「そうか、ありがとう」
私はふと、神樹の実を採っていたことを思い出して懐を探す。
「それは神樹の実か」
「はい。確か、この黄金の実は回復能力があったはずです」
私は実を渡す。
「ありがとう。いただこう」
すると、ザウス様の身体はみるみるうちに回復していく。しかし、全治することはなかった。
「どうして?」
「神の身は回復が遅い。その実の効果も薄いのだろう。しかし、これで動ける程度には回復した」
その後、ザウス様は話した。兄である創造神ガウスと意見の食い違いにより今回の件は起きた。その際に止めようとした神を斬ったことも。それにより邪神となった。
「意見の食い違いとは」
「兄様はこの世界の統治を人類に任せて、我々神はただ見守るべきだと言った。そうすることによって多様な文化が生まれ、文明が発達すると。しかし、手を出さないというのは時に人類の滅亡を見捨てることになりかねない。僕はそれを危惧して、逆らってまで人類と共にあろうとした。それなのに今では人類の敵だ」
私はそれを聞くと憤りを感じた。
「どうして、こんなにも慈愛に満ちた神を…」
「よい、これからどうするか考えよう。しかし、私は意見を変える気はない。私を殺そうとする者を排除してでもだ」
話によると、古人の長であるガーゼルは既に瀕死状態にまでしているとのこと。しかし、とどめを刺す前にドライアドの娘に邪魔をされた。恐らくはクリスだろう。私はその話を聞いて思うところがないわけではなかった。しかし、やると決めたのだ。
このままでは、こちらの武力が足りない。そう思った私は仲間を集めた。そして、奴らと戦った。けれどもザウス様は万全ではない。そんななかパテックが現れた。
「パテックか。久しいな」
「長は死んだ」
「そうか。では誰が長の魔法を引き継いだ?…愚問だな。魔法を引き継ぐとしたらお前だ!しかし、私も神樹の実により魔法を手に入れた」
結果としては私は負けた。ここまでの差があるとはな。だが、光栄なことにそんな私をザウス様が助けてくれた。私とザウス様も満身創痍となった。私は魔術で傷をある程度は癒せる。しかし、ザウス様はそうはいかない。私は決心した。神樹の実を採りにいくことを。もちろん警備は厳重だろう。しかし、ザウス様をこのままにする訳にはいかない。
私は警備の古人や森の民と戦った。ここにパテックやステレンがいなかったのがせめてもの救いだった。しかし、前線を退いていたクリスがいた。クリスも神樹の実を食べたようだ。神や古人でない者が神樹の実を服用した作用でクリスの魔力は変質し、身体は有り得ない再生能力を身につけていた。
私はなんとか神樹の実を入手した。しかし、油断して封印された。
~ヒサメ視点~
イシューラは話し終えたようだ。
「お前があそこに来たのはそういう理由だったのか」
するとサンドラは何かに気づいたようで、突然声を荒げる。
「お前!その実は今どこだ」
「もう遅い!」
サンドラが攻撃しようとした時には防御結界を発動していた。
すると、尋常ではない気配がする。
「申し訳ございません、ザウス様。必ず封印は私が解きますので。しかし、これでようやくまともに戦える」
気配を感じた俺たちは奴から距離を取った。




