第42話 前夜
封印が解ける予定の前日
「結局制御できたのは雷魔術だけだったか」
俺はこの日まで特訓したが雷魔術以外のものは暴発してしまい、制御しきれなかった。しかし、確実に成長している。魔力が少なくなったら剣術や体術の訓練もしているし。
他の面々はというと、サンドラは秘術・杖創造を習得した。しかし、魔人化の状態でないと成功したことがないため、魔人化の時間制限が伴ってくる。
チヒロはかなり魔力制御が上手くなってきている。しかし、前世ではなかった魔力をすぐに扱いきれていないようだ。それにスキル全肉体的能力向上での身体の動きに意識がついていっていない。たった一週間程度でそれほどなら十分な気もするが本人は納得がいっていないようだ。
マルコは今までとあまり変わっていないが、色々と考えを変えているらしい。他のエルフやドライアドの人たちも準備を終えたようだ。
これから明日に向けて話し合いがある。と言ってもほとんどのことは神樹様やお婆、長老やブルーバラ、サンドラたちが決めているので作戦を聞くだけだ。
話によると、封印された怪物イシューラは1万年前の戦いでかなり負傷しているため全快ではないらしい。どうやら封印中にケガや体力は回復していないらしい。そのため逃亡もありうるが、それを許すわけにはいかないため、なんとしてもこの里で決着をつける。
作戦は最初に神樹様がこっちから封印を解く。それによって弓矢と魔法部隊による先制攻撃をする。それの後は相手の出方次第だが、神樹様によるとイシューラは魔術があまり使えないらしいから物理攻撃をしてくるだろうとのこと。その時はブルーバラを筆頭に取り囲んで戦闘する。弓矢と魔術は援護に回る。防衛を突破された場合は最大戦力である神樹様が相手する。マルコは魔法部隊に俺とチヒロはブルーバラの下で、サンドラは神樹様の補助だ。
その後は質問を聞いたり詳しい説明が入り解散となった。そしてマルコは連携を強めるため里の人と話しに行った。知らない人と仲良く話すのが苦手だったのに凄いことだ。俺も見習いたいものだ。そう思っていると神樹様に呼び止められる。
「ヒサメとチヒロとサンドラ、少しいいか」
部屋に入るとサンドラが口を開く。
「どうしたんだ?」
「要らない心配かもしれないが、一応言っておこうと思ってな。イシューラはお前らのことを…もっと言うならお前らのスキルを見たら何か言ってきたり、襲ってきたりするかもしれない」
どういうことだ。チヒロもそう思ったのか質問する。
「どうしてですか」
「まだ私も確信がある訳ではないからはっきりとは言えないがな。お前らのスキルは昔にイシューラが戦った奴に似ているんだ」
それだけで襲い掛かってくるかとも思うが神樹様はこれ以上言うつもりもないようであったので皆で宿に戻った。
「神樹様の言ってたことどういうことなんだろう?」
「さあな。でも今考えてもしかたのないことだろう」
「それもそっか」
宿に着くと既にマルコは戻ってきていた。明日に備えて早めに解散したらしい。俺たちもすぐに寝るところだった。
「いよいよ明日か」
マルコが呟く。
「絶対に勝とうな」
「ああ、まだまだ死ぬわけにはいかないからな」
そうだ。死ぬわけにはいかない。まだやりたいことや伝えたいことが沢山ある。どうしてだろうな。明日は死闘であり俺や他の人が死ぬかもしれないのにやる気に満ち溢れている。前世ではいつも死ぬことを考えていたのにな。人は変われるってことなのだろう。
絶対に仲間を死なせたりしない。俺が守る!
そう思いながら瞼を閉じた。
新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
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