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第40話 マルコの器

今日から各々が封印が解ける日まで修業を行うことになった。サンドラは新しい技の習得を、俺はチヒロと魔力制御の練習だ。そんな最中。

「なあヒサメ」

「どうしたマルコ」

「僕は何の修業をするべきだと思う?」

「何とは?」

「僕は新技の考えがない。いつも通りの反復でもいいが、正直言ってそれだけじゃ強くなれない気がするんだよ」


すると神樹様が来た。

「よお、調子はどうだ?」

「神樹様、おはようございます。実はマルコが悩んでいまして」

「君か。どうしたんだ」

「僕はどうやったらこれ以上強くなれるかなって」

「ん~」


神樹様がマルコの顔を覗き込むように観察する。

「マルコ君やっけ?君は頑張ってきたのはよく分かる。その年齢で既に器が完成してきている」

「器が完成?」

「ああ。器が完成してきている…つまり伸びしろが少ないってことだ」

「それはもう強くなれないと」

「そうではない。技の熟練度はどこまでも伸びる。しかし、劇的に変わることはもうない。生物としての限界だ」

「でも、サンドラさんは僕よりも既に強いのにまだ強くなっていますよ」

「あいつは器が大きかったという話だ」

「そんな…」

「悲観することではない。むしろ若くしてそこまで鍛えあげたことを誇るべきだ。それに戦い方などでいくらでも変化できる」


「それでも僕はヒサメたちとずっと肩を並べられるくらいに強くなりたい」

「ヒサメはまだまだ伸びる。君が今のままでは追いつけないくらいにな。しかし、前にも言ったが器の限界を壊す奴もいる」

「それはどうやって」

「さぁな。人それぞれだろう。限界を超えて修業するか。仲間の死を契機とするか。私のように生物としての限界を超えるか」


神樹様はかつて回復の実を食べたことによってエルフの寿命を超越している。おそらくそのことだろう。


「今はとりあえずコツコツとやれることをやってみろ」

「分かりました」

マルコの声にはいつもの覇気(はき)はなかった。


マルコは午前中はぼんやりとしていた。少し魔術を練習したかと思えば考えごとをしているようだった。なんて声をかけようか迷っていた時だった。

「よし、うじうじするの辞めた!」

マルコが突然大声を出した。

「どうしたマルコ?」

「ヒサメか。午前中のことで考えこんでいてな」

「器のことか」

「そうだ。僕は才能がないのではと少し考えていたが、実力的にはAランクくらいあるしな。周りの人たちがおかしいんだ。それに器を超える方法もあるらしいからな。僕は僕の方法で強くなるよ」


どうやら心配するほどのことではなかったようだ。マルコは元々明るい奴だしな。それにマルコなら簡単に器を超えるだろう。そんな予感をさせる奴だ。俺も負けないように修業しよう。

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