第34話 サンドラの足跡~シズクとの出会い~
少し遅れた
「で、どうして俺を呼んだんだ?」
「言ったろ?話をしたいって」
「それだけなわけがないだろ?」
「まあ、座れや」
神樹様がそういうとサンドラは座敷に座る。
「で、どうだったんだ?」
「そうだな…」
かれこれ十数年前の話
森の民の里を出た俺は近くの街に向かった。
「道になっている。これをたどればいつかは街につくだろう」
それから十日ほど歩くと街についた。そこはイシダーンバナ国のアルテナという街だった。
「街に入ったはいいが金をどうやって稼ぐかだな」
俺は街をウロウロしていると、ふと冒険者ギルドの看板を目にした。
「兄ちゃん、冒険者に興味があるのか?」
そう言ってきたのは、ウーノという青年だった。
「冒険者?」
「え!?冒険者を知らないのか?」
そうしてウーノから冒険者について知った。他に金策のあてもなかった俺は冒険者に登録した。
冒険者を続けて約半年で俺はBランクまで上がっていた。始めは慣れないことだらけでかなり苦労したが、幸い森の民の里で鍛えられていたから戦闘能力では苦労することはなかった。そんな時に、俺は指名依頼を受けた。
「遺跡の調査?何で俺が?」
「さぁ?依頼人からは指名依頼をしたいとだけ、お聞きしています」
「断ることはできるのか?」
「もちろん出来ますよ。けど、一様お話はさせて頂きます。調査といっても、サンドラさんはシズクという冒険者サポートですので」
「シズク…」
俺はその名前を聞き、依頼を受けることにした。
その遺跡に向かう。それなりに距離があったので少し苦労した。遺跡の近くで焚き火をしている女性がいた。俺が近づこうとすると、
「誰や?あんた?」
その女性が俺に気付いたようだ。
「関西弁…。そうか、じゃ君がシズクだな」
「うちの名前。じゃあ、あんたがサンドラか」
「そうだ。確認なんだが、その喋り方は?」
「ふ~ん。やっぱり、あんたも異世界人なんや」
やはり、シズクは異世界人、新人だったか。
「どうして俺が異世界人と分かった。名前では分からないと思うが?」
「あ~サンドラってやっぱりこっち来てからか。質問の答えは神様が教えてくれたからや」
「神様と転生後に話をしたのか?」
「正確にはうちじゃなくて、別の異世界人やけどな。あと、いつでも話せるわけではないらしいよ」
「そうなのか」
「うん。ついでにこの依頼もその人のや。少し研究で分からんところがあるから調べて欲しいらしいよ」
「了解した」
「じゃあ行こか」
シズクが遺跡に歩いていく途中で俺は呼びかける。
「その前に少し聞きたいことがある」
「何?」
「シズクの名字はなんだ?」
「それを聞くんやったら、まずはあんたからと言いたいところやけど、偽名使ってるちゅーことは理由があるんやろう。うちの名前は武田雫や」
俺はその名前を聞き動揺した。そして微かに残るシズクのその面影が動揺を大きくする。
「君の姉は武田零…か?」
「何で知ってるんや?親父ならともかく、うちら姉妹はそこまで有名違うかったやろ」
「零は俺の嫁だ」
「は?…てことは、あんた良治さんか?」
「そうだ」
「そんな、あほな」
それから俺たちは少し過去について話をした。
「そうか、姉さんも亡くなったんか」
「すまない」
「義兄さんが謝る必要はないよ。しょうがない。それにほら、ひょっこりこの世界に来るかもしれへんやろ?」
「そうだな」
「はい、前世の話はこれでおしまい。あと、こっちではうちが年長やからな、サンドラ」
そうして俺たちは遺跡の調査を行った。遺跡の中には硬いゴーレムが門番のように立っていた。しかし、シズクは俺よりも強く、苦戦することなく倒した。しかし、シズクは剣が折れてしまっていた。
「あ~あ、うちの剣が…」
「そんなに大切か?剣なしでも十分に強かっただろ?」
「剣の方が好きなの!」
そう言ってシズクは少し落ち込んでいた。
「ここを出たら好きなの買ってやるから」
「ありがとうな。でも、剣くらい自分で買えるよ」
そうだった、こいつはAランク冒険者だったな。
俺たちはまだ先に進む。
「俺たちは何か探しているのか?」
「さぁ?」
「さぁって」
「うちも何かあればもって帰ってきてとしか聞いてないからさ」
なんともアバウトな依頼のことだ。
そんな話をしていると、大きな扉の前についた。扉の上にはかすれた文字が掘ってあった。シズクもそれに気がつく。
「う~ん、何て書いてあるんやろうか」
「扉にゴーレムの核を埋めよ、だってよ」
「あんたこれを読めるんか?」
「ああ、俺の転生先に長生きの婆さんがいてな」
「これって古代の文字やろ?何年生きてるねん」
「さあな。それよりもゴーレムって、さっき倒したやつだろうな」
俺たちはゴーレムの核とやらを持って来ていなかったためにいったん戻ることになった。
さっきの場所に着いた俺たちはゴーレムを調べ始める。
「核ってどれだ?」
俺が見た感じ、どこにもそんな物は見当たらない。すると、シズクが何かを発見したようだ。
「あった。このゴーレムの中やな」
「中?どうやって分かったんだ?」
「スキルや」
そう言ったシズクの眼には丸い模様が浮かんでいた。
「天眼って言ってな、技の理を見れる。この場合はゴーレムが動く仕組みを調べてみたんや。そしたら、ゴーレムの中の一部分に力の大半が集中してた」
「その集中しているところが核ってことか」
「多分そうやろ」
しかし、このゴーレムはかなりの硬さだ。どうやって割ろうかと考えていた時に、シズクが素手で殴っていた。
「ハッ!」
素手なんかで割れるわけがないと思った瞬間、ゴーレムにヒビが入る。
「もう一発っと」
シズクが再度、ゴーレムを殴る。すると、ゴーレムは砕けて中から一振りの剣が出てきた。
「これが核か。剣なくなったからちょうどええわ」
そうして、彼女が腰に剣を収める。
「おいおい、このゴーレムを素手でとか、マジかよ」
「結構、もろなってたよ」
シズクが言うにはスキルで見た脆くなっていたところを殴ったらしい。だとしても、素手では到底不可能だろと思ってしまう。
「サンドラ、はよ行くで~」
俺はそんなシズクの背中を見つめていた。
「零、お前の妹はたくましく生きているよ」
俺はシズクを追った。
俺たちは再び、扉の前にやってきた。
「これをここに刺せばいいんかな」
シズクはちょうど剣がさせそうな穴に剣を入れた。
「なんも起こらへん」
そうしてシズクが剣を抜こうとして握った時だった、剣が回り『ガン』という音が聞こえた。そうしてシズクが扉を押すと、見事に開いた。
扉の上の文字をよく見ると、回せとも書かれていたが、かすれていたため見落としていた。
中に入ると、本が一冊置かれているだけだった。それも魔術により劣化が防がれていたために、文字が読める。
「これは魔術書だな。しかし、見たことのない魔術ばかりだ。題名は『空間に干渉する魔術』か」
「よくわからんけど、この他には特に何もなかったから、これだけ持って帰るか」
「そうだな」
「そうや、サンドラもうちと一緒に別の異世界人のところ来やんか?」
俺は少し迷ったが、特に断る理由もないので同行した。
「これで翻訳機が手に入った」
シズクが言っていたことは気になったが。
意外な関係性が明らかに




