第26話 元の世界では
新章です
『ありがとうございました。師匠』
『いいってことよ。元気でな』
とある中国の空港で師匠とその弟子らしき二人がいた。
『はい。師匠もお体に気をつけて』
そう言うと弟子らしき女性は飛行機に乗り込んでいった。
「ふふ、ようやく会える。今度は助けられるかな?…春風君」
そう彼女は呟いた。
「んん~、日本だー」
彼女は伸びをする。
「どうやって探したらいいんだろう?住所…は分からないし。高校に友達なんていなかったしな~」
そんな時だった。大通りで流れてきたニュースを目にする。
「凶悪連続殺人事件から今日で5年となりました。春風氷雨死刑囚の死刑執行も先日行われました」
彼女は自身の耳を疑った。
「春風君が殺人…死刑執行?…そんな」
彼女はそれを受け止めきれずに自分のスマホでその記事を探した。
そこには色々なことが書かれていた。
路地裏で春風氷雨容疑者が女性をナイフで刺したところを発見され、通報された。春風氷雨の父親も殺人で死刑となっている。
年齢も高校も彼女が知っている春風氷雨と同じであった。
「そんな…春風君が…もういないなんて。守れるように頑張ったのに…肝心なときに側にいれなかった。ぐっ…うう…もう春風君に会えないの?…そんな…うあぁ~」
彼女は人が行き来する歩道で声を上げて泣いた。悔しさと寂しさとが声に入り混じる。道行く人が何事かと彼女を見る。中にはスマホで撮影する人も見受けられる。
泣き疲れた彼女は夜の公園で呆然としていた。遠くから酔っぱらいの賑やかな声が聞こえてくる。
「これからどうしよう?もう日本にいる意味がなくなっちゃった。中国に帰ろうかな」
その時、酔っぱらいの男が話かけてきた。
「あれ?君一人?暇なら俺らと飲まない?おごるよ?」
「いえ、結構です」
そう言って立ち去ろうとすると、男は彼女の手を強引に掴んできた。
「ええ~いいじゃん。ちょっとだけだから」
「いい加減にしてくださいよ」
すると男が少しイラついたような声を出す。
「いいから来いって言ってるだろ」
男は掴んでいた腕を自分の方に引っ張り膝蹴りを放った。
「先輩、暴力はヤバいですって」
男のとりまきが声を出す。
「いい加減にしろよ。こっちは今それどころじゃないだよ。落ち込んでんだよ。何でそうやって弱そうなやつを攻撃する?もういいよな?あっちから先にやってきたんだ」
女性がぼそぼそと呟く。
「なんか言ったか?」
男がそう言った瞬間だった。
「ふんっ!」
女性が男の腹に打撃を打ち込んだ。
「ぐおっ」
男が数メートル吹き飛んだ。そして、そのままゲロを吐いた。
「うおぉ。待てこの女」
しかし、男は脚に力が入らない。女性はその間に立ち去って行った。
「はあぁー春風君…」
彼女の頭にはもうさっきの男のことなんてなかった。そのまま駅に向かった。
ホームで待っているといきなり背中を強く押された。
「え!?」
倒れながらに振り向くとさっきの男だった。もうすぐそこに電車が来ている。
「これは、マズい」
彼女は受け身をとろうとするも、電車の速さを殺すことはできずにひき殺された。
そして、目が覚めると、光に包まれた謎の空間だった。
主人公は次からでてきます




