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厄災の子 ~運命に負けて異世界に行く~  作者: 香川寿太郎
第二章 冒険者の街 イーハル
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第22話 五人衆VS魔導王

サンドラは三つの龍撃の勢いを完全に殺していた。

「結構飛ばされたな、転移で戻るか?いや、どうせさっきの奴ら来るんだ。転移は一日一回しか使えねぇーんだ。先にそいつらつぶすか。その間はヒサメ達には頑張ってもらうか」

そこに五人の剣士が現れ、その中で一人が話しかける。

「魔導王、我ら五人と手合せしてもらおう」

「おう、いいぜ。だが、時間が惜しい。手短にやらせてもらおう」

すると、もう一人の褐色の肌の男が食って掛かる。

「なめやがって。お前がいくら魔術の才があろうと、魔術師が剣士五人と戦えると思っているのか?」

「ああ、思ってるさ。いいから、さっさとやるぞ」


「ちっ!もういい。俺はレックだ」

さっきのやつが名乗ると、次々と他のやつが続く。

「俺はラクトだ」

この中で一番の大柄の男だ。

「カインだ」

鋭い目つきの狼の獣人の男だ。

「私はアリサよ」

五人で唯一の女性の剣士だ。

「…レント」

長身に細身で、無口そうな男だ。

「はあ~。レック、俺が話してたろ?急に入ってくるな。俺はレイヤだ」

最後に、初めに話しかけてきたやつが名乗る。

「俺はサンドラだ。じゃ、始めるぞ」



サンドラが戦闘開始を宣言すると、レックとラクトが同時に攻撃をする。

「「双龍(そうりゅう)・嵐」」

レックの龍撃・雷とラクトの龍撃・水が二つの龍撃が交じり合った高威力の攻撃となる。これは、タイミングと力量を完全に合わせることによってできる、長年のコンビネーションがなせる技だ。


「はっ!いきなりか。ロックボム」

サンドラが少し大きめの岩の魔術を放つが、すぐに双龍に飲み込まれてしまった。

「そんな小さい魔術で止めようってのか。無理に決まってんだろ」

レックがそう言った瞬間、双龍が爆発して霧散していった。

「な、何が起こった」

「落ち着け、レック。あの岩の魔術に仕掛けがあるのだろう」

レイヤが冷静に分析する。

「ああ、そうさ。あの中には火があったのさ。それも超高圧に圧縮されたのがな。だから、周りの岩なんてちょっとの刺激ですぐに崩壊する。それこそ雷とかな。岩が崩壊すれば、一気に炎が爆発する」


「はは、魔術を二重構造で…?バカな…できるわけがないだろう」

レックが驚嘆する。魔術の同時攻撃はよく聞く技術だし、高レベルの魔術師はほとんどの人が使える。しかし、魔術を魔術で覆う魔法の二重発動はサンドラが独自に開発したもので、その会得難易度は同時発動を超える。


「落ち着けと、言っているだろう。相手は魔導王だ。どんな攻撃手段があるか分からないと事前に言っただろう。あいつはただの魔術師じゃないんだよ」

「ちっ」

「だが、人数で有利なのはこっちだ。油断しなければ、勝てるさ」

「そうだ。レック」「…」

レイヤだけでなくラクトとレントもレックを落ち着かせる。


「ふう~。わぁったよ」

「じゃ、行くぞ!」

すると、五人が次々とサンドラに攻撃を仕掛ける。ラクトとアリサが同時に剣を振るう。それをサンドラは岩の盾で防ぐ。その背後をレックが攻撃する。これもまた背後に火の壁を作り防ぐ。

サンドラは五人の攻撃をことごとく防ぎ、(かわ)していく。しかし、相手は真流剣術の達人である。サンドラは少しずつダメージを負う。


「魔術師がこうも動けるとはな。子供の時から喧嘩でもしていたのか?」

「さてな」

「まあいい、アリサ、レント!」

レイヤの合図と共に五人が連携して動く。

「魔力斬撃・風」「魔力斬撃・火」

アリサとレントが合わせ攻撃を放つ。


「アクアキャノン」

それをサンドラがアクアキャノンで相殺する。

その隙をついて背後からレックが魔力斬撃・氷を繰り出す。

「ファイアーアロー」

ファイアーアローで防ぐが、後ろにもう一つの魔力斬撃が見えないように仕込まれていた。

サンドラはギリギリでよけるが、体勢を崩す。瞬間に、アリサ、レント、レック、ラクトが龍撃を一斉に放った。龍撃どうしがぶつかり合いサンドラの周りが煙に包まれる。

「ふ、やはり五対一では、いくら魔導王とはいえ防戦一方か」

レックが油断した時だった。


「あれは、木?」

アリサが見たものは、さっきまでサンドラがいたところにいきなり生えた大木だ。

「な、龍撃・氷」

レイヤが咄嗟に龍撃を放つ。

「おい、レイヤなにしっ、何!?」

いきなり木に攻撃したことに対して疑問をもったレックだが、話の途中で木の枝がうなり、五人に襲い掛かってきた。五人が各々、枝をかわし、切り、技で遠ざける。

「レック、ラクト!地面から来るぞ」

「クソ」

レイヤの忠告が間に合わず、レックとラクトが木に捕まった。

「魔力干渉、爆破」

サンドラがそう言うと、捕まえていた木の枝が爆発した。

「ぐあっ!」

二人が吹き飛ばされる。


「流石に頑丈だな。まだ、生きてやがる」

「ま、魔導王!それは一体何よ?」

「…」

アリサの問いかけにレントが頷く。

「植物魔術だよ」

「植物の魔術?聞いたことがない。それもお前のオリジナル魔術か?」

レイヤが聞く。

「違う。これは山の民が伝承している秘伝の魔術だ」

「山の民…、エルフか」

「おしい。ドライアドだ」

「まあ、どっちでもいい。もう襲って来なくていいのか?」

「これは魔力消費が大きくてな。これ以上やると転移が使えなくなる。出来れば使いたくなかったんだが、お前ら相手じゃ反撃の隙も少なくてな、先に数を減らさせてもらった」


「そうかよ。クソ、砂ぼこりのせいで見えなかった。一気に二人もやられた。はっ!」

「ロックボム」

サンドラがアリサに向けて攻撃する。

「こんなもの」

「アリサ!斬るな!爆発するぞ」

「えっ!」

アリサが斬る瞬間に刃の向きを無理矢理変え、空振りさせる。

「魔力干渉、遠隔爆破」


しかし岩がアリサの横をすれ違う瞬間にサンドラが爆発させる。

「キャッ!」

「アリサ!」

「大丈夫よ。まだ、やれる」

「皆、よけろ。下だ!」

「ロックランス」

レイヤ、アリサ、レントの足元の地面が槍のように伸びてくる。

「ぐう!」

「アリサ」

レントはすんでのところで、よけたがアリサは脚を貫かれた。

「脚を刺した。もう歩けないだろう。後二人だ」

「くっ!」

「…」


サンドラは人数差などたいしたことないかのように、次々と撃破してゆく。

「レント、残った二人で何とかするぞ」

「…」

レントはコクりと頷く。

「だが、レントの得意属性は火だ。俺の氷とは相性が悪いから、属性の双龍は使えないか」

レイヤとレントは接近戦をしかけようとする。しかし、サンドラは巧みに魔術を使い二人を近づけさせない。

「クソ!こんな魔術師は見たことがない」

レイヤはレントとアイコンタクトを取る。

「「龍撃、双龍」」

そして、互いに無属性の龍撃を放つことにより、双龍を作る。

「そうくるだろうと思ったさ。魔力干渉、水属性付与」

サンドラは威力が小さく、扱いやすい無属性だったために双龍を魔力干渉により、自分の支配下におき、更に水の属性にしてから、レントに繰り出す。

「ぐっ…」

「レント~」

龍撃を放った後だったために、放てなかった。しかし、仮に龍撃を放ったとしても、火と氷、相性が悪かった。


「残るは俺だけか」

「お前、レイヤとかいったか?」

「ああ、そうだ」

サンドラは戦いの中で観察をしていた。そのなかで思った疑問をぶつける。

「未来を見ているのか?」

「な、どうして分かった?」

「指示のタイミングが速すぎる。俺が攻撃する前に言ってるじゃねぇか」

「そうだ、俺はスキルで数秒先を見ている。しかし、お前の攻撃は多彩かつ、回避が困難だ。アリサの攻撃も斬って爆発するはずだった。しかし、離れたところから爆発させるとはな。それに双龍を操る?本当に人かよ?」

「ああ、そうだよ。ところでお前らはどうしてオディアスに従うんだ?あいつの復讐にお前らは関係ないだろう?」


「ああ。だがな、あの人は俺たちのリーダーなんだよ。ここにいる五人は当主を決定する時にオディアスに負けている。その時から、クラワーの家の剣士全員がオディアスに従うことを(ちか)ったんだ。確かにあいつのやってることは間違ってるのかもしれない。オディアスはリーエちゃんがティアラちゃんを殺したはずだと言っていたが、俺らにはリーエちゃんがそんなことするとは思えない。オディアスもそれは理解しているはずだ。オディアスは唯一の肉親である娘を失って、どこにもぶつけようのない怒りをぶつけたがってるだけなのかもな」


「それが、話もせずに殺しか?」

「…俺は、あいつを信じている」

「何を信じているって言うんだ?」

「…決着だ」


もう、小細工は通じないと感じたレイヤは自身の最大攻撃で勝負をつけようとする。

魔力を集め、氷魔術で剣を凍てつかせる。

雪華(ゆきのはな)

その温度は極限まで下げられ、当たったものは一瞬で凍り、氷の結晶となる。しかし、絶対零度近くなるまでに下げられた剣は(もろ)く、武装強化で保護しようと、簡単に砕けてしまう。まさしく、一撃必殺の技である。

レイヤがサンドラめがけて目にも止まらぬ速さで駆け出した。


「はあああああぁぁぁぁ~~」

レイヤが剣を降りおろす。しっかりと剣が何かを捉えた感覚が手に伝わる。しかし、サンドラは剣を片手で受け止めていた。

「残念だったな」

サンドラはそういうと、雷魔法でレイヤを気絶させる。

「ぐぅ…やっぱり無理…だった…か」

レイヤは最後にそう言って、倒れた。


しかし、サンドラも雪華(ゆきのはな)を完全に無効化したわけではなかった。

「クソ、手首まで凍ってきやがった」

相手の突進が速く避けきれないと判断すると同時に、氷の剣のためにレイヤの肘までが冷えていたために、剣の速度が遅くなっているのを見出した。恐らくレイヤは剣速度の遅さを移動速度で補おうとしたのだ。

サンドラが両手で受けなかったのは余裕があったからではなく、雪華による凍結の被害を片手だけにして、被害を最小限にするためだ。また、受ける際も魔術で鋼のように硬い岩を出して、それに火の魔法を通して、剣を防ぎながら氷も対処していた。だが、雪華(ゆきのはな)はそれすらも超えてサンドラを凍らせつつある。


「ち、仕方ねぇ」

するとサンドラはこれ以上は凍るのを防ぐために、風魔法で自らの手首を切り落とした。

「俺の治癒魔術じゃ、欠損まで治らないからな。当分、不便しそうだな」

そういいながら、応急処置の治癒魔術をして止血する。

「すぐにヒサメのところに行くか。結構飛ばされたから、転移だな」

そして、サンドラはこの場から消えた。

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