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厄災の子 ~運命に負けて異世界に行く~  作者: 香川寿太郎
第二章 冒険者の街 イーハル
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第21話 決戦開始

森に移動する前に領主であるガードンが冒険者に呼びかける。

「諸君!今回は最近活発になってきた鴉という賊の討伐だ。皆も知っていると思うが鴉は一ヶ月前に街に侵入し、被害を与えた。そして我らイーハルの街に対して宣戦布告をなされた。我らはそれに対して戦わねばならん。相手は我らよりも人数が多く、一人一人もかなりの実力者だ。だが、案ずることはない。一か月前の襲撃の時に、鴉のボスを退けた二人の勇敢な冒険者、ヒサメとマルコフニウスがいる。そして、かの有名な魔導王、サンドラ殿も一緒に戦って下さる。我らに負けはない」


魔導王という名前を聞くと騎士は口々に話し始める。

「魔導王様を前に屋敷で見たんだけど、いかつい顔してとても優しかったぜ」

「私はサンドラ様の魔術を見ました。意味不明でした!」

場が盛り上がってきたところで、ガードンが発破をかける。

「皆、臨時報酬は弾む。生きて帰ってこい」

報酬の話が出ると騎士たちは騒ぎ出す。

「「うお――――――」」


これを聞いていた俺、マルコ、サンドラ達は困惑していた。

「俺らの話もするんだな。ちょっと恥ずかしいな」

「僕に関しては逃げただけだしな」

「まあまあ、いいじゃねえーか、俺に比べれば。なんだあの持ち上げよう?」

と話をしていると、出発の時となった。

「さあ、行くぞ~~~」

「「おお~」」

俺たち一向は森に向かった。


森に入った。列をなして、歩いていると後方で動きがあった。

「「「魔力斬撃」」」

「グァー-」

「おい、クソ、敵襲ー。皆、構えろ」

その声は前方にいた俺達にも聞こえていた。

「ヒサメ、こっからは戦場だ。敵、味方が入り乱れる上に森だから木々で視界も悪い、気を付けろ」

「おう、わかった」


会話が終わると同時に、サンドラが構える。俺はすぐに狙われていることに気づく。

「龍激・風」

「龍撃・水」

「龍撃・雷」

前から攻撃がサンドラ目がけて飛んできた。

「ち、結界」

サンドラは防御魔術を展開するが龍撃三発分はサンドラにダメージを負わせずとも、結界ごと吹き飛ばす威力があった。


「魔導王、お前の相手は我らがしよう」

飛んでいくサンドラの後ろを五人の影が追っていく。

「サンドラ~。俺たちとサンドラを分離させてきたか」

「サンドラ様なら大丈夫だろうが、問題はこっちか。予想以上に後方もやられている。後方の全滅はまずいな。おい、バルコ…、バルコ!」


ガードンが叫ぶが、辺りにはバルコの姿が見当たらなかった。

「バルコの爺さんなら、いないぜ」

代わりに現れたのはオディアスだった。

「オディアス!?」

「魔導王はいきなり現れ、実力も手口もわからないから、力尽くで退場させてもらった。バルコの爺さんはしっかりと対策を立てさせてもらったがな」


「バルコをどこにやった」

「心配すんな、生きてるよ。ただの時間稼ぎだ。あいつはお前らの後だ」

「オディアスさん、聞いてください。話したいことがあるんです」

「お嬢、残念だが俺にはない」

「待ってくださ―」


するとオディアスの顔つきが変わった。

「気にくわねーんだよ。なんで俺の娘が死んで、お前がのうのうと生きてやがる!お前が殺したんだろう!」

オディアスの言っていることは、滅茶苦茶でただの八つ当たりだ。しかし、その叫びには奴の魂が、どうしようもない思いが込められていた。

「リーエ、話はおしまいだ。来るぞ」

オディアスが俺たちに攻めよってくる。俺はミスリル剣を作り、魔導武装で強化する。リーエ、ガードンは騎士に任せる。


オディアスが攻撃を仕掛け、俺が防ぐ。剣と剣がぶつかり合い、高い音を立てる。

「また、お前か?前のでわかったろ?お前じゃ俺には勝てねぇんだよ。」

「それでも、ここで引くわけにはいかないだろう」

「何故だ?ここで人が何人死のうがお前には関係のないことだろう?」

「関係なくないさ。ガードンさんにはよくしてもらったし、バルコさんには剣術を教えてもらった。そして、何よりリーエと仲良くなった。初めての友達なんだ」

「そうかよ。ならもう手加減はしないぞ」

「もとよりそのつもりだ。それに今回は俺一人じゃない。マルコ!」

「ああ、任せろ。アクアキャノン!」


俺は剣を押しのけると、横に飛び、オディアスから距離をとった。そこにマルコが魔術を放った。

「これは避けられないだろう、直撃だ」

「油断するな!マルコ」

二人に風の刃が飛んでくる。それを俺が身体を盾にして守る。

「そんな…当たっただろ?」

「いや、当たっていなかった。マルコがアクアキャノンを放った瞬間、あいつは後ろに飛んだと同時に斬撃を飛ばして魔術を切り捨てたんだ。そして、その斬撃はマルコの魔術を貫通して俺たちを襲った」

「へぇ~、よく見えてるじゃねーか」


そこにオディアスは余裕の感じで現れた。

「やっぱり、奇襲は無理だったか。マルコ、援護を頼むぞ」

「任せろ」


俺はオディアスに詰め寄り、剣を上から振るう。オディアスはそれを剣で防ぎ、俺の脇腹を蹴る。しかし、俺は剣とは逆の手でそれを防ぐ。それと同時に足を掴み、そのままオディアスを投げつける。オディアスは受身を取って、素早く立ち上がる。そこにマルコがアクアバレットを連撃する。


「龍撃・風」

それをオディアスは一振りで防ぐ。

「そうか、てめえはこの前に、そこの小僧を逃がしたやつか?」

「そうだ」

「なるほど。なかなかいい腕の魔術師だな」

「それはありがとうよ。アクアキャノン!」

「だが、それでも俺を倒すには足りない」

そう言い放つとオディアスはアクアキャノンをよける。

「おせーんだよ。その攻撃はよっ」

オディアスはマルコに詰め寄ると、至近距離で魔力斬撃・風を放った。

「ぐぁ~~」

マルコが吹き飛ばされる。


「マルコ!クソ、俺が時間を稼ぐから、その間に治癒を」

俺はオディアスに斬りかかる。しかし、それをことごとくオディアスが防ぐ。俺はタイミングを見計う。


よし、今だ。


俺はオディアスの剣を避ける、そのタイミングに合わせて剣を伸ばして完全に間合いの外から攻撃する。

「うお、それ忘れてた」

オディアスにここで初めての攻撃が入る。

「はあ~。本当に面倒くさいな、それ。ん?」

反撃に移ろうと、オディアスが一歩踏み出したとき、オディアスは俺以外の気配に気づく。

「ストームバースト」

治療を終えたマルコが、一番の攻撃力をもつ魔術を撃った。


「ぐっ」

それをオディアスは当たる直前に、反射的に急所を避けた。

「やるじゃねーか」

「まだまだこれからだよ。準備ができた。ディープミスト」

マルコが使った魔術により深い霧に覆われた。

「ヒサメ、今だ」

マルコがそう言うと、周辺に嵐のような風が吹き荒れた。

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