第1話 神との出会い
目が覚めると、辺りが真っ白に輝いた空間にいた。
(ここはどこだろうか?俺は死んだはずじゃ…あの世ってとこだろうか?)
そんなことを考えていると
「やっと来たのか。ずっと待っていたよ」
と、どこからともなく声が聞こえてきた。
「誰だ」
そう尋ねると
「私は神と呼ばれるものだよ。春風氷雨よ」
俺はそれをすぐに判断出来なかった。なぜなら神様を見たことがないからだ。
だが、名前も知られていて、この幻想的な空間のせいか、信憑性がある。
「本当に神様なんですか?というか、どこにいるんですか?」
「本当に神だが、訳あって姿を見せられない」
少し胡散臭くなった。
「あ、信じてないな?まあ、いい。要件を伝えるね。
君、死刑で死んだろ?君の世界のエンマ様はサボり気味でね。ああ、エンマ様っていうのは、人の人生を評価して、相応の罰や来世を与える、世界のシステム的存在だ。輪廻転生の神とも呼ばれている。
で、そのサボりエンマが死刑になった人の人生を評価もせずに地獄に落としちゃうんだよ。
だから、君はこのままだと地獄行きだよ」
「そんな!俺は死んでまでそんな目に遭うのか」
「だから、僕が君に話しかけているんだよ。ヒサメは生前、いつも善根を積んできた。そんな君が地獄に落ちていいはずがない」
「助けてくれるんですか?」
「ああ、その方法は異世界に行くことだ。実は僕はこの世界の神様じゃなくてね。君をエンマ様にバレないように、僕のいる世界に転生させられる。流石にエンマ様も異世界まで来ないからね」
「異世界…ですか?」
「僕の世界は君の世界と違う。剣と魔法の世界っていうとわかるかな。危険な魔獣にヒト族以外の獣人やエルフとかがいるんだよ」
「RPGのような世界ってことですか?」
「そうだよ。で、どうする?」
異世界…不安がないわけではない。しかし、地獄に落ちるよりはましかな?
「是非、お願いします」
「そういうと思ったよ。早速、準備を始めるね。少し時間がかかるから、その間に君に与えるスキルの説明をしよう」
「スキル?魔法とは違うのですか?」
「魔法は得手不得手があるけども、練習すれば誰でも使える。
しかし、スキルはそうじゃない。生まれながらにして持っている人にしか使えない。
共通点としてはどっちも使用時に身体の中にあるエネルギーの源である魔力が必要ってことかな」
「なるほど、魔法は後天性なもので、スキルは先天性なものってことですね?」
「そういうこと。で、君に与えるスキルとは千変万化の腕だ」
「なんか、強そうな名前ですね」
「それは君次第だね。能力は君の腕や、腕からの魔力を君が手に触れている物質に構成する、というものだね」
??? 俺は理解できずに顔をしかめる。
「つまり、君が鉄を触ってスキルを発動すると、君の腕や、腕からの魔力が鉄になり、水や炎を触れると水や炎になる」
「なるほど。それはスキルを発動しながら魔力を飛ばせたりとかは?」
「それは出来ない。あくまでも君の腕から出ている魔力だけだからね。腕から離れると、ただの魔力に戻ってしまう」
「少し複雑ですね」
「それは、感覚で分かると思うし、色々試すといいよ」
「はい、分かりました」
「うん。まだ時間あるけど質問ある?」
少し考えてから質問する。
「俺以外に異世界に行った人はいますか?」
「君以外だと、今は五人いるかな」
結構いるんだな。いつか会ってみたいものだ。
「そうだ!転生先を他の五人のうちの一人の近くにしよう」
「本当ですか!ありがとうございます」
「多分、君も気に入ると思うよ。確か…今はサンドラと名乗っているかな」
「サンドラですか」
「そろそろ転生体ができるね。あ、そうだ、君の身体は大体15才くらいで、種族は新人という」
「新人ですか」
「そうだよ。大体はヒト族と同じだよ。髪色や容姿は周囲の魔力によって結構変わるけど、気にしなくていいよ。もう時間だね。後の詳しいことはサンドラに聞くといい。じゃあね」
神様がそう言うと俺の意識は薄れていった。




