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厄災の子 ~運命に負けて異世界に行く~  作者: 香川寿太郎
第一章 始まりの街 ビギン
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第11話 昇格と旅立ち

目が覚めた。

「んー、洞窟……黒狼を倒したんだった。どのくらい眠ってたんだ?とりあえず魔石と牙を回収するか」


冒険者は魔物を討伐した時に魔物の身体に入っている魔石というヒトでいう心臓のようなものと、各魔物の討伐証明部位を採取し、ギルドに提出する。それで討伐依頼が完了する。

魔石や討伐部位は装飾品や魔道具などに使われる。


回収が終わった俺はダンジョンを出ることにした。出る途中にも何度か魔物に(おそ)われた。体力と魔力がすり減っていたため何度か危ない時もあったが、なんとか出てこれた。外はもう日が傾いていた。

「ああ、もうこんな時間か。結構長い間、ダンジョンにいたんだな」




ギルドに戻ると師匠とサンドラがいた。

「お疲れ、ヒサメ」

「ありがとうございます、師匠。それとサンドラ?戻っていたのか?」

「ああ、少し前にな。だが、お前らがあまりにも楽しそうにしてたんでな。出ていけなかったんだ」

サンドラはからかうように言ってきたが、少し本気っぽい。

「そ、そうか。それはすまなかったな」

「まあいい、それよりも依頼報告を済ませてこい」

「ああ、分かった」


「すいません。依頼報告したいんですが」

俺は受付でダンジョンボスの魔石と討伐部位を提出する。

「ん?牙が通常の大狼よりも黒い?失礼ですが、この魔物はどのような特徴でしたか?」

「えっと体長15メートルぐらいで、黒い毛でした」

「黒い炎とか使いませんでしたか?」

「はい、使ってましたよ」

「じゃあ、これは普通のダンジョンボス、大狼の上位種の黒狼ってことですか?」

受付のお姉さんが混乱していると師匠が割って入ってきた。

「なんや?ヒサメも黒狼に当たったんか?ついとるなー」

「師匠、黒狼って何ですか?」

「通常の大狼と違って炎を使ってくる。まぁ、それだけやから大して変わらへんな。うちの初めてのボスも黒狼やったけど、結構すぐに倒せたで」

「さすが師匠!俺はかなり苦戦してしまいました」


師匠とこんなやり取りをしていると受付のお姉さんが突っ込んできた。

「そもそもダンジョン初心者が一人で倒せることが可笑(おか)しいんですよ。黒狼はAランクの中でも限られた人しか単独討伐なんてできませんよ、普通」

「あれ、そうだったんですね」

「けど、まぁ冷静になると魔導王(サンドラ)さんの同郷(どうきょう)(シズク)さんの弟子なら多少はおかしくてもいいか」

頭を抱えた受付のお姉さんが中々(ひど)いことを言う。

「とりあえず、こちらが報酬です。それと冒険者カードをお預かりします」

「どうしてですか?」

「Cランク冒険者への昇格ですよ。本当は一気にB、Aくらいにしてもいいと思うんですけど。しきたりですのでね」


昇格が済んだ俺たちは宿に戻った。なんやかんやあったが、流石にもう体力の限界だ。

寝る前にサンドラが治癒魔法をかけてくれた。サンドラは「俺、治癒魔術苦手なんだよな~」と言いながら骨折や打撲を完全に治してくれた。




翌朝、俺は師匠とサンドラと食堂に集まっていた。

「改めてヒサメ!修業長い間お疲れ様。一旦うちとの修業はお終いや。本当はまだまだ教えたい技術はあったけど、言い出したらキリがないからな。後は冒険者やりながら強くなっていったらいい」


俺は師匠から合格を貰った。とても嬉しい。しかし、もう師匠と修業することがないことは少しだけ悲しい。

「そんな顔しやんの。ヒサメたちの旅にはついて行かへんけど、またいつか会えるよ」

「はい、今までありがとうございました」

俺は涙を押し殺して感謝を述べる。


「でだ、ヒサメ早速で悪いが近いうちにこの街を出発するぞ」

「もうか?」

「ああ、善は急げっていうだろ?というわけで今日はその準備だ」

「少しことわざの使い方に違和感を感じるがまあ分かった」



それから、俺たちは3人で旅準備の買い物や挨拶回りをした。

その一つに前に来た鍛冶屋(かじや)に立ち寄った時だ。

「ふふ、ヒサメ。ダンジョン前で言ったこと覚えてるか?」

「え?そういえば何か用意してるって。確か俺のスキルに合う装備って」

「そうや。それが、この鍛冶屋で作って貰ったやつや」

すると、奥から鍛冶屋の店主が出てくる。

「全く意味不明な注文しやがって。俺は彫刻師じゃねぇーんだぞ?」

「悪いな。これがそれやな」

「おう」


そうして俺が受け取ったのは二つの指輪だった。

「こっちはムッチャ硬い金属のアダマンタイトの指輪で、これがムッチャ魔力を通すミスリルの指輪や。これをつけたらいつでもスキルで剣や盾、色んな武器を作れるで」


「あ、ありがとうございます」

ありがたいことに、俺のスキルの使い方まで考えてくれていたようだ。

早速、俺は右指にミスリル、左指にアダマンタイトの指輪をつけてスキルを発動し、剣を作った。

ミスリルの方はスキル発動速度、つまり剣の生成速度がとてつもなく速い。今までの石が噓に感じる。アダマンタイトの方はまだよくわからないが、ずっしりとしている。恐らくとてつもなく硬いんだろう。

「へ~それがあんたのスキルかい」

「ええ感じやん」

店主と師匠が(つぶや)く。

これがあればかなり戦術の幅が広がりそうだ。

「師匠、剣に引き続き、こんな指輪まで…本当にありがとうございます」

「ええってことよ」

師匠は笑って(うなず)いた。


他にも挨拶回りをしていたそんな時であった。

「おい、ヒサメ。黒狼を一人で討伐のは本当か?」

いきなり呼び止められた。その声の主はマルコフニウスだった。

「マルコさん、いやマルコ、本当だよ」

「そうか。呼び止めて悪かった」

マルコはそう言うと冒険者ギルドの方向に向かって行った。

「どうしたんだろうか?」

少し気になったがサンドラに呼ばれて俺もその場をあとにした。





翌日、旅立ちの日になった。

「じゃあ、シズク。俺たちはこの先の街、イーハルに向かう」

「お、冒険者の街か。ええな今のヒサメにはピッタリやん」

「師匠、本当今までありがとうございました」

「ええってや。本当はうちも行きたかったねんけど他の異世界人、新人(あらびと)から手紙で呼び出されてな。今からこのイシダーンバナ国を出てキシケゴードン国に向かうねん」

「新人ですか?」

「うん、2人おるねんけどね。その2人のうちの1人がめっちゃ神様に感謝しててな。その神様のこと調べるってその国に行ったんよ。で、たまにうちはそいつから依頼を受けるってわけ」

「神様ですか。僕も会ってみたいですね。ところで、その依頼って例の古代遺跡とかですか?師匠の剣の?」

「そうや」

「なるほど。頑張ってください」

「おう、ありがとうな。あ、うちの馬車がもう出発するらしい。じゃあ、一旦お別れやな」

「はい、師匠。お元気で」

師匠の馬車が出発すると、すぐに俺たちの馬車も出発の時間となった。

「出発しますよー」

こうして俺はこのビギンの街に別れを告げた。

これで一章終了です。

二章の前に閑話と一章の登場人物の自己紹介を公開予定です。

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