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佐藤圭一。
「ごめんね、佐藤圭一くん」
暖房の効いた部屋で彼女が脚を組み替えた。
身体のラインの出ているグレーのスーツ、細長い脚、パツンパツンの膨れ上がった胸、黒のストッキング、短いブロンドヘアー、手元に置かれた電子タバコ。
キャバ嬢のような雰囲気を醸し出している彼女こそ、この会社の社長ーー加藤万帆である。
「わかってもらえるかな」
「ええ、わかってますよ。社長がそう仰るのであれば、大人しく僕は身を引きます」
「そっか、ありがとね」
彼女は電子タバコを咥えながら、宣言する。
「──君は、クビ。もう来なくていいよ」
こうして、僕は三年務めた職場を解雇された。