カイザスの港街で大物捕り。
副会長のクレマンの陰謀を告げたシノは、サムソンに提案する海底都市グランデールの専属商人になってみませんかと。
サムソンは宝石商としても道から見切りをつけた訳ではない、それすらも利用し新たな販路を広げようと心躍らせる、そしてサムソンを引き連れてグランデールに舞い戻る。
初老門番「おや?シノちゃん?数時間前に旅立った筈ではないのかね?」
シノ「実はですね。」
シノは専属商人を紹介しに来たと告げ、そしてサムソンの置かれている状況を説明、同じ老人同士馬が合い、トントン拍子で話しが進む。
シモン「まさかこんなに早く専属商人を、見てけ来てくれるとは思いもしなかった、いや本当にありがとうシノ殿、サムソンさんどうかこれからグランデールでの専属商人としてよろしくお願いする」
サムソン「いやいや此方こそよろしくお願いします、シノさんの出会いには感謝しかありません、馬車を譲っていただいた上、こんな大きな商談ができる等早々ありませんからな。
最初は半信半疑でした、ですが彼女の功績と名声によって救われました、何よりも又新たな販路や安全な商いが出来るのです、こんな嬉しい事ありません、問題があるとすればカイザスで、手ぐすね引いて待っているクレマンに、どう仕返ししたものか考えないといけません、何分まだ証拠はこの手にありませんからな。」
シノ「その辺りは伝があるので、ギルドの水晶で公爵家サイラスさんと凄腕のライルさんに、取り次いで貰うようお願いします、クエストを発行し、今回の事件に型をつけようと思ってます、証拠があればクレマンも言い逃れは出来ません。
サイラスさんPTとライルさんPTが居れば鬼に金棒です、相手は公爵家下手な事も出来ないでしょうし、そして凄腕のライルさん達ですから、負けるなんてありえません下手な憲兵より強いですし。
それから2日後、サムソンは海底の首脳達からも歓迎を受ける、何よりも元々の実績、シノの紹介もあり信用に足る存在として認められる、サムソンは非情に有能だった、求める物や私生活に必要な物品に関して意見を交わし、今後に常に必要になる物をピックアップして行く。
どっかりと座りながら商品の検分をするサムソンは、少年のように目を輝かせ楽しそうにしている。
サムソン「これは凄いサンゴが磨かれるとこれほど美しくなるとは、もうこれは芸術品ですな、そして海ならではのこのマジックアイテム、海水をろ過し塩と水に分ける事が出来るなんて、汚れまで取り除くんですから。
陸での塩は不純物が多く、内陸の遠方地域では貴重品です、塩だけの商いでも十分儲けが出ますね、コレほど真っ白な塩は見た事がありません、水も非情に良質でお腹も壊さないとても綺麗な水だ。
流石は海底都市、他にもまだまだ沢山ありますし目移りしそうですね~。
こんな楽しい商いは本当に久しぶりですよ。」
シモン「今回の捕縛は我々も協力させて貰う、何よりサムソン殿を失う訳にはいかない、全力を持って事に当たらせて貰う、皆細心注意を払い動くぞ!いいな!。
シノ殿証拠の位置はカイザスの港側6番倉庫で間違い無いのだな?。」
シノ「はい、倉庫の左隅の木箱ですマジックアイテムで隠されていまが、注意して下さい危険物も中に入っているので、もしかしたら何らかのトラップが仕掛けられているかもしれません。
見張りも居る筈です油断しないで下さいね。」
陸に戻りサイラスとライル率いるPTと浜辺で合流、カイザスへ向けて歩を進める、彼ら魚人族は港町6番倉庫へ直接電撃的な襲撃を掛け、次に海へ逃走させない為港の封鎖をする。
ライル「話は聞いているぜ~、サムソン殿には危険な役回りを任せる事になってすまん、宜しく頼む出きるだけ長く、クレマンの注意を引き付けておいてくれ。」
サイラス「私達が商談客を装うので任せてくれ、いざ危険が迫ったら何時でも守りに入る、その辺りは心配するな、最悪の場合はシノ姫が召還で場をかき回す予定になっている。」」
クレマンは用意周到な男である事を、サムソンから情報を得る、サムソンの話では雇用している者の、半数が上位の傭兵50人、恐らくクレマンに唆されている、又は金で寝返らせた。
今回は特に商会で雇用した護衛だった者達の裏切りもあり、信用は出来なくなっている、傭兵盗賊にクラスチェンジしている事間違いなし危険な敵対者になっている。
証拠を持って憲兵を引き連れても返り討ちにあう可能性が高い。
ならどうするか?、権力者である公爵の力が必要になってくる、貴族に手を出せば国の軍隊と戦う事態となり、傭兵達は逃げたくても国内に居る間は追われ続ける。
船で逃げたくても熟練者で固められた、魚人族の軍が待ち構えている、彼らが逃げる方法は限られてくる、陸路しかないのだ。
今回は後続からやって来る軍部も動く、団長と傭兵を捕らえ壊滅させる、又は奴隷に落とすのが狙いとなっている。
陸と海、両方で囲み袋小路に追い込む、逃げられないようにする。
シノがモンスターを召還しないのは、街で混乱と騒ぎを招かない為の必要措置でもあった。
連れて行けるのは赤いスカーフを巻いた、少数のモンスターだけである、進化したモンスターの登録をしていなかったのもある。
サムソン「商会が大きくなれば、それだけ厄介な事も増える、だからこそ傭兵を雇うのですが、それが裏目に出てしまいました。
今回は公爵様にお手を煩わせる事になってしまい、まことに申し訳ありません、今後はシノさんから紹介いただいた暗殺ギルドの方々を雇うようにいたします。
サイラス「気にする事はない、国民を守るコレも公爵としての責務だ、我が父も動いている、既にカイザスへと軍を派遣している事だろう、一筋縄ではいかない傭兵が相手なのだからな。
憲兵隊だけでは心許なかろう。
すまないが一度すべての従業員を捕縛する、しかる後にシノ姫の看破で選りすぐって解放する予定でいる。
迷惑を被る無辜の者達には、それなりの物を渡し今回の騒動の始末を付けさせてもらう。
他国の店舗も同様に従業員と傭兵が一度捕縛されるゆえ、一時的な運営が出来なくなるだろう、此方も迷惑を掛けるのだから申し訳なく思う。
関わりのある者達は罪状によっては奴隷、流刑、死刑となる、首謀者は問答無用で死刑の後晒し首となる、この手の問題の禍根は早いうちに断っておかねばならん。
カラットの支店は世界規模、よって他国にも協力を仰いだのだ、傭兵の質も良い者から悪い者までいるのだから、一度捕縛し看破で調べる必要があった、協力を仰ぐのだからそれなりの物は掛かる、その必要経費は国とカラット商会が支払っていく事になるのだが、シノの考えた商品とレシピの情報売る事であっさりとまかなわれてしまう。
何よりも壊れた馬車を利用し作り出したのは、レビテーション付与を施された空走る馬車。
空には盗賊は手を出せないし、限られたモンスターしかいない、結界もありモンスター除けも充実している。
馬車の中も空間拡張が施され、余裕のある設備が整えられている、付与術師と鍛冶屋、防具屋、建築屋、皮被服取り扱う各ギルドの者達が、アーでもないコーでもない頭と悩ませ、新たな技術に興奮し寝る間も惜しんで作った正に合作が完成。
シノはそれを考え出し無理をお願いして1台作ってもらったのだ、販売元はベレンスト王国、刻印が打たれている。
そこからは何時も通りの複製となっている、ただ1日距離にして200㌔以上の走行は無理と言う限定的な条件が付く、馬となる存在が疲れてしまうからだ。
この1部儲けの特許登録もシノがしている、彼らが協力しは作れば、直ぐ売れ儲かるのだからとても喜んでいる事だろう、当然陸海両用馬車の人気も高い。
サイラス(シノ姫には驚かされてばかりだ、姫が知りうる太古の英知は、どこまであるのだろうか?少し前まで貧しく弱い我が国が、ここまで精強になり富むとは思いもしなかった、マジックアイテムや武具に関しても然り、いくら感謝しても足りないな、このスキル付与を施したギア装備も万能と言える、持ち運びも嵩張らないし道具としてもとても有用だ。
これはいったいどんな素材で作られているのだろう、1千℃を越える熱でも溶けないと、驚きを通り越して呆れ開いた口が塞がらなかったな。)
カイザスに到着、サムソンはサイラスPT、シノを引きつれ店の中で打ち合わせ、さしものクレマンも公爵子息の前では大人しいようだ。
サムソンはクレマンを呼び出し、入ってきた所をサイラスが気絶させる、余計な荒事を起こさせない為だ、クレマンはそのままサイラスPTに、捕らえられベレンスト女王陛下の元へ連れられ裁可を下される予定なのだが。
サムソン「さてクレマンよくも裏切ってくれましたね、恩を仇で返すとは思いませんでしたよ、伺いたい事があります、貴方の奥さんと離縁していただきます、クレマン君の罪状は重い。
重犯罪者永久奴隷となる可能性が極めて高い、子供と奥さんを路頭に迷わす訳にはいかないのだよ、よって私が二人を保護する。
何か申し開きはあるか?。
証拠なら既に揃っていると思ってくれよ、雇った者達も従業員も一度全員捕縛され鑑定と看破のフルイにかけられる、この商会はこれから指針を変え他の物も取り扱って行く事になる、クレマンお前にもその手伝いをして欲しかった残念だ。」
クレマン「ちっ!なんだよバレてたのかよ、もっと早く殺しとくんだったか?しくじったなぁ~まさか公爵まで出張ってくるとは思わなかったが、今更どうでもいい話か。
なぁ?サムソン頼みがあるんだ、オレの息子は不治の病にかかってんだ、完全に治療し治すには、幻の鉱物イクシルって奴から漏れ出す生命の雫が必要になるらしい。
眉唾の話だけどな息子を助けたかったそれだけだ。」
シノ「同情を引こうとしても無駄だよ?私の鑑定と看破ランク8だから、クレマンさんの内部事情まで見えてたりしますよ~、お子さん貴方による暴力でボロボロ、奥さん身体中消えない傷だらけ、鑑定看破を舐めんな?嘘だらけのいい訳は聞きません。
私利私欲の為、表向きは奥さんと息子脅していい旦那さんを演じ続け、人を欺き、乗っ取り計画、借金まで又こさえてる救えない人、だからクレマンあんたは死ぬまで奴隷として贖罪に勤めてください。
クレマンは舌を噛み死のうとしたが、サイラスが魔法で痺れさせ身動きを取れないようにしていた。
その後猿轡を嵌められ連行される。
問題となったのはクレマンに関わった傭兵達、この者達の抵抗が予想より激しく、人質とり立て篭もる等、思っていた通りのクズクランだったようだ。
現在も激しい戦いの音が街の中で響き渡っている、街の住人達は、突然軍が街へ入場したので、慌てて家の中に避難していた。
追い込みをかけた公爵軍、馬鹿な彼ら傭兵は家へ押し入り複数人の人質をとっている、
現在は膠着状態となり公爵軍は身動きが取れなくなっている。
ここでシノは一計を案じた、ライルPTに公爵閣下に伝令を頼む、その内容はスカーフをつけてないモンスターの召還をし、彼ら傭兵クランにぶつけると言うものだった。
スカーフがついなければ、野良モンスターが街へ入ってきたと思うだろう、人質になった人達には怖い思いをするだろう、申し訳ないが我慢して貰うしかない。
そのドサクサにまぎれてライルPT、他の冒険者達にも協力してもらい、公爵軍もモンスターと戦ってもらう、モンスター達にはあくまでも攻撃目標は傭兵クランとしながら、人質を救出して貰う作戦、無論馬鹿な傭兵クランにも容赦なく攻撃して貰う。
シノしか出来ない作戦立案だった、多くのモンスター、冒険者達、公爵軍、魚人軍。
公爵の伝令役に走ってもらい街中に家の中から出ないように広めて回る、街の中にモンスターが現れたと。
公爵伝令「ケヴィン公爵閣下、ご指示通り街中にモンスターの配備が完了したとの事です。」
ケヴィン「うむ、フフフ、海の精鋭と呼ばれる魚人族の軍と、こうして肩を並べて戦える日が来ようとは思わなんだ。
噂に聞くシノ殿も中々粋な計らいをしてくれるではないか。
しかもこの様な、モンスターと戦える上、街中での戦闘は訓練にもなる、だが先ずはモンスター達の手を借り暴れてもらい、人質救出を最優先とする!」
モンスター「グオオオオオオオオ」
モンスター「ギャアアアアアアア」
傭兵A「おい!なんでモンスターが街の中に入り込んでんだよ!。」
傭兵B「んなのこっちが聞きてぇよ!?応戦しろ!人質なんてどうでもいいクソォ!こっちを狙ってきてやがる!
モンスター「グフォル!グフォル!グフォル!グエェェェェェェーー!?」
ズン、バキンッと地面に打ち据えられる威力が地面を陥没させる、恐れおののく傭兵達。
ここで街中にモンスターの怒号が響く、家の中の住人が怯えて出て来ないようにする為、その狙いは大当たりし、モンスター達が一斉にやる気マンマンで傭兵クランへ突撃する、勿論傭兵だって負けてはいない、必至に応戦していが劣勢である。
傭兵C「チキショー!?こんな事ならさっさとこの国から逃げるんだったぜ、おい!奴はどこだ!クレマンの野郎みつけたら唯じゃおかねぇ!?。」
軍「大人しく縛につけ!もうクレマンに関わる証拠は挙がっているぞ!?」
モンスター「ガアアアアアァァァァーー!?」
傭兵団長「へッ!、前門の竜に、後門のトラかよ!勘弁してくれよ!?ヤ、ヤベ!」
モンスターの攻撃をモロに受けた傭兵団長は、固い壁に叩きつけられ、身動きが出来なくなる、すかさず縛り上げ連行する。
各陣営が動き出しモンスターを討伐しながら、解放された人質の救出劇、それを見た街の住人達は怯えながら目を輝かせる。
公爵軍の民を守る姿、冒険者の勇猛果敢に戦う姿、海の魚人軍達が軍と冒険者を助け協力する姿を、特に魚人族は港街で商いをする事が増えた、陸海にとって大切な隣人である。
魚人軍も傭兵達を捕縛、戦闘その物もかなり激しかった模様、しかし人員を失う事無く無事証拠も手に入ったようだ。
こうしてサムソン乗っ取り事件収束する。
サムソンはクレマンの元奥さんと息子を家族を引き取り、責任を持って面倒を見る、元クレマンの息子は地獄から引き取ってもらった感謝と商会の跡を継ぐため、必至に学ぼうと指導を受け励んでいるそうだ。
元奥さんも感謝しながら元気に商品の仕入れや、納品のチェック係としての仕事を任せるられた。
ただ残念な事に身体の傷は残ってしまうそうだ。
そして数日色々な報告や、商いの建て直しで引っ張りまわされたシノは、宿で突っ伏していた。
シノ)(あ”~解放されたつかれたよ~、結局経験値得られてないよ~、馬鹿傭兵殺しちゃ駄目とか、奴隷に売れば儲かるとか、変な制約つけられて動きにくかったな~。
でも無事この事件も片付いたし、今日はゆっくり寝て明日に備えよう、おやすみなさい。
シノよ?何か忘れてないか?ダンジョンはどうした?次回へ