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【詩】死神の黒王子の歌
『 引き篭り王子と祈らない聖女』より
寂しい王子が塔で待つ 母を失い愛知らぬ
側にいたのは許嫁 幼い頃から共にいた
気づけば彼女は兄の元 王子の側には影一つ
いつも命ずる実の兄 いつもおねだり許嫁
義父の宰相王子に頼む 黒髪王子は拒めない
兄は命ずる家族を殺せ 王妃になりたい許嫁
王族同士の争いに 拒めぬ王子は抗った
世界に閃く眩い光 消えればそこにはただ一人
詰め寄る兄と許嫁 跡形もなく消えにけり
そこに残るは神殿の 瓦礫と白い塵芥
黒髪王子は魔力抜け 白い髪だけ残りけり
昏睡王子が目覚めれば 瞳は紫、髪は白
無力な王子は恐れられ 呪いの黒と呼ばれたり
神殿壊し兄殺し 儚く消えた許嫁
死招く王子は紫の 死神の目と呼ばれたり
怨嗟糾弾批難叱責 王子の耳に鳴り響く
全て受入れ心を閉ざし 苦悩の沼に沈み伏す
愛を与える乙女のキスを 寂しい王子は塔で待つ
まもる(ララ)「聖女召喚も失敗も秘密だったんですよね?」
アルタクス「塵芥……」
ヒンレック「影一つ……」
カイロン「沼に沈むはアルタクス……」