デイジーの並行世界冒険ガイド① 砂漠の世界
報告です。報告です。
こちらはデイジー。船長代理。
知的生物の存在する平行世界について、報告します。
探査地点の中心は、現地で三番目に大きな大陸の南西部。現地人がつくった都市から2000キロメートルほど離れた、砂漠地帯です。
大陸には、大都市が2つ。そのほか、小さな集落がいくつか。大部分は砂漠化していますが、標高の高い地域を中心に、わずかながら森林地帯も残っています。森林には、哺乳類、鳥類を含めてさまざまな動植物が生息していますが、知的生物は見られません。
この大陸の知的生物は、砂漠に住んでいます。
類人猿が長い時間をかけて砂漠に適応した種のようです。乾燥地域に適応した体をしているので、水をほとんど必要としません。そのかわり、呼吸のさいに空気中のわずかな水分を吸収する器官をそなえています。全身に気孔があり、呼吸はもちろん、発声も気孔で行います。そのためか、服を着る習慣はありません。
さて、この世界を訪れるならば、天頂大地と呼ばれる場所には行っておくべきでしょう。
天頂大地は、砂漠にそびえ立つ巨大なテーブルのような正方形の台地です。四方は崖になっており、簡単には侵入できません。北と南には大きな谷があり、谷底には、光を嫌う爬虫類を中心とした独自の生態系が築き上げられています。
登るのであれば、東側からがよいでしょう。現地人の冒険家がつくった登攀ルートがあるので、比較的安全に進むことができます。過去には、機械設備で行き来する仕組みがあったようなのですが、今では徒歩で登るしかありません。
天頂大地の大半は、針葉樹で覆われており、そこには砂漠とは全く違う生態系が保たれています。中央付近には大きな湖があり、そこには巨大なヌシがいると言われていますが、正体は不明です。湖周辺には、古代人の遺跡があり、そのなかにはまだ未解明の遺物が残されています。
崖のふちに立つと、広大な砂漠と、そのなかに点在する集落を見下ろすことができます。
砂漠に夕日が沈む光景は、とても感動的です。一度、体験してみてはいかがでしょうか。
天頂大地の東側には、オアシス・プールと呼ばれる人造湖があります。
古代人の灌漑施設を利用してつくられたものですが、現地人が管理をしています。彼らは水につかると呼吸困難になってしまうのですが、なぜか水を所有することに執着するらしく、オアシス・プールも権力者が富を誇示するために作られたようです。
オアシス・プールでは、時折、現地人の祭りが行われます。プールの真ん中には大きな塔があり、そのてっぺんから大きく水を噴き上げます。まるで、花火のように。
さて、この大陸の名所はまだいくつもありますが、少しだけ、海の外にも目を向けてみましょう。
この星の主要な大陸は、5つ。うち2つは、極度に砂漠化が進んでいますが、残りは生命にあふれています。
特に、古代人がフーリードと呼んだ最大の大陸は、他では見られない、特殊な鳥類が支配する世界です。
ですが、今回はここまで。フーリードの話は、また今度にしましょう。
いつか、ご自分の足で、その地を踏まれますように。




