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異世界八景  作者: 楠羽毛
地底の世界
46/206

男と女

 轟音、ふたたび、溶岩がはねあがり、しぶきをあげる。

「ばかな、」

 あわてて後退しながら、ルードレキがつぶやく。

 いかに巨人といえど、生きていられるとは思えない。

 隣をみる。クリムルは動かない。声をかけようとして、表情をみてためらう。

 クリムルは、無言でマグマに近づいていく。

「まて!」

 ルードレキはおもわず叫んだ。

 うちよせる岸までいって、熱気にあてられ、たちどまる。しかし、

「これ……」

 クリムルは、息をのんで、しゃがみこんだ。

「……これ、……溶岩じゃない。」

「なんだと?」

 ルードレキはクリムルの近くに寄り、湖面をしばらく睨みつけてから、おもむろに手をつっこんだ。

 熱い。しかし、火傷するほどではない。

「……湯じゃないか。」

「それじゃ……」

「……おれたちは、騙されていたんだ」

「騙されていたって、……だれに?」

 そのとき、大きな水音がした。クリムルが顔をあげると、


 ラードナーラをつまみあげた、赤い湯でずぶぬれの巨人。

 そして、

 湖岸に、ふたりのゼラ人。ひとりは、ひげの長い年配の男で、もうひとりは、みじかく切り詰めた青いドレスをきた、若い女。


 レカーダと、カーラ姫であった。


 そして、近くで見ると、竜と見えたものは、ただの霧にまぎれた大岩であった。

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