友人
かぁん、
かん、
たぁん
乾いた剣戟の音、足が地面を叩く。
まだ、3合ほどうちあったところであるが、ラードナーラは防戦を強いられているようだ。
上段から、ふりおろす。
それを、受ける。
右から左へ、横薙ぎ。
これも、受ける。
突き。
両手でささえた剣を横からあてて、受け流す。
何度も防いでいるうち、いつのまにか、膝が曲がってきている。
クリムルの動きがはやすぎて、姿勢を立て直す暇がないのである。
「なぜ、巨人をかばう?」
ほんの少し手をとめて、呼吸をととのえながらクリムルはいった。
「それは、……」
ラードナーラは姿勢をととのえ、迷うように口を開いた。
ためらう。
おれは、なぜ、あのとき……、
ふりきるように、足を動かす。身を低くして、思い切り横薙ぎ。
クリムルは、後ろに跳んでかわそうとする。
そこへ、もう一足。
息を止めたまま──
踏み込みのタイミングに虚をつかれて、クリムルははっと息を呑んだ。
ラードナーラの剣先が、クリムルの腹をわずかにかすめ、音をたてる。
先に当てたほうが勝ち、という取り決めではない。ないが……、
ラードナーラは、うしろに跳んで離れた。息をついてから、
「……おれの友人だ」
と、いった。
クリムルは剣をおさめ、
「……認めよう、」
と、小さく応えた。それで、決闘はおわった。




