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異世界八景  作者: 楠羽毛
地底の世界
41/206

友人

 かぁん、

  かん、

   たぁん


 乾いた剣戟の音、足が地面を叩く。

 まだ、3合ほどうちあったところであるが、ラードナーラは防戦を強いられているようだ。

 上段から、ふりおろす。

 それを、受ける。

 右から左へ、横薙ぎ。

 これも、受ける。

 突き。

 両手でささえた剣を横からあてて、受け流す。

 何度も防いでいるうち、いつのまにか、膝が曲がってきている。

 クリムルの動きがはやすぎて、姿勢を立て直す暇がないのである。

「なぜ、巨人をかばう?」

 ほんの少し手をとめて、呼吸をととのえながらクリムルはいった。

「それは、……」

 ラードナーラは姿勢をととのえ、迷うように口を開いた。 

 ためらう。


 おれは、なぜ、あのとき……、


 ふりきるように、足を動かす。身を低くして、思い切り横薙ぎ。

 クリムルは、後ろに跳んでかわそうとする。

 そこへ、もう一足。


 息を止めたまま──


 踏み込みのタイミングに虚をつかれて、クリムルははっと息を呑んだ。

 ラードナーラの剣先が、クリムルの腹をわずかにかすめ、音をたてる。

 先に当てたほうが勝ち、という取り決めではない。ないが……、


 ラードナーラは、うしろに跳んで離れた。息をついてから、

「……おれの友人だ」

 と、いった。


 クリムルは剣をおさめ、

「……認めよう、」

 と、小さく応えた。それで、決闘はおわった。

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