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異世界八景  作者: 楠羽毛
未来の世界
202/206

においと、ぐしゃぐしゃの髪の毛

挿絵(By みてみん)

「アカリ!」

 どん、と大きな音。

 天井をけって、ぐいとエアロックに入ってくる、女の白い手。

「そんなところで、何してるの?」

 エマの声。つづいて、頭がぐいと入ってくる。ずっと洗っていない金色の髪が、ばさりとエアロックに流れる。

 心配して、というふうではなく。

 早口で、どこか遠いところをみるように、くるくると目線をさまよわせえながら。

「べつに、……」

 エアロックの(すみ)に、ちょこんと体育座りをしてうつむいていた朱里は、ちいさく顔をあげた。

「べつに、なにも。」

「まあいいけど。……ちょっと来られる?」

「うん、」

 ゆっくりと身をおこして、とんとエアロックの枠を蹴る。床から顔をだした瞬間、かすかに空気が動いて、

「あれ」

 エマが顔をしかめる。

「アカリ、あなた身体拭いてないんじゃない? 清拭(せいしき)シートがあったでしょう」

「え、」

 きょとんと、朱里は目をしばたかせた。それから、エマの顔にぐいっと鼻を近づけて、思わず吹き出す。

「……あなたにだけは言われたくない!」

「え?」

 ふたりは、じっと顔を見あわせて、(たが)いの匂いと、ぐしゃぐしゃになった髪を確認して、

 あはは、と笑った。

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