フリージング処理
「……エミーが、さ」
「え?」
「久しぶりに、エミーと再会したの。この実験がはじまる前、休みをもらって、地上におりた時に。
エミーは、わたしの子守用のロボットだったの。実家に置いてあって、もうずっと電源は切ってあった。
実家に帰ったのはね、……長い航行の前に地上の空気を吸っておけと勧められたせいもあるけれど、エミーを取りにいきたかったの。
実験船の容量に、少しだけ余裕があって、私物を持ち込めることになったから。
こればっかりは、昇降機で送ってもらうわけにもいかなくて──、なにしろ、十何年も動かしてなかった旧式ロボットだもの。メンテナンスも、自分でやりたかったし。
両親と兄に声をかけて、とっくに埃まみれになってた自分の部屋に、きれいに箱に入れてあったエミーの身体を、ベッドに寝かせて。
白いシーツの上に。
そうして、……首筋のうしろのカバーをのけて、充電ずみの外付けバッテリーを接続して、再起動ボタンを。
エミーは、すぐにぱちりと、目を開けて、
私の顔を見て、まっさきに言ったの。
「お久しぶり。今日は何をしましょうか?」
って。
あの日の、夏休みのままに。