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異世界八景  作者: 楠羽毛
未来の世界
162/206

さむい廊下で、

 朱里はため息をついた。その息が一瞬だけ白くなるのを見て、また、ため息。


 ……さむい。


 カセイジンがいたらな、と思う。あれからずっと腕輪は不調らしく、人工知能のホログラムは出てきてくれない。

 エマには、エミーがいるのに。

「……ほら、」

 ぐい、とエマが、なにかを押し付けてくる。(あら)い布地の感触。オレンジ色。

 船外服だ。

 あわてて受け取る。隣にはエミーが立っていて、エマはもうすっかり身支度(みじたく)を終えている。ずいぶん、考えこんでいたらしい。

 エマは、ぱちぱちと船外服の手袋をたたいて、なじませる。ヘルメットはかぶっていない。

「まずは、中を点検しないとね。何が起こってるのか、」

「……うん、」

 飾り鎖を外しながら朱里がうなずく。

「ここのこと、あなた、知らないんだよね?」

「……知らない」

 朱里はそう答えて、ちょっと不思議におもった。逆じゃないのか。

「そう、」

 と、うなずいた瞬間、

 脱ぎかけたトップスのむこうに、エマのぎゅっと寄せた眉が、ちらりと見えた。

「人がいるとは思えないけど。」

 エマは、ひとりごとのようにそうつぶやく。

「そうなの?」

「だって、さっきまで空気なかったんだよ。ここ」

 それもそうか、と朱里はうなずく。

「とりあえず、あちこち行ってみよう。……手伝(てつだ)ってね」

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