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異世界八景  作者: 楠羽毛
未来の世界
157/206

相対性理論。

「やっぱり! そうだと思った」

「え?」

「名前。日系の名前でしょ」

「まぁ……、」

「母国語は英語なの? バイリンガル?」

「それは……、」

 朱里はまた答えに詰まってしまった。エマが口をひらく前に、……あわてて、話題をかえる。なんとなく、うしろめたい気持ちで。

「……あなたは、」

 こんどは、朱里が話題をかえた。

「あなたは、どうしてここにいるの? エマ」

「知らないの?」

 エマは一瞬だけきょとんとして、それから、首をふった。

「……実験、」

「どういう実験なの?」

「ほんとうに、知らないの? ニュースとかで、……」

 朱里はぐっと目を見ひらいた。そんなに、有名な実験なのだろうか。

「……知らない」

「そう、それじゃ……、ええと、あなた、物理学の知識は?」

「……よく、知らない」

 エマは、ちょっと(なな)め上に目線をさまよわせた。おおよそ十秒ほど。

 それから、かすかにため息をもらして、

「……加速実験、」

 と、いった。

「加速?」

「宇宙船に速度を与えるの」

「宇宙船に、……」

「つまり、……今回の実験は、2つの目的を兼ねていて。……ひとつは、新開発のエンジンの試験。もうひとつは、加速そのもの」

「加速、……そのものって?」

「物体が、光速に近い速度で運動したとき、どういう現象が起こるのか──、」

「それって、……ええと、」

 一瞬だけ目をつむって、地球にいたころの知識を総動員する。

 朱里は、小さくいった。

「……もしかして、相対性理論(そうたいせいりろん)、っていうやつ?」

「え?」

 エマは、きょとんとして、といかえした。

「なあに、それ」



 カセイジンに相談したいな、と思う。

 いつも、余計なことを言うばかりで、役に立ったことなどないのだが。

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