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異世界八景  作者: 楠羽毛
海の世界
137/206

別れの日

 炉は、もう落ち着いたようだ。それでも、あまり近づくのは危険なので、このあたりにしておく。

 地下へとつながる穴とは、反対方向。太陽の位置からして、たぶんこちらが南。山の中腹あたり。このあたりから上は、ほとんど樹は生えていない。

 ここまで来るのは、大変だった。もういちど杖を作ろうかと思ったが、ナイフはハギアに渡してしまった。テントも、水も、その他いろんな道具も。

 ここに腰を下ろすと、よく見える。

 海が。他の島々が。それに、大陸が。

 島はみんなきれいに六角形をしていて、隙間なくつながるようになっている。連結する寸前には、海面からかならず顔をだして、唸り声をあげる。

 繁殖地、だとか。

 ここは、大きな陸地の端であるらしい。遠くを見渡すと、海岸、その奥に森、山がいくつか。川ぞいに集落のようなものも見える。

 島のうえにも、動くものが見える。人なのか、動物なのか、よくわからない。もしかしたら、昔この島にいたという、蟻かもしれない。

「あ、」

 朱里は立ち上がって、手を額にあてた。南。島のあいだをすり抜けるように、なにかが進んでいく。

 船だ。

「ハギアーっ!」

 叫ぶ。手を振る。

 返事はない。いや、あったとしても、ここまで声は届くまい。


 朱里は、小さく、さよなら、とつぶやいて、それから、

 転移した。

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