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異世界八景  作者: 楠羽毛
海の世界
125/206

短命種

「……フグスはね、ばかなの」

「え?」

「あたしより、ちっちゃいくせに。……ちょっと、はやく生まれたからってさ」

 ふたたび、林のなか。

 ぶつくさと、大股にあるきながら、ハギアは早口で。

 ぐるぐると、右手でつまんだ髪のひと房を、軽く振り回しながら。

「……あの人、年上なの?」

 ハギアのいうとおり、適応役を飲む前のハギアよりも、体は小さいようだったが。男女差があるのかもしれない。

「三か月! たったみつきで! 大人、だなんて」

「ふうん」

 朱里は、ずんずん歩いていくハギアの後ろを、軽く息を切らしながらついていく。

「ねえ、……何歳、なの?」

「え?」

「だから。……ええと、生まれて、どれだけたつの? ふたりとも」

「28か月! 私!」

 ああ、と朱里は眉をしかめた。そういえば、そうだった。


 つい、忘れかけてしまう。

 あまりに、……人間らしいから。


「だからさあ、……お祭りに、まぜてもらえなかったんだよね」

「おまつり?」

 小走りでハギアに並んで、横から顔を見上げる。異種族の表情はよくわからない。ただ、決然と前を睨んでいる、ようだ。

「うん。あなたのところには、ないの?」

「あるけど……」

 どうも、話がかみ合わない。朱里はかるくハギアの背中をたたいて、足を止めた。

「ねえ、」

 目の前にあった太い樹に背中をあずけて、大きな声で。

「ちょっと休もうよ! ゆっくり話そう」

 ハギアは立ち止まって、ようやく、こちらをみた。

 ぴんと張っていた髪の毛が、少しゆるむ。

「うん、」

 ハギアは、朱里の前にぺたんと座りこんだ。


 そうして、ふたりは話し始めた。

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