根のはえた天井
ドレスの郊外。大街道をそれて、横穴通路をしばらくいった先。
広場である。高さは、炉室と同じほど。天井からは、七本ほどの根と、それと同じ数の穴がある。残っているのは、細い木ばかり。
深呼吸して、壁に手をかける。ざらざらして、少し暖かい。
三回ほど探査音を発して、壁のしわを把握し、コースをきめる。
とん、とん、とん、と手足をかけるところをイメージして、リズムを。
さて。
まず、胸のあたりの小さな割れ目に指をさしこんで、爪をたてる。
足をかける。爪をたてた手にぐっと力をこめて、さらに先へ。
左手を、頭上のちいさな突起にかける。
右手の指先を、その上の襞に。
汗が噴き出してくる。
さらに、登る。
もう、床はずいぶん遠い。だが、天井はずっと先だ。
登る。
登る──、
天井にとりつく。
ここからは、指の力だけで、身体を支えねばならない。
天井のしわを、二本の指でつかむ。
すべる。汗のせいだ。
もう一度。今度は、指をめり込ませるようにして、爪を使う。
爪のつけ根に体重がかかる。
耐える。
次の割れ目に、指をかける。爪をさす。それから、
ぎりりと痛みがはしる。こらえる。
二手。
三手。
もう少し──、
汗ですべった。落ちそうになり、あわてて爪に力をこめる。ぐいと引く。そのまま、もう片方の手を、次の手がかりにおしあてる。滑る。
気がつくと、両手が離れていた。
空中で歯がみする。一瞬後に背中に衝撃、転がって受け身をとる。膝をしたたかに打って、小さく悲鳴。
すぐに立ち上がる。血の味が、かすかに。
顔を上にむけて、二回、探査音を発する。やはり、さっきのコースが最短だ。
爪は、まだ大丈夫。もう一度。
登る。
天井に手をかけたところで、少し休む。肩も、膝も、特に問題はない。
ちいさく跳ぶようにして、次の手がかりへ。
襞をつかむ。
からだを大きく振るようにしてはずみをつけ、次の突起へ。
進む。
空いたほうの手を振って、汗をとばす。
次の手がかりは、根だ。
根は、ほとんど枝分かれすることなく、幹と同じ太さのまま、天井から飛び出している。表面はつるつるして、いかにも滑りそうだ。
爪をたててみる。刺さらない。天井や壁のように、柔らかくはない。
が、……なんとかなりそうだ。
根と、天井のあいだの、すきま。一見、ぴっちりとしていて空間は無いが、力いっぱい爪をさしこむと、天井がたわんで、うまく入っていく。
体重をかける。
根ではなく、天井の側に爪をたてるようにすれば、大丈夫そうだ。
次の根まで、手はとどかない。しかし、足ならば、届きそうだ。
根にかかった手を支点にして、ぐっと下半身をもちあげる。天井にはうようにして、足を、次の根にあてる。片手と両足で突っ張るようにして、からだを固定する。
一息つく。
肉に痛みはない。ないが、すこし息が切れた。
同じ要領で、次へ進む。
根を蹴る。
手を伸ばす。
ようやく、目的の穴に手が届く。