表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界八景  作者: 楠羽毛
海の世界
115/206

閉じた浜辺

 海にはもう、誰もいなかった。

 ざぶ、ざぶ、と膝まで海水にはいって、じっとむこうを見る。

 水平線ではない。

 海岸から、およそ、百歩ほども進んだ先にあるのは、壁である。

 壁は、そのまま天井につながっている。

 もう少し、進んでみる。

 なま暖かい水が、肩まで。思い切って潜る。水中では音がよく聞こえるから、かえって進みやすい。手を大きく動かして、泳ぐ。

 壁の真下には、大きく蠕動する網状構造物。

 この向こうに、地上からはわからない、海流のはげしく流れるところがあるらしい。

 日に数度、この網が口をあけて、とらえた堆積物を吐き出すのである。


 この海も、炉室と同じだ──、


 海面から顔を出して、壁に手をかけて荒い息をつく。

 これまで、仕事のあいまに、何度も潜ってみた。

 網のむこうがどうなっているのか、だれも知らない。そのむこうにもまた壁があるだけかもしれない。

 だが──、


「……わたし、決めた。」


 誰にともなく、ハギアは、そうつぶやいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ